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Rumble  作者: 久遠
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第7話:聖戦

始業式から一週間たった昼休み…


新しいクラスメイトにも慣れ、各自友人と集まり、昼食を取っている。


まぁ…俺達も例外じゃ無いんだけど…


購買で買ってきたサンドイッチを食べながら視線を隣に向ける…


「彼女でも無いのに、合鍵を持っているのはおかしい!」


「あんたには関係無いでしょ!」


「関係はある!私は幼馴染みだ!私の方が、合鍵を持つのにふさわしい!」


「だったら、私はお隣さんよ!和人の面倒は私が見るんだから!」


……これだ


琴乃が打ち解けたのはいいが、事ある事に、彩花とやりあっている。


「仲がよろしいですね」


「「何処が!?」」


にっこりと微笑む華蓮に二人が声を揃えて反論するが、息は合っている。


「では、此処は間をとって、私が…」


「「却下!!」」


「……ふふ、本当に仲がよろしいですね…」


何故か、華蓮まで加えて、三人で不穏な空気を作っている。



そんな三人。いや、彩花と琴乃を見ていると、ハジが口を開いた。


「……二人は水と油だね」


「となると、和人は火だな」


「? どういう意味?水と油っていうのは分かるけど…」


ハジと冬至の言葉にひかりが返す。冬至は笑いながら


「和人って言う、火が二人を熱するから余計に反発するって事だよ」


「………」


「白樺さんも結構、積極的なんだね。さりげなく、漁夫の利を得ようとしてるし…」


「あの手のタイプは敵にまわすと怖いぞ…。う〜ん、それにしても…やるな〜和人。まぁ、和人なら当然って気もするけどな。さて、一体誰が勝つかな…」


冬至の言葉に複雑そうな顔のひかり。そんなひかりにハジは…


「水野さんも積極的にいかないと…負けちゃうよ?」


ハジの目線の先には、三人をなだめている和人の姿があった。



どうにか騒動は静まり、食事が再会される。


「さて、お三方。今日は例の日だから、戦闘準備をして置くように!」


「へ〜、今日なのか…して、ターゲットは?」


「卵だ!」


和人と冬至の意味不明の会話に首をかしげる、琴乃達。


「悪いけど…俺はサッカー部があるから行けない」


「あ、私も剣道部があるから…」


「な、何!?お前ら、あの時の戦友の誓いは嘘だったのか!?」


冬至と彩花の言葉に和人が問うが…


「んな事、言われてもな…」



「部活なんだからしょうがないでしょ!!」


「くっ!華蓮…聞いての通りだ……。今回は俺とお前の二人だけで戦いに望まなくてはならない…」


「頑張りましょう…何があっても、私はあなたの側にいますから…」


「華蓮…。俺もお前を必ず護る!だから、絶対生き残ろう!」


手と手を取り合い、見つめ合う、和人と華蓮。


「な、なによ!し、仕方ないじゃない。部活なんだから!華蓮ばっかりさ…」


後半の呟きは、小さくて和人の耳には届かない…そして、鈍感な和人は彩花の心情に気がつくはずも無く…


「だから、部活に行けばいいじゃないか。華蓮がいるから気にしなくていいぞ。な、二人で頑張ろうな〜」


「はい♪」


「…か、和人の馬鹿ーーー!!」


「…お、おい!つ、机は洒落に…う、うわぁああ!!」


彩花が机を持ち上げ、和人に投げる。和人は華蓮を逃がし、自分が逃げる間を失って、そのまま机の餌食になった…



「……ねぇ、それで結局何の話?」


「あぁ…それはね……」


ドタバタの原因となった意味が分からず、疑問府を浮かべている、ひかりと琴乃に冬至が苦笑いをしながら説明を始める…




放課後


各自、部活や帰宅の教室を後にする。そして、和人は華連、そして。ひかり、琴乃という増援を引き連れて学校を後にした。



「しかし…あれほど騒ぐ事なのか?」


呆れたように言うのか琴乃。


「…貴様は戦場という所を理解していないようだな…」


真剣な表情で告げる和人。昼間の攻撃では傷一つ負っていない。和人曰く、あの程度で怪我していたら、身がもたないらしい


そして、四人は駅前の方向に歩いている。向かう先は…


「大袈裟だな〜、たかがタイムサービスでしょ?」


大型スーパー『トミタ』である…。そして今日はタイムサービスの日。


お一人様限定の商品を多く得るために、いつもは彩花達に増援を頼むのだが、今日はこの二人が手伝ってくれるらしい…


だが…


「甘い!これだから新兵の世間知らずは…。これから向かう所の厳しさを分かってない!」


しかも、今日は卵。お一人様12個入り、一パック五円の価格破壊。


超激戦区。歴戦の猛者が集うのだ


だが、二人は事の重大さが分かっておらず、ノーリアクション&苦笑い


「………もういい。新兵に構っていたらこちらも危うい…お前らはもう助けん!俺達だけでも戦うぞ戦友!」


「はい♪」


俺は、頷く華蓮の手を取って走り始める


「お、おい!和」


「ま、待ってよ〜」


慌てて二人が追い掛けてくるが立ち止まる訳には行かない…。急がねば不戦敗になってしまう。


「ちぃ!遅かったか…」


トミタ店内の一角が人混みで溢れ帰っていた。


店員が手渡す卵を取るために皆が手を伸ばす。


「まだです!まだ間に合います!和人さん!」


悪態をつく俺に華蓮が言う。


「そうだな!じゃ行くぞ華蓮!新兵共も続け〜」


目の前の光景に唖然とする二人を叱咤し、俺と華蓮は突貫していく



「はぁ…はぁ…やった…」


人混みから這い出て戦利品を確認。卵の場合、人混みで割れてしまう恐れがあるため、入手難度は最上級に位置するのだ…


「全機…損害なし。ふぅ〜」


「お疲れ様です」


疲れたような息を吐く俺に、帰還した華蓮が告げる。手には損害なしの戦利品。


毎回思うが、淑女のような華蓮はどうやって、戦場を駆け抜けているのだろう…

疲れている様子もない…


不思議だ…


「あのお二人は大丈夫でしょうか?…」


人混みに紛れて姿は見えない…


「戦を甘く見た罰だな……世間の荒波にせいぜい揉まれて、考えを改めればいいさ…」


少しは社会の生存競争を知った方がいい…



あの後、人混みが無くなり、ヘタリこんでいる二人を連れて、会計を済ませて、店を出た。


「あ、甘く見ていた…」


「ふ、二人とも…いっつもあんな事してるの?」


今日のことがいい教訓になったようだ…。当然、二人は敗残兵。卵は無い…


「情けない…。母親に頼まれ、子供も参加する戦場でこの体たらく。お前らも将来結婚して、主婦になるんだから、今のうちから慣れておいて損はない…」


「結婚…」


「主婦…」


二人の顔が赤く染まるが気にせず和人は続ける。


「華蓮を見ろ!何時、お嫁に行ってもいいくらいだ。」


「ふふ…ありがとうございます」


この言葉に、華蓮は微笑みながら答えるが…他の二人は冷たい視線を送る…


「和は…彼女のような……」


「人がタイプなの!?」


「は、はぁ!?って、何で怒ってんだよ?」


「「知らない!!」



この後、華蓮が和人の手を繋ぎ、余計に不機嫌になる二人に必死に弁解する和人だった…

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