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第1章 現状報告

大崩壊五〇〇年後 旧レーアイナ公国 ギノン廃城

二ノ月一日 リドアスの処刑から一ヶ月後



 自己紹介をさせてもらおう。

 俺の名はフレイアス・オーレンド。ルアス同盟先代首領リドアス・オーレンドの息子で、ライアス王国の先々代国王ルアス・オーレンドの孫にあたる。

 特徴といえば、生まれつきの銀髪や背中に背負った両手剣、あとはオーレンド家代々の遺伝として続いている紅い左目と蒼い右目ぐらいか。それから、顔立ちは女子から見れば良い方らしいが、これはどうでもいいか。

 俺の付き人として共に行動しているローグの紹介もしておこう。

 こいつは十六歳になったばかりの人族の少年で、俺の教育係だったグリフス・コーディルの孫だ。

 茶色の短髪で、腰には二本の短剣を差している。

 まだまだ経験が浅いひよっこだが、将来性があって俺も一目置いている。今後の成長が楽しみだ。


 俺は今、ローグと共に馬を走らせている。

 目的地はもう目の前だ。

 ここは、かつて商業国家として栄えていた旧レーアイナ公国。

 国土面積は約4500平方tm(テスメイル)。アリラン皇国の二倍程の広さで、アルデオ大陸の中央部に位置する都市国家であった。

 各国からの高級品や奴隷の売買が主な収入源であり、更には娯楽のための奴隷闘技場やそれに出場させる剣闘士の養成場が設けられ、この国がどれだけ奴隷の輸出や育成に力を入れていたかが窺い知れる。

 しかし、三十年前に起きた疫病と奴隷の大反乱により人口が激減、残された国民や王族関係者も国を捨てたことによってレーアイナ公国は滅亡した。

 後に隣国がこの領地を併合しようと千人規模の軍団を送り込んだが、何百もの犠牲を出して失敗に終わった。

 帰って来た兵士は「死霊の大群に囲まれた」「味方が一瞬で骨と化した」などの意味不明な発言を必死に繰り返した。

 初めのうちは誰も信じなかったが、後から興味本位で入って来た冒険者や調査に向かった斥候の生還者が同様の発言をしたため、「この地には疫病や反乱で死んだ者達の亡霊が棲みついている」という噂が蔓延し、以来寄りつく人間は大幅に減った。


 そんな噂が絶えない旧レーアイナ公国に、しかもその中心部にそびえ立つギノン廃城の門になぜ俺達がいるのかと言えば、現在の中央支部の拠点でもあるこの城で開く会議に出るためだ。

 俺達は城門の前で馬を止めると、被っていたフードを取って城を見据えた。

 廃城になったとは言え、莫大な富で建てられた城は圧倒的な迫力と美しさを残したままだ。

 やがて、門が開け放たれて中から数人のメンバーが出てきた。

 俺の前に立つと敬礼する。


「お待ちしていました。馬をお預かりします」

「ああ、頼む」


 乗ってきた馬を彼らに預け、俺とローグは城内に入った。

 俺の後に続いて歩くローグは廃城とはいえ初めて入る城内に感激している。


「まさか僕がこんなに立派な城に入れるなんて思いませんでした!今日は誘っていただきありがとうございます、フレイアスさん!」

「親父が連中を追い払ってからは、ここは事実上俺たちの物だ。自分の家だと思って好きにしていいぞ、ローグ」


 ここまで聞いたらもうわかると思うが、この国が滅んだ原因にはルアス同盟が大きく関与している。

 囚われていた大勢の亜人族奴隷を解放するべく、当時まだ二十歳だった親父リドアスは仲間達と協力し、奴隷たちに大反乱を扇動した。

 独自の情報網を駆使して反乱を起こすタイミングを模索し、そして疫病で住民と兵士が激減して国が疲弊し切った頃を見計らって大反乱を引き起こした。

 数ヶ月をかけて立てたこの計画は見事に成功し、国内にいた奴隷約800人を解放した。

 奴隷達の大半は諸国連合へ送ったが、一部はルアス同盟に所属して今も活躍している。

 無人となったレーアイナ公国は協力関係にある種族と共にルアス同盟が管理することになった。

 制圧してからこの三十年間、魔法や仲間達の努力もあって一度も外敵に知られずにいる。


 俺とローグは城内のある一室の扉の前まで来た。

 元々は王族や国の重鎮が会議などで使われていた部屋だが、当然ながら今は俺達が使っている。

 扉を開けると既に数名の幹部クラスの部下が、大陸の地図が描かれた円卓に並べられた椅子に座っており、その後ろには彼等の護衛やパートナーが控えていた。

 彼等は俺の姿を確認すると立ち上がって敬礼をした。

 俺は敬礼を返して一つだけ空いている椅子の前に立つと、腰に差してある長剣と背中に背負っている両手剣をローグに預けてから腰を下ろす。

 ローグは俺の右後ろに控えるが、預けられた二本の剣が重いのか両足が震えている。普段から短剣しか振るっていないローグには重すぎたか。


「下ろしてもいいぞ」


 許可を出すと、ローグは両手剣をゆっくりと床に置いた。しかし、長剣は大事そうに持ったままだ。

 俺達が来たことで全員が揃い、ようやく会議が始められる状態になった。


「今日は忙しい中よく集まってくれた。これより、第五十八回ルアス同盟代表会議を開く。先ずは現首領であり北部本部代表の俺から残念な知らせがある」


 俺の言葉にその場にいる全員が注目する。


「もう知っている奴もいると思うが、一ヶ月前に先代首領であり俺の父のリドアスが処刑された。親父が死んで皆も辛いと思うが、いつまでも落ち込んでいる訳にはいかない。アジトが襲われた時、親父は仲間を全員逃がすために時間を稼いでくれた。自分だけ先に逃げることもできたのにそうしなかった」


 王国軍がアジトを襲撃した時、親父は俺や他の仲間と共に戦闘能力のない仲間を逃がすために何人もの敵を倒した。

 アジトにはこういう時に備えて非常脱出口をいくつも作っていたから、十分とかからずに非戦闘員を脱出させられた。

 仲間の避難が完了し、後は親父と俺が率いる戦闘部隊だけとなったが、敵の数が予想以上に多くて更には負傷者まで出ていたから脱出直前で周囲を囲まれてしまった。

 しかし、親父は自分達を囲んだ敵に正面から突撃して血路を作った。

 敵が怯んだ一瞬の隙を突いて俺達は抜け出すことができたがこれ以上の戦闘は困難だった。

 新しい敵の増援が現れてここまでとみんなが諦めた時、親父は単独で敵に向かい、俺達を逃がすために殿をつとめた。

 俺も加勢しようとしたが、親父は敵を倒しながら部下達に俺と負傷者を連れて逃げるように命令した。

 冗談じゃない。自分の父親を見捨てて逃げるなんてできるか。

 そう思って親父に加勢しようとしたが、部下達は俺を取り押さえてそのまま脱出口に連れて行った。五人がかりで押さえつけられえたが、まだ動けたな。

 けど、そこから先のことはよく覚えていない。俺があまりに激しく暴れるから仲間の一人が俺の頭を殴って気絶させたらしい。

 あの時、俺が最後に見たものは、孤軍奮闘むなしく取り押さえられる親父の姿だった。


「自分を犠牲にしてまで俺達を生かしてくれた親父のためにも、これから何十年かかろうと目標を実現させなければならない。それぞれの支部の皆にもそう伝えてくれ」

「皆さん、黙祷をお願いします」


 俺が言い終えると、ローグがその場にいる全員に黙祷を促す。

 全員が言われた通りに目を閉じて黙祷を始める。中には悔しそうな表情を浮かべている者もいる。

 これだけで親父がどれだけ慕われていたかがよくわかる。

 一分間の黙祷が終わると、俺は話を切り替える。


「じゃあ、次は現在のアルデオ大陸の状況を改めて説明するぞ。ローグ」

「はい、どうぞ」


 そう言ってローグは俺の長剣を差し出した。

 俺は剣本体と鞘が勝手に抜けないための留め金具が固定されていることを確認してから、柄の部分を持って受け取る。

 そして、鞘の先端で円卓の地図上の大陸南西部にある小さな半島を指す。


「現在アルデオ大陸に存在する勢力は、このアリラン皇国を中心としたぺシオ教の『聖教同盟』、大陸北東部の亜人族国家の集合体『諸国連合』、そしてそのどちら側にも属していないデルメロア連邦を中心とした中立派だ。『聖教同盟』は大陸の七割以上を掌握しており、他の二勢力は押され気味だ」


 ペシオ教。アルデオ大陸南西部に位置するアリラン半島にあるアリラン皇国のセブリス教会を本拠地とし、莫大な信徒を得ている宗教だ。

 亜人族排斥論と人族至上主義を掲げ、この大陸における人族国家のほぼ全てが国教として定めている。


「全ての始まりは、五〇〇年前に起きた『大崩壊』だ。それが起きるまでは、人族も亜人族も互いに差別することなく平和に暮らしていた。だが、アンデウォード統合帝国の首都で古代魔法が暴走し、大勢の人々が街とともに消滅した。そして、それをきっかけにペシオ教が急激に勢力を広げた」


 まず、この世界には魔法というものが存在する。種類は大きく見て三種類だ。

 一つは人族が使用する現代魔法。魔法の発動には詠唱や魔法陣といったものが必要で、多彩な魔法が使える反面、威力や規模はあまり大きくない。また、人族は魔法を使える者が限られており、彼らは魔法師と呼ばれている。

 次に精霊魔法。主にエルフ族や魚人族といった亜人族が使用する魔法で、精霊と契約することによって行使することが出来る。現代魔法に比べ使用できる魔法は少ないが、精霊から力を借りるので威力や規模は大きく、消費する魔力の量も少ない。

 最後は古代魔法。魔法の発動までに長い時間を要するが、非常に強力な魔法を使用することができ、その威力は都市を一つ消滅させると言われている。しかし今では伝承する方法が失われてしまった魔法で、使用者もいるかどうかわからない。


 五〇〇年前のアルデオ大陸は、大陸中央で繁栄していたアンデウォード統合帝国を中心として、周囲に多くの衛星国家を形成していた。

 そして、人族と亜人族は種族の違いによる争い事も起こさない平和な日々を過ごしていた。

 だがある日、事件が起きた。

 その国では古くより古代魔法によって国を繁栄させてきたのだが、首都のインフラに欠かせない古代魔法の一つである都市型魔法陣が原因不明の暴走により、首都を中心とした半径数百tm(テスメイル)が消滅した。これが後に言う『大崩壊』である。

 これによりアルデオ大陸は混沌とした時代を歩むことになり、種族同士での衝突が頻繁に起こるようになった。

 

 ペシオ教は大崩壊が起きる前から存在していたが、当時は街の片隅で布教活動を行っていたほどの弱小宗教だった。

 しかし、大崩壊を引き起こした犯人が亜人族であるという根拠のない噂が広まると共にその影響力を増して行き、現在のような強大な宗教に成り上がった。


「はっきり言って今の状況はまずい。聖教同盟の勢いは増すばかりで、逆に亜人族の諸国連合はゆっくりとだが確実に弱体化を強いられている。今の状況が続けば、アルデオ大陸から亜人族が殲滅されるのもそう遠くないぞ」

「今の俺らの活動じゃあ足りねえってことかい?」


 軽い口調でそう聞いてきたのは、諸国連合支部代表のオムギルだ。

 彼は黒狼の獣人族で諸国連合支部長ローレスの息子だ。狼らしく尖った黒い耳とギザギザの牙が目立つ。今回この会議には支部長の代理として来ている。

 元々、獣人族の国家エリストア帝国の近衛騎士だったと言っているが、俺にはとてもそう見えない。

 実際、今も椅子を傾けてテーブルの上に組んだ足を置くという礼儀が成っていない態度で会議に参加している。

 そういったことはあまり気にしないこのルアス同盟だから良かったものの、王室の前でこれをやれば不敬罪で死刑にされてもおかしくない。

 本人からもこの態度が理由で近衛騎士をクビにされたと聞かされている。


 俺はオムギルの質問に答えた。


「はっきり言うと、その通りだ。俺達のやることと言ったら、教会に納められている布施を横取りするか、信仰熱心な貴族様をちまちま暗殺するぐらいだ。俺達ルアス同盟だけじゃない。他の反ペシオ教組織も大体同じだろう」

「そんな小さいことを各地で続けたところで、大して効果は無いってことだね」

「悔しいですが、そういうことです」


 俺に続くように言ったこの人は、魔女族の族長のアリッサさんだ。魔女族特有の黒い服と黒いとんがり帽子、机には自分の背丈と同じくらいの長さの杖を立てかけている。

 身長も顔も十代前半頃の少女のようにしか見えないが、これは魔法によって若さを保っているだけであり、実年齢は俺よりも……いや、親父よりもずっと上である。

 その上、俺の育て親でもあるから立場的には彼女の方が上だ。

 魔女族はペシオ教から虐げられてきた過去から反ペシオ教勢力に属しており、その関係上俺達ルアス同盟とは協力関係にある。旧レーアイナ公国の共同管理や魔法技術の支援などで色々と世話になっている。


「せめて、デルメロア連邦がこっち側についてくれれば、状況も変わるんだがな。それに関してはどうだ、”鉄目てつめ”?」


 俺は真黒なグレートヘルムを被った大男に尋ねた。

 彼はデルメロア連邦に設置されている南部支部の代表の通称”鉄目てつめ”。支部長も務めている。

 ヘルムには白い塗料で大きな目玉が描かれており、鉄目てつめという名前はそこから来ている。

 ヘルムの下の顔は俺や親父を含めて誰も見たことがなく、喋ることも滅多にない。そのため彼が人族か亜人族かも不明のままだ。


「…………」


 鉄目てつめは無言のまま首を横に振った。


「……だろうな」

「まあ、無理もないでしょう。あの国は周囲に味方となる国がいませんし、明確に聖教同盟と対立すれば完全な孤立状態になってしまいます」


 そうつけ加えたのは、西部支部代表のレオン・シアレムだ。三十代前半の人族で小奇麗だが動きやすそうな格好をしている。

 ペシオ教の影響力が特に強い大陸西部は通常の強襲任務も困難であるため、そこにある支部には組織の中でも特に優秀な人族のメンバーだけが配属されている。

 その優秀なメンバー達の指揮をする立場にあるシアレムは長年の経験と部下からの信頼の厚さから、生前の親父からも高い評価を得ている古参だ。

 彼は商人という表の顔も有り、活動資金の調達や情報収集にも秀でている。


 俺ががため息をついていると、髭を蓄えた四十代の男が相談を持ちかける。


「リドアスの旦那がこの国を滅ぼした時みたいなことはまた出来ないのか、フレイ?」


 彼は中央支部代表のデーレン。支部長も務める人族の男だ。

 ルアス同盟に所属して二十年も経つベテランメンバーでもある。


 ちなみに、フレイは俺の通称だ。

 ルアス同盟では目上の者に対する姿勢や態度に関してはあまりうるさくない。メンバーの中には俺なんかに敬意を払って様付けで呼んでくれる奴もいれば、逆に敵意むき出しで呼び捨てにする奴もいる。それ位いい加減だ。

 支部によっては規律を順守するように指導している所もあるが、基本的にその辺は各々の判断に任せている。

 元とは言え王族だったのだから下の者には礼儀を正させるべきという声も上がっているが、親父も俺も別に気にしていないし「王の座を失った元王族に敬意なんて払う必要があるのか」というのが俺の考えだ。ライアス王国と王位を奪還出来たら考えなくもないが、今のところはその必要もないだろう。


「無理だろうな。あれはレーアイナ公国が小国で、しかも俺達に加わってくれた奴隷の亜人族が大勢いたから出来たんだ。全ての反ぺシオ教組織が協力してくれたら多少の規模の国なら同じことは出来なくもないかもしれないが、そんなリスクの高い話に乗ってくれるとは考えられない。俺としても、変な貸しを作るのは避けたいしな」


 反ぺシオ教組織はぺシオ教という共通の敵がいるが、それぞれ違う理想や目的の元に活動をしている。

 自分達にとって利益にならない行為、目的から外れる活動に無償で手を貸すはずがない。

 ルアス同盟も亜人族の救出や有力貴族の襲撃などを主とした活動をしているが、あくまでそれは信頼と資金を得るための”副業”であり本来の目的ではない。


「要するに、現時点で最も必要なのは信頼できる味方ということですね、フレイアス様」

「……ここまでの会話を随分と小さくまとめたな、レイラ」

「これ以上の長話は不要かと思われますので、早急に次の議題に移っていただけると幸いです」


 そう進言したのは東部支部代表のレイラ・クラーティム。歳は二十代中頃で俺より少し年上程度であり、金色の髪と左目の片眼鏡(モノクル)が目立ち、スタイルも良く、美人といっても差し支えない顔立ちをした人族の女性だ。

 元々冒険者だったそうだが、彼女は支部の拠点にもなっている個人の屋敷を有しており、風体も態度も貴族のそれで、俺から見たらとても元冒険者だったとは思えない。

 レイラはルアス同盟に加入して五年もたっていないが、持ち前の知識と努力で東部支部の支部長にまで上り詰めた実力家でもある。

 その優秀さから西部支部に配属するかという話も上がったこともあるが、まだ経験が浅いということで支部長止まりになっている。


 俺はレイラの言葉に「それもそうだな」と適当に返すと、すぐに議題を変える。


「続いて、各支部、本部の現状についての報告を行う。まずは北部本部から」


 そう前置きしてから本題に移る。


「北部の仲間は親父以外は全員無事だったが、アジトの中にあった活動資金や食料はほとんど持ち出せなかった。今はまだ備蓄はあるが、長くは保たないだろう。また貴族か商人を襲うか賞金付きの手配中の魔獣や魔物を狩るしかないが、親父が処刑されたことで兵士達が活気づき始めているし、ライアス王国では軍を増強する動きが見える。今後は表立った活動も難しいだろう」


 ルアス同盟の活動資金や食料は基本的に現地調達だ。

 アジトが襲撃されたという緊急事態であるため他の支部から金を借りることもできるが、資金不足はどこも一緒であり支部の仲間に余計な負担をかけるわけには行かない。


 ついでにルアス同盟について改めて解説すると、 この組織は北部本部と中央、西部、南部、東部、諸国連合にある五つの支部から成り立っている。

 共通の任務として『亜人族の救出・保護』、『周辺国の動向調査』、『ペシオ教関連施設への襲撃』、『信仰心の強い貴族・商人の抹殺』を行う他、各本部支部にそれぞれの役割を割り振っている。

 俺が統括する北部本部では『ライアス王国の監視』、『組織全体の統率・運営管理』、『メンバーの配置等』を担っている。


「俺からは以上だ。何か質問は?」


 俺が報告を終えるとデーレンが手を挙げた。


「あんなことがあった訳だし、ほとぼりが冷めるまで本部の奴らをこの城に隠した方がいいんじゃないか、フレイ?」

「そうしたいところだが、負傷者を全員運ぶ余裕はない。たとえ怪我が完治できたとしても、厳戒態勢が敷かれているあの街から全員を脱出させるのは無理だろう」


 本部が設置されているライアス王国からレーアイナ公国までは距離がありすぎるため俺はこの提案を呑まなかった。

 今はライアス王国の王都ラドエレム内にある臨時のアジトで身を隠している。ほとぼりが冷めるまでは何もせずにじっとするのが最善だろう。


「他に質問は?無いなら次に移ってくれ」


 俺が促すとシアレムが手を挙げた。


「西部支部の報告をいたします。リドアス様の処刑の影響がアリラン皇国とその周辺国にも出ているようで、聖教騎士団の動きも活発になりました。今後の支部の活動にも支障が出るでしょう。私からは以上です」


 西部支部はペシオ教総本山のアリラン皇国に一番近いことから『アリラン皇国の監視』『ペシオ教直属聖教騎士団の弱体工作』『教皇の布告の早期報告』といった難易度の高い任務を行っている。

 シアレムが報告を終えると次はデーレンが報告を行う。


「中央は以前とそれほど変化はないが、この時期は奴隷の取引が盛んになる。仕事が可能な所からすこしずつ潰していく予定だが、場合によっちゃあ増援を寄越してもらうことになるかもしれない」


 中央支部はレーアイナ公国という一組織が使うには十分すぎる拠点があり、役割も『勉学・戦闘訓練等メンバーの育成』『武器の生産・開発』『魔女族との共同魔法研究』『食糧生産』など重要なものを担当していることもあって構成員の数は最も多い。 

 しかし、経験不足の者も多いため本部や他の支部から人員を送ってもらうことも少なくない。

 デーレンの報告が終わり、続いてオムギルが立ち上がった。


「以前解放した亜人族奴隷を無事に送り届けた報酬が諸国連合本部からもうすぐ贈られてくるぜぃ。届き次第本部にも送金する予定だ」

「それは助かる。よろしく頼むぞ」


 諸国連合支部はほとんどが亜人族で構成され、『救出した亜人族の護送』や『諸国連合からの依頼の引き受け』が主な仕事である。

 亜人族の救出とペシオ教の打倒がルアス同盟の活動目的だが、諸国連合からの正式な依頼で救助活動などをすることもある。

 ちなみに、諸国連合側は皆がルアス同盟の存在を知っているわけではなく、国家上層部の一部や民間の協力者だけである。


「…………」


 オムギルが報告を終えると、鉄目てつめが俺に書状を差し出した。

 南部支部は中立勢力に属するデルメロア連邦に設置されている。他の支部に比べて比較的安全圏にいることから『反ペシオ教教育の支援』『各支部への物資供給』『反ペシオ教広報活動』といった文化面の任務を担っている。ほかの反ペシオ教組織もこの国に拠点を設置しているため、組織同士で手紙のやりとりなどをすることもよくある。

 俺は書状を受け取って押されてある印を確認した。


「……またか」

「どうしたの、フレイくん?」


 アリッサさんが俺に聞いてきた。

 俺は書状の印をアリッサさんに見せる。


「ああ。『ラス・ヴィレイト』のあの娘か……。いっとくけど、婚姻の話は乗ったらダメだからね!」

「わかってますよ。というか、何度も断っているんですが向こうが一向に諦めないんですよ」


 『ラス・ヴィレイト』。俺達ルアス同盟や魔女族同様に反ペシオ教組織の一つだ。

 俺はこの組織の首領ボスのヴィリア・トレステンから何度か結婚を申し込まれている。

 ラス・ヴィレイトとは特別関係が悪いわけでも、その組織自体悪評が強いわけでもないし、ヴィリア・トレステンも女性としては悪くはないが、ある時反ペシオ教組織同士の会合で会って以来しつこく俺やルアス同盟に執着するようになってきた。

 組織の首領ボス同士が結婚をするということは、組織も事実上統合することになる。

 統合して勢力が拡大すること自体は悪いことではないが、元々の組織の方向性自体が違うため、内部分裂や反乱が起こる可能性が出る。

 場合によっては自分の勢力が相手に飲み込まれることもある。

 そういう理由で何度も断っているが、俺やルアス同盟がよほど惜しいのか向こうは全く引き下がる様子がなくて困っていた。


 一応は内容の確認をするため、書状を開いて内容を読む。

 親父の死を悼みつつ俺を励ます言葉が最初に数行だけ書かれていたが、その後はやはり俺との婚姻を誘う話が長々と書かれていた。

 ほとんど頭から切り離していい内容だったが、追伸の部分には比較的重要な内容が書かれていた。

 俺はその部分だけをアリッサさんにも伝えた。


「二ヶ月後にデルメロア連邦で反ペシオ教組織同士の晩餐会を開くから参加するようにとのことです」

「あ~。そう言えばここのところ全然出てなかったね~。たまには顔を出したほうがいいかな。フレイくん?」

「そうですね。一応、首領ボスが変わったわけですし、周辺に顔が利くようにしておかないと、後々面倒になりますしね」


 デルメロア連邦では国内の反ペシオ教の派閥が数ヶ月に一度反ペシオ教組織を招いて晩餐会を開く。

 組織同士の親睦を深めさせることを目的としており、実際にそれがきっかけで同盟を結んだ組織も数多い。

 場所が遠いから進んで行こうとは思わないが、ルアス同盟の首領ボスとして俺も一度は社交場に出ておかないと他組織から敬遠されてしまう。

 二ヶ月以上も先のことだし、予定を合わせておこう。


「他に知らせることはないか、鉄目てつめ?」

「…………」


 鉄目は首を横に振った。

 そして最後はレイラの番に移った。


「東部支部は特に進展も大過もありませんが、ノイズ王国内のサノン山に隠れていた亜人族の集落が王国軍に占領され、住民は奴隷として捕らえられました。今は各所の奴隷商人に引き渡されており、我々は彼等の店を特定し次第襲撃します」


 東部支部は他と比べて比較的仕事が少なく、主だった内容といえば『諸国連合側の密偵の支援』ぐらいだ。以前は一種の左遷場所にしていたが、少し前に大規模な人事移動を行った為、配属メンバーが少しおかしい状態になっている。


「了解した。しかし、ノイズ王国か……いつ聞いても忌々しいな」


 ノイズ王国とは、大陸東部の小国でライアス王国の同盟国でもある。

 ライアス王国に『聖戦』と呼ばれる聖教同盟国家の連合軍による侵攻があった時、ノイズ王国軍は俺の祖父ルアスを捕縛して戦功を立てた。今のライアス王国がノイズ王国と同盟を結んだ理由もこれだ。そのため、オーレンド一族にとっては目の敵とも言える国家である。

 更に諸国連合国家のエリストア帝国と国境を接しており、聖教同盟と諸国連合の最前線に位置しているため、あらゆる国家や組織も重要視している。


「それと、もう一つ……」


 レイラが話の続きをしようとした。だが、何故かそこから言葉を出さなくなった。

 どうしたのかと思って顔を見ると、何かを悩んでいるような複雑な表情をしていた。

 冷静な判断能力がある彼女にしては珍しく悩んだ顔をしているため、どうしたのかと俺は聞いてみた。


「どうした、レイラ?」

「申し訳ありません、フレイアス様。これから報告する内容は非常に現実離れした内容であるため、伝えるべきかどうか……」

「どんな些細な事でも気になっている情報なら教えてくれ」


 俺に促がされたレイラは報告を続けた。


「ノイズ王国のさらに東にある未開の地で妙な動きがあったそうです」

「未開の地で?」


 未開の地とは、ノイズ王国の東側に存在する名前もついていない土地だ。

 過去にノイズ王国はこの地を獲得するために軍を派遣したが、盗賊か何かの奇襲を受けて失敗に終わった。

 そんな場所で何かあったとしてもこちらには関係ないとは思うが、一応は気になるため俺は更に続けるように指示した。


「人族の集団が全長150〜200m(メイル=m:メートル)はある巨大船に乗り、未開の地で開拓を始めているそうです」


「おいおい、150(メイル)だと?」

「そんな非常識な」

「…………」

「そりゃ絶対ガセだぜぃ」

「いくらお姉さんでも、それは信じられないな~」


 報告を聞いた代表達は、案の定馬鹿にするかのように笑った。レイラも「やはり言うべきではなかった」と項垂れている。

 これは当然の反応だった。

 このアルデオ大陸に存在する船はどんなに大きくても40〜60メイル程度だ。

 それより大きくすると木製の船は浮力が勝って喫水(船底から水面までの船が沈んだ長さ)が少なくなり、船体が安定しにくくなって海に浮かべた途端に大きく傾いたり倒れて沈んでしまう。

 普通に考えて全長150メイル以上の船が水の上に浮くなんて有り得ない話だ。

 会議室内で誰もが笑う中、俺は特に何も思わずにレイラに追求する。


「情報元はどこだ?」

「魚人族の人魚族です」


 魚人族とはアルデオ大陸近海に住む亜人族の総称で、人魚族はその中でも上位種族である。

 他にも鮫人族や海月族、蟹人族などといった多数の種族が存在する。

 彼等は海底に王国を築いているが、詳しい位置は防衛面の関係で諸国連合国家の者しか知らない。


「人魚族か……巨大船の話はともかく、開拓が行われているというのは気になるな。それが本当ならノイズ王国が遠からず気づくはずだ」

「あれっ?フレイくんは信じるの?」

「興味があるだけです。レイラ、情報の確認作業は行っているか?」

「一応、確認のためにハーミルを未開の地に派遣しましたが、到着まではあと数十日かかると思います」

「待て、ハーミル一人だけか?」

「あっ。……はい、一人で行かせました」


 レイラはバツが悪そうな顔で俯いた。

 俺は少しキツい口調で叱りつける。


「偵察任務では二人以上つけるのが義務だったはずだぞ」

「申し訳ありません。亜人族の救出に人員を割いていた上に、内容が内容でしたので、少し見てすぐ戻ってくれば良いという程度にしか考えていませんでした」

「レイリーはどうした?あいつならハーミルの任務にはほぼ間違いなく同行するはずだろう」

「レイリーはノイズ王国の王城で別任務にあたらせています。諸国連合側からの要望で支部への帰還時期を延期させたため、当分動かすことはできません」


 偵察任務は高度な情報収集能力と正確性が求められる任務であるため、通常は三~五人程度で行うものだ。

 おそらく、レイラは情報の内容を信用せずにとりあえず本当かどうか確認するだけなら一人でも十分だろうと考えて、ハーミルを未開の地に送ったんだろう。ここからは勘だが、それが終わった後はノイズ王国にいるメンバーと合流させて救出任務を一緒にやってもらう予定だったとかも考えられるな。

 でも、東部支部はメンバーの関係で少しばかり問題がある。通常任務でも余分に人員を割らずにいられない状態であるのも確かで、真偽のわからない情報の為に余分な手間も時間もかけたくない気持ちもよく分かる。

 だが、規則は規則であるから俺は簡単に指示を出した。


「まあ、東部支部は色々問題があるしな……。とりあえず、亜人族の救出を最優先にしつつ、未開の地の情報も本部に報告してくれ。人魚族の話が本当だとわかったら偵察を続行、なるべく早めに斥候の増員も行え。接触か強襲の判断のため、逐次報告することを怠らないように」

「わかりました」


 最後の報告が終わった。

 だが、俺はまだ聞きそびれていることがある。


「みんな、報告が終わったところで申し訳ないが、念の為に最後に聞いておきたい」


 俺は一息おいて尋ねた。


「ダークエルフ族に関する情報は入ったか?どんなに小さなことでも構わない」


 これは親父も会議の度に尋ねた質問だ。

 そして、全員が出した返答は予想通りこれまでと同じものだった。


「西部は残念ながら……」

「こっちもさっぱりだぜい」

「…………」

「南部もそうなのか……。中央も同じだ。全く手掛かりになる情報はない」

「東部もダメです」


 俺は落胆してため息をついた。


「フレイアス様、あれからもう五十年も経っています。なのに情報が全く入ってこないとなると、これ以上捜索を続けるのは……」

「彼らは隠密行動を得意としている種族だ。まだ望みが消えた訳じゃない。本当に滅んだという証拠が出ない限りは、捜索は止めない」


 ダークエルフ族とは、この大陸に暮らす種族の一つで隠密や暗殺を得意としている。外見はエルフ族と似ているが、肌は褐色で髪は白色だ。肌と髪の色以外はエルフ族と大差なく、人並み外れた魔力と寿命も特徴だ。

 ペシオ教ではダークエルフ族が大崩壊を起こした張本人だと決めつけていて、亜人族の中で最も強い迫害の対象にされている。また、暗殺や潜入任務を得意としている種族であることから、他の亜人族からも疎まれている。

 その大陸で最も蔑まれている種族の行方をルアス同盟は設立時から今日までの五十年間追い続けている。

 なぜならルアス同盟の本来の活動目的は、ライアス王国の奪還と彼等ダークエルフ族の救済なのだから。


 しばらく沈黙が続いた。

 これ以上は話すこともないので、会議はお開きにしよう。


「以上で第58回ルアス同盟報告会議を終了する。各自それぞれの使命に専念するように。解散」


 それだけ言うと俺はローグを連れて会議室を出た。






「フレイアスさん。レイラさんのあの話、無視しても問題ないんじゃないですか?」


 自分達の馬を停めた厩舎に向かう途中、ローグが俺に話しかけてきた。


「なぜだ?」

「ただでさえ東部は人員の問題があるのに、真偽のわからない事に深追いさせる訳にはいきません。どうしても気になるなら仕方ないですけど、亜人族の救出を終えた後で調査を始めても遅くないと思います」


 確かに、ローグの言う通りで今のルアス同盟に事実かどうかも分からない話に人員を割く余裕はない。

 だが、俺はローグの提案を一蹴する。


「せっかく偵察に出たハーミルを今更呼び戻すのはあいつに悪い。それにあの話は嘘にしてはやけに下手過ぎる。俺の経験上、こういう話は意外と本当だったりするんだ」

「仮に本当だったとしても、人族の集団ならどこかのペシオ教国家の可能性が高いですよ。接触は無駄かと思います」

「船の話を思い出せ。今のアルデオ大陸に全長150メイル以上の船を造る技術を持った国はあるか?」

「……いいえ。ありません」


 それはそうだろう。

 そんな物を造る技術があったら大陸を揺るがす大発見だ。


「それを踏まえて考えると、その集団がアルデオ大陸の人間である可能性は低い。海を越えた先にある大陸か島から来た国家か部族と考えるのが妥当だろう」

「しかし、僕等はやってることがアレですし、彼等が友好的に接してくれる保障はありませんよ」


 痛いところをついてきたな。

 ルアス同盟は強盗や誘拐といった犯罪行為も行っている。そのため、ペシオ教と無関係の勢力であったとしても好意を持って接してくる可能性は低い。

 犯罪行為が売りの勢力に表立って友好的になる連中なんているんだろうか?


「それを確かめるために偵察を出したんだろう。友好的でなくても俺たちの障害にならなければいい」

「障害になった時は?」

「大陸から出て行ってもらうまでさ。それが無理でも釘をさすことぐらいはさせてもらう。こちらには優秀な戦士と魔法士……いや、魔女がいるしな」


 その集団がどんな連中であろうと邪魔をするなら容赦はしない。

 俺はは心の中でそう決意した。

 やがてローグは遠慮気味に最後の質問をする。


「ところで、その集団が本当にいることを前提に話をしておいて非常に聞き辛いのですが……その話自体が嘘だった場合はどうしますか?」

「……その時は……泣くしかないな」

「……フレイアスさんって、こういう時はいつもそう答えますね」


 ローグは苦笑いをしながら言った。

 ここまで計画を練ったのに、その話自体が嘘だったら真剣に考えていた自分が馬鹿らしくなってしまう。

 何も無いならそれで良いのだが、やはり真面目に考えていた者としては悔しい部分もある。


「いずれにしろ、数日後の結果が来るまでは自分達の仕事に専念しよう」

「そうですね。」


 二人は厩舎の前まで着くと、自分達の馬を連れ出して跨る。

 そして、本部に向けて馬を走らせた。





ライアス王国 王城

ニノ月二十日


「これは……どういうこと!?」


 私、ライアス王国王女アリア・ベムラートは自室で父オーギスが立てた国家方針立案書を読んだ途端、怒りがこみ上げてきました。

 商業、内務、外交、農務、軍事などの様々な方針が長々と綴られていますが、その中で無視できない項目がありました。


○兵力約3000人の増員

○ワイバーン8匹の追加

○それらに伴う増税


 この三つです。

 まるでこれから近隣国へ攻め込むのかと錯覚するほどの軍の増強。一度にこれだけ増強を行うなど普通では考えられません。

 特にワイバーンは維持費が非常に高く、一、二匹程度ならまだしも八匹は明らかに国庫が揺らぎかねないのです。

 ライアス王国は近くに亜人族国家がある訳でもなければ近隣諸国と敵対している訳でもありません。

 にも関わらずこれほどの愚行に出る理由が思い当たりません。

 その上、今でも十分に高い税を更に上げるなんて国民を何だと思っているのでしょうか。

 こんなことをすれば国民の怒りが頂点に達して反乱が起きるのも時間の問題です。

 増税をする前に今の貴族達の汚職や横領をどうにかすることの方が先だというのに。

 やがて、私の元に従者の侍女が入って来ました。


「アリア様。オーギス国王陛下がお呼びです。玉座の間までお越し下さい」

「……わかったわ。すぐに向かいます」


 そう言うと私は方針書を持って父のいる玉座の間に向かいました。

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