表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

予言ノート

作者: のんびり+

思いつきです。

 俺は普通の高校生だ。

 今年高校に入ったばかりで、運動は得意じゃ無いが苦手でも無く、勉強は大体平均より出来る程度の普通の高校生。それが俺だ。

 今日も面倒だった学校が終わり、独り家に向かって歩いていた。

 俺が家の前まで来ると、家のドアの前に何かが落ちていた。

 近付いて見ると、それは真っ黒な一冊のノートだった。

「何だこれ?」

 俺はノートを拾って開いてみたが、中はどのページも真っ白で、何も書かれていなかった。

 そこで俺は、もう少しで地理のノートが終わりそうな事を思い出す。このノートは汚れている感じもしないし、誰かの名前も書かれていない、丁度良い。俺はノートをもらう事にした。盗みでは無い。落ちてたから拾ってもらっただけだ。

 俺は自分の部屋に行き、ノートを机に置いた。

 そしてそのまま普通に夕食を食べ、風呂に入った後に寝た。


 翌日。

 俺は今日使う教科のノートやら教科書やらをバッグに入れて、部屋を出ようとした時、風も無いのに真っ黒なノートが勝手にペラペラとめくれた。

「何だ?」

 俺は開かれたページを見てみた。

 〇月×日

 登校時、車に轢かれて死ぬ。

 そこには、今日の日付と、その文字だけが書かれていた。

 俺はこのノートには昨日机に置いたきり触ってなどいないし、ノートには何も書かれていなかった筈だ。それにこの意味不明な文章。

 俺は気味が悪いと感じながら、家を後にした。


 いつも通りの道を通って、横断歩道を渡ろうとする。

 ふと、ノートの言葉を思い出した。車に轢かれて死ぬ。

 馬鹿馬鹿しいと思い横を見る。すると、信号を無視して突っ込んで来る一台のワゴン車。


「は!?」


 俺は急いで前に走った。

 ワゴン車は、さっき俺が居た所を通り過ぎて去って行った。

 もし、俺が横を偶然見なかったら今頃……。

 ドバッと、冷や汗が全身から流れ出る。

 俺はその場に力無く座り込んで、心の声が漏れた。

「……何なんだよ」


 その日からだ。

 毎日ノートには、日付と起こる出来事が書かれていた。

 俺がノートを捨てても、翌日には机の上に元通り。

 燃やしても元通り。そして、ノートに記されている事は確実に現実になるのだ。そしてノートの内容と言えば、俺が死ぬ原因となるものばかりだ。俺に残されたのは、ノートに書かれた事に注意しながら過ごす事だけだった。


 〇月×日

 鉄骨が降ってきて死ぬ

 〇月×日

 ガス漏れで家が火事になり死ぬ

 〇月×日

 トンネルが崩れて下敷きになり死ぬ


 まるで呪いのように繰り返される死の宣告にうんざりして来た。

 ノートを拾って今日で三ヶ月だ。

 俺はベッドから出て、何時ものようにノートを確認する。

 ノートには珍しく長文が書かれていた。

 〇月×日

 貴方は今まで良く頑張りました。

 今日まで死ななかったのは貴方が初めてです。

 おめでとうございます。

 なので、貴方に敬意を表して、今日で死の呪縛から解放してあげます。

「……本当か!?」

 俺は独りで歓喜の声を上げた。

 信用して良いか分からないが、ノートが嘘をついた事は無い。

 俺はとてつも無い解放感に安堵の息を溢す。

 俺はもう一度ノートを見た。

「……あれ?」

 良く見ると、次のページにも文字が透けて見えた。

 俺はノートをめくって見る。

 そこには、短く一文。


 貴方は今日必ず死にます。


「――――は?」


 それが、少年の最期の言葉だった。
















お疲れ様でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ