表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は女の子になりたい。  作者: 立田友紀
3. 若葉ガールは苦悩する
42/129

40.「やっかいなダブルデート(後編)」

 宮川の服を買うことになった僕たちは、さっそくグラン・マルシェのメンズファッションフロアへと向かった。ところがそこに向かうには、どうしても化粧品のコーナーやレディースのコーナーを通らざるを得ないらしく。

「……なあ、安藤。デートっていうのは服を買うことなのか?」

 やはりこのような空間は、男にとっては居心地が悪いらしい。宮川はしきりと周囲を見つめながら、居心地の悪さをごまかすかのように僕に話しかけてくるのだ。

「いや、本来は異性同士で遊ぶことを言うんだけどね」

 確か辞書における言葉の意味としてはそうだったと答える。だけれども、このように服ばっかり並んでいる空間を歩かされればそう思うのも無理ない話だろう。僕だって初めて女の子になった時に、秋奈に同じように連れまわされてえらく戸惑った記憶がある。

 だけれども、それは宮川のような男の意見だ。眞子や結衣にとっての「遊ぶ」というのはこういうことなのだ。

「でもまぁ、服を買ったり一緒にご飯を食べるってのがデートで間違いは無いと思うよ。もちろんあんたにとっては慣れないことだろうけど」

 だから僕は、そう答えることしか出来なかった。

 もちろん僕だって元は男だ。宮川の戸惑いや居心地の悪さは痛いほどに分かる。でも何だかんだ言いつつも、実際に世間の恋人たちのデートはこんな感じだ。テレビのデート特集でもこういう内容が取り上げられるということは、それが世間における普通なのだからこそだ。

「そういうものか」

 宮川はしぶしぶと納得するようなそぶりを見せた。だけどその言い方は、やはり完全に受け入れられているというわけでもないようだ。

 だけれども、それは仕方のないことだ。なぜなら、男と女だとそもそもの考え方が違うのだから。だからこそ、女性の価値観が色濃く表れているこの空間に彼は拒否反応のようなものを起こしているのだ。それでも、考え方がそもそも違うのだからそれはどこかで割り切るしかない。

「まあわたしも分かるよ。居心地の悪さは」

 後頭部に手を組みながら、僕は続けた。いまはそうやって共感することくらいしか、宮川に寄り添えない気がしたからだ。しかし彼が放つ言葉は、時としてとても厳しい言葉で。

「だとしたら、結衣は俺とこういうことを望んでるのか?」

「それは……分からない」

 世間にとっての普通かなんて彼にとってはどうでも良いのだろう。だからこそこの言葉は、この「デート」という行為に対する宮川の考え方の本質を突いたような言葉であり、僕にとって刺さる言葉だったのだ。

「お前らが言うデートっていうのは、きっとこうやってオシャレをして買い物をするってことなんだろ? だけど俺には……正直理解できないんだよ。これの何が楽しいか」

 言われてみれば、確かにそうだ。世間のファッション誌とかテレビ番組とかでデート特集をやると、決まってデートスポットではどうするかとかどんな服装をすればいいかってそんなんばかり。しかもそれを押し付けられているようで、世間の人もそれが当たり前だと思っていて誰も疑わない。

 だけどもその当たり前を疑問に思ってしまったら――それはものすごく居心地が悪く感じてもおかしくはない。

「だけども、結衣にとってはたぶん楽しいんだろうな」

 宮川は結衣のことを見つめる。彼女は楽しそうに眞子と話をしていた。その様子は、おそらく世間でいうところの普通の女の子らしくて、だけれどもそれは宮川にとってはどうしても受け入れられないようなものなのだ。それでは噛み合わなくて当然だ。

 どうしてこんなことになるのだろう。二人ともお互いのことを大切にしていることは疑いようもない事実なのに……。

「同じ女として、お前だったらどうする?」

 そう思っていたら、質問の矛先がこちらに飛んできた。

「えっ、わたし?」

 彼の質問に言葉が詰まる。だって僕は「恋」って感情を知らないのだから。

「……分からないよ。わたし、好きな人とか特にいないし経験も無いし」

 その言葉を言うのが、何だか恥ずかしかった。だってこの場に居る人間の中で、そういう気持ちを唯一体験したことが無いのが僕だけなのだから。

「意外だな。東京モンはそういうの進んでると思ったが」

「東京もここも、人間の中身は大して変わらないよ」

 からかわないで、と言いつつ眞子のことを見つめる。

 僕が眞子のような立場になったらどうなるのだろう。やっぱり僕だって、彼氏さんとやらの腕を掴んでこういう場所に行くのだろうか。「恋」という感情が芽生えるからこういうことをするのだろうか。それとも「恋」を知らないとこの行動を説明できないのか。

「……でもわたしだったら、そばにいてくれるだけで十分かも」

 考えてはみたけど、僕もやっぱりこういうデートをするという発想にはなれなかった。滑稽な話だ。僕は、結衣と宮川をくっつけるきっかけを作ろうと考えたのにそれが逆効果になりつつあることに今さらながら気づかされたのだから。

「あんたと同じかもね。わたしもデートは向いてないや」

 そう言いながら、微笑む。ある意味、宮川と同じ意見になってしまうのだろう。にもかかわらず、その言葉を聞いた彼はまるで人をおちょくるかのように笑う。

「気が合うな。俺とお前なら案外うまくいくのかもな」

 その言葉に思わず耳を疑う。

「うるさいよ」

 何て言えばいいか分からず、動揺を抑えながらそう言い返す。だが彼は、さっきと同じように再び乱暴に頭をくしゃくしゃ撫でるのだ。

「お前ってホント純粋(ピュア)だな」

「やめてよ」

 無理やり手を跳ねのけるが、相変わらず彼はしてやったりと言わんばかりの目でこちらを見て笑いかけるのだが。……だいたい、何がピュアだよ。お前が居心地悪そうにしていたから、僕だって同じ気持ちだって伝えたのに……何だかおもちゃにされて遊ばれたようでちょっと腹立たしい。でも怒るに怒れず……何だか損をした気分じゃないか。

 だけども彼の表情は、またすぐに真顔に戻って……。

「まあ一日くらいなら、な」

 そう、意味深長につぶやいたのである。


 ◇


 宮川とのやりとりもそこそこに、さっそく眞子が目を付けたお店に宮川を押し込む。宮川は露骨に嫌そうな顔をしていたが……こればかりは仕方ない。眞子の前でダサい服装をしたことが運のツキなのである。せいぜい眞子の着せ替え人形にでもなってればいいさ。

 なんてことを考えていると、眞子の見繕いタイムが終わったようだ。

「正ちゃんは?」

「試着室に押し込んだ。ちょっとはマシになるでしょ」

 そう言い、眞子は試着室へと目を向けた。なるほど、試着室から出てきた宮川の姿は確かに見違えた姿だった。一時はどうなるかと思ったジャラジャラやだらしないカーゴパンツも、アメリカのストリートに居そうなやんちゃな少年っぽいコーデに収めたのはお見事としか言えなかった。

「あらあら、正ちゃんが正ちゃんじゃなくなったよ」

「おい結衣、ちょっとバカにしてるだろ?」

「そんなことないよ~」

 そんなのんびりとした口調で背伸びをして頭をポンポンと撫でる結衣からは、どことなく田舎のおばあちゃんのような雰囲気が出ていた。なんだかこれではデートするカップルというより帰省した孫を出迎えるおばあちゃんみたいだ。

 だけども、実際に宮川の今の服装は彼の荒っぽいというかやんちゃな一面をうまく服装で表現できていた。僕の歓迎会の時に用意してくれた服装を見て思ったけど、やっぱり眞子のファッションセンスは他の人よりも一枚も二枚も上手だと思う。

「さすがわたし」

 そういう自画自賛がこいつの持ち味をダメにしている気がするんだよなぁ。なんて思いながら、結衣たちのほうを見る。するとこっちは、ずいぶんと微笑ましい光景が広がっていた。

「似合ってるのか?」

「うん! 正ちゃんはそういう服が似合うんだよ?」

「そうか……」

 そう言いながら口元がちょっとだけ緩む宮川。普段は目線もきつくて近寄りがたい雰囲気を漂わせているけど、こういう時は何だか年相応の男の子って感じがした。とはいえその表情も一瞬でいつもの厳つい表情に戻るわけだが。

「おい三春、これっていくらするんだ?」

「確か全部合わせて4000円程度かな」

「……ん? それは本当か?」

 そう言い、彼は財布をのぞいてため息をつく。確かに中学生に4000円という値段は高い。

「わたしは安いと思うけど……」

 眞子は不思議そうな表情をしながら宮川のことを見る。確かに、眞子の言うことも一理ある。実際に、これだけ印象が変わる服を選んだ割に4000円で済んでいるのだ。眞子にとってはかなりリーズナブルにおさえたというのが本心だろう。

 だけども、衣服というものはやっぱり高い。アルバイトが出来る高校生とは違い、少なくとも中学生にとってはポンと買えるものではないことも確かだ。眞子の場合は、親御さんの理解もあって自分の服を選ばせてもらっているのだろうが。

「まあ買えないわけでも無いが……正直趣味じゃねえんだよな」

 そう言いつつ渋い表情をする彼。「買えないわけでもない」とか「趣味でない」とは言っているが、きっとそれは見栄で本音としてはやはり予算オーバーなのだろう。というより、まさかこんな大金をいきなり使うことになるとは彼自身も思っていなかったに違いない。

 とはいえ、同じ男として「買えない」という状況を女子二人に見せ続けるのも忍びなく、買わない方向に話を持っていこうとしたまさにその時だった。

「じゃあ、私が買ってあげる。どうせ正ちゃんは誕生日が近いでしょ?」

 そう言い、結衣が財布を開いたのだ。中身までははっきりと見なかったが、ぱっと見でもそれなりのお金を持っているのは確かで、実際に買うくらいの勢いで中身を確認し始めたのだ。

 だけどもそれは、宮川のメンツを潰す行為だと彼女は気づいていないようで。

「待て待て。こんな高いものお前に買わせられるか」

「いいのいいの。私、普段はお金ほとんど使わないし、これでかっこいい正ちゃんが見れるなら安い買い物よ」

 そう言い、彼女は本当に服をレジに持っていこうとしていた。誕生日というのが本当かはさておくとしても、結衣の家はお金持ちだし嫌味とかそういうの無しに純粋にプレゼントをしたくてそういう行動を取ったのだろう。

「良いじゃない、誕生日プレゼントなんだし」

 眞子も同じで、純粋なプレゼントとしか考えていないようだ。だけどもそれは……たぶん宮川にとって。いや、メンツを重んじる彼だからこそ一番きついことなのだろう。だって彼は、結衣を守るためにこの街最強の不良にのしあがったくらいなのだから。

 だけれども、かといってそれを露骨に嫌がると今度は結衣を傷つけてしまう。宮川にとってきっと辛い状況なのだろう。それが見ていられなくて……。

「待ちなよ二人とも。それ、宮川には合わないぞ?」

『え?』

 僕は、ついそんなことを口にしてしまったのだ。

 その言葉に眞子が明らかに怪訝(けげん)な顔をする。気持ちはわかる。自分が自信を持って選んだものを否定されていい気はしないはずだ。だけども、眞子のことよりも今は宮川を優先しないといけない……そんな気がしたのだ。

「確かに眞子が決めた服はオシャレだよ? でもさ、こいつだってこいつなりに服にこだわりがあると思うんだ。無理に押し付けるのは気分が良いものでは無いと思うよ」

 よく分からない強引な言い訳だけども、そう説得する。

「それに誰かに貰うよりも自分で買うから、服に愛着が出るんじゃないかな? 眞子だったら、押しつけの服を着せられるのは嬉しいことかな?」

 そうやって論点をすり替えて、さらに説得を続けた。すると、衣服にこだわりのある眞子は僕の説得をあっさりと受け入れてくれた。

「確かに、一理あるわ。わたしなら、そういうの絶対着ないから」

「だろ?」

 そういい、しぶしぶと服をたたみ始める。買わないと決めた以上、お店に居座るのは迷惑だと判断したためだろう。ところが、それで納得が出来ないのは結衣のほうだった。

「でも私は、プレゼントは嬉しいよ? 私は今まで正ちゃんに色々してもらったし……ちょっとくらいお返しをしたって……」

 結衣のそれは納得ができなくてごねている、というわけではない。むしろそれは恋する乙女の、宮川に対する気持ちの結晶としての贈り物なのだ。それだけに、ますます僕は何も言えなくなった。眞子もそれは同じで、一度たたんだ服を棚に戻すべきか悩んでいるようだった。

「ほんの気持ちだよ? 本当はこれだけじゃ返しきれないくらい正ちゃんからもらったの。もう、これ以上貰うだけだったら……私が辛いよ」

 中途半端な形ではあるが、僕は過去の二人に何があったかを知っている。結衣の気持ちが分かるだけ、いや宮川の気持ちも分かるからこそ僕もまた心が痛む。結衣がどれほど宮川に感謝の気持ちを持っており、それでも宮川は結衣を守り切れなかったことへの後悔を未だに引きずっているか。

 だけれどもこの二つが交差することは絶対にない。だってこれも、二人の考え方の違いから生まれた問題なのだから。

 眞子は複雑な面持ちでこちらを見つめる。どう収拾付けるべきか、そう問いたいのだろう。だけども僕だって落としどころが見つからない。なんて言葉を掛けようかと、下を見つめて考えた時だった。

「……結衣、気持ちは嬉しいぞ」

 言葉を放ったのは、宮川のほうだった。続けて彼は、眞子が持っていた服を掴むとそれを棚に戻す。

「だけどもな、お前のお情けで買ってもらっても俺としてはちっとも嬉しくないんだわ」

「お情けなんかじゃないっ! お礼だよ」

「だったら俺はもう十分もらってるよ」

 そう言い、彼は腰をかがめて結衣と目線を合わせた。続けて、彼女の頭を撫でる。それはまるで、子どもをあやすかのような手つきで……。

「お前からはいろんなものを受け取ってるさ。だからそれをわざわざ物に変えなくてもいいんだ」

 それを見て、ようやく分かった。こいつが頭を撫でるという行為は、彼にとっての精いっぱいの愛情表現なんだ。普段ぶっきら棒で怖い顔をしている彼でも、こうやって頭を撫でているときは彼にとって精いっぱいの気持ちを伝えているのだろう。

 それが分かっているからなのか、結衣は黙ってうなずく。

「……分かった。だったら俺たちが大人になって初めて稼いだお金で、お互いに贈り物をしあおう。それでいいな?」

 彼はそう問いかける。それが叶うかは、正直僕にも未知数だ。だけどもこの二人なら、きっとその約束は守られるだろう。そう信じつつ、僕もまた万が一に備えて出した財布をハンドバッグにしまった。


 ◇


 服の件でひと悶着があったものの、宮川の一言でそれは上手いこと落ち着いた。それからは、なるべく買い物という路線から離れるようにデートは進んでいった。

 最初は馴染めなかった宮川も、ゲームセンターで遊んだりといったことを通じて徐々に僕たちの中に打ち解けているようだった。レストランの混雑を避けるために見たコメディ映画では、内容がとても面白くて宮川を含めた4人で上映中はずっと腹を抱えて笑ってしまった。

 そして映画を見終えたころには、デートという形から離れたものの和やかで楽しい雰囲気がいつの間にか4人の間で出来ていた。

「あれは本当に傑作だったな」

「わたしもう一度見に行こうかな」

 普段はあまり話さないというか、何となく険悪なムードになることが多い眞子と宮川もこの時ばかりは仲良く話をしていた。雰囲気に当てられたというと嫌な言い方だが、それでも本来の目的とは離れたところで仲良くなるのだとしたら良いことなのだろう。

 そんなわけで、映画の感想を話すことも兼ねて昼食を取ろうとレストランに入ったのだが……。

「ごめんね。ちょっと席を離れるね」

「またなの? あんた本当大丈夫?」

「へーきへーき。ちょっと緊張してるだけ」

 そう言い、涼しい顔を装いながらトイレへと駆け込んだ。眞子の心配そうな言葉からも分かる通り、実は今日の僕はかなりの頻度でトイレのお世話になっている。理由は単純で、未だに朝の腹痛が全く収まらないためだ。そのため、胃腸の中身を出してしまえば痛みが引くと考えてトイレに向かっているのだが……。

「やっぱりか」

 お腹は痛い。しかし原因となるものが出てくるわけもなく、ため息をつきながら下着とズボンを腰まで上げた。

「なんか当たるものでも食べたのかなぁ」

 しかしそれだと思い当たるものがやはり出てこず、手を拭きながらトイレから出た瞬間だった。

「おっ……安藤か」

「あっ……なんだ宮川か」

 ばったりと同じタイミングで宮川がトイレから出てきたのだ。 

「大丈夫か。朝から調子悪そうだが」

「調子は悪くないんだけど……便秘かな?」

「女がそういうこと言うもんじゃないぞ」

「意外、そういうの気にするタイプなのね」

「うっせぇ」

 濡れた手をズボンで拭く宮川にそういうことはあまり言われたくないと思った。というか男子はちょっと女子に幻想を抱きすぎなのでは無いだろうか。そりゃ女だって出すものは出すさ。なんて、言わないけど。そんなわけでハンカチをハンドバッグにしまい、レストランに向かって歩き出そうとしたその時だった。

「今日は誘ってくれてありがとな」

 宮川は、いきなり普段は言わなさそうな言葉をつぶやいた。

「どうしたのさ急に」

「いや、一応言っておくべきかなって思ってな。結衣と昔のような感じで過ごせてさ……俺だけだとこういうことできなかったからな」

 殊勝な……というべきか。いつも偉そうな態度で振る舞っている宮川がこういうことを言うものなのかと、正直驚きを隠せなかった。とはいえ、それがこの計画の本質だから――失敗したと思ったこの計画も存外捨てたものでは無いようだ。

「……まあそうなるようにしたのが、この計画だからね」

 そういい、種明かしをする。今だったら彼だって、デートを切り上げて逃げ出すなんてことはしないだろうから。

「やっぱり裏で糸を引いていたのはお前だったか」

「デートについては眞子のせいだよ」

「じゃあお前と三春の共犯だな」

「怒ってる?」

「ちょっとだけな。まあでも懐かしい気持ちになったから、まあ許してやる」

 ため息をつきながら、呆れたと言わんばかりに宮川はそう言った。とはいえ今日の朝一番に出会った時よりは、だいぶ声も柔らかくて彼の警戒心のようなものがほぐれているようだった。もしもこの状態でこのまま居続ければ、最後のイベントとなる結衣の告白も……上手くいくかもしれない。

「それなら良かった。やっぱりここまで出てきてデートをした甲斐があるってもんだよ」

 いや、正直なところこの時点で僕は勝ちを確信していたんだ。こんな状態で男なら告白を断るわけが無い。少なくとも僕が眞子からこの状況で告白されたと仮定したら、僕はうなづくと思うから。

「そうか。それで最後は……まあ結衣からあの(・・)言葉を聞かされるんだろうな」

「さあね。それは知らない」

 さすがにそれは僕の口からは明言できない。だけどこの言葉がすでにこのデートの本質を明らかにするような言葉だったのかもしれない。そしてだからこそ続く彼の言葉は……。

「だがな、お前らの気持ちを知ったうえで……」


「おそらく、断る」


 重たくて残酷なものだった。

◇おまけ・みんなのコーデ◇

中村結衣 → 知的な雰囲気漂う大人の女性……のような服装だが身長が低くていまいち決まっていない……。

トップス:白のブラウス。大人の品格が漂っている

ボトムス:ベージュのワイドパンツ

靴:オレンジ色のミュールサンダル。ヒールは高めだが地の身長が低いのでいまいち大人っぽくないぞ……?

小物ほか:手提げかばん。眞子と違って必要なものが最小限入っているようだ。首元はネックレスをつけており、他の女子2人よりも小物の使い方が上手。


宮川正樹 → ちょっと服がダサい……。眞子激おこ案件。

トップス:白いTシャツに黒い革ジャン? 暑そう。

ボトムス:デニム地のカーゴパンツ。腰元には何かじゃらじゃらをつけていてうるさい……。

靴:スニーカー。歩きやすそう。

小物ほか:男は黙って手ぶら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小説家になろう 勝手にランキング 小説家になろう 勝手にランキング

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ