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Rumble  作者: 久遠
32/38

第31話 競え!激闘球技大会 第二幕 恋する乙女とライバルと

前回同様、作者はスポーツに詳しくないので、これ違うんじゃね?などと思うかもしれませんが御了承ください。

エピソード3 サッカー


――Side Kazuto Himuro


グランドにて行われるサッカーの試合を見に来たのだが…


「なぁ、彩花」


「何よ!?」


何で怒鳴るんだよ…


「い、いや、えっと……あ、琴乃」


「……何か用?」


うぅ…視線が冷たい…


「……うっ?…ひかりさん?」


「………」


無視ですか…


そう、なぜだがすんごい機嫌が悪いお三方……向こうではハジが膝を抱えて震えている…


「…仕方が無いじゃないか…僕に和君が制限できるわけ……」


なんかブツブツ言ってるし、そっとしとこう……


えっと…俺じゃないよな?うん、今日は殆ど会ってないし。何かあって機嫌が悪いんだろう…


そう結論付け、今度は打って変わって上機嫌の沙耶香に話しかける事にした。


「でさぁ、さっちゃん、ついてねーよな!」


「誰がさっちゃんですか!!馴れ馴れしいですわよ!!」


「いや〜殺伐とした空気を和ませようとしたおちゃめなジョークじゃん」


「………逆効果だと思いますわ」


何っ!?


おそる…オソル…視線を向けると


ひっ!?


呪詛でもかけるのかって位に睨んでくる三人…なんでじゃ!?


あぁ…もう泣きてぇ…


「…はぁ……確かについてませんね。よりにもよって初戦から時雨さんのクラスが相手ですし…」


「だよな!いやーついてないよな〜」


俺が出来ることといえば、気にしないことしかない。そうだ、無視だ。俺は何も悪いことなんてしてない!さっちゃん…もとい沙耶香が話を戻してくれたので俺もそれに乗った。


「時雨さんといえば…去年、国際試合にも出た実力者ですわ」


「……あぁ、U17だっけか?すげぇよな」


名実ともにサッカー部のエース。当然、うちの学校のサッカー部は強い。だが…


「ですのに、全国制覇は成し遂げられていませんわ…」


「冬至曰く、決定打にかけるらしい。フォワードにストライカーが欲しいって言ってたしな…」


去年の春…いや、一昨年の冬だったかな?何度かサッカー部に誘われた記憶があるが…ことごとく断った。俺なんて戦力にならんし、朝連…考えるだけでぞっとするな…


そんな事を考えているうちに…どんどん人が集まってきて…


『時雨先ぱ〜い!!』


『頑張ってくださ〜い!!』


女の子から黄色い声援が飛ぶ…


「相変わらずモテモテだな…ま、うちの学校のスターといっても過言じゃないしな」


「まぁ、うちの三大美形の一人でもあるしね…」


復活したハジが俺の言葉を返す。


「三大美景?」


「違うよ三大美形。うちの学校での美形、上位三人って事。ちなみにファンクラブもあるし」


マジか!?我が親友よ。お前は何処まで行くんだ!?


「ん?って事は、後、二人居るって事だよな?」


「うん居るよ。A組の滝川俊吾と…]


「知らない名前だな…。で、最後の一人は?」


むっ?なんでそこで俺を見る。


「和君だよ」


「…そうか……あいつかぁ……って、はぁ!?今なんつったよ?」


「だから、和君。氷室和人だよ。僕の目の前にいるね」


呆れたように言うハジだが…ははぁん…


「あっはっは、冗談にしては中々に笑えるな」


「いや…冗談って…」


「あり得ん!俺は奇異の目で見られることはあってもそんな目で見られたことは無い!その証拠に冬至のようにラブレターやラブコールも受けたことが無いぞ!!」


今までの人生を振り返ってみても……分かる。大体、こんな目の色や髪の色の俺がそんな分けないのだ。


「はぁ、もういいよ」


肩をすくめるハジ。何だよその態度は…


その態度について問い詰めてやろうと口を開くが…


「はっはっは!!残念だったな時雨!!この勝負は俺が貰った!!」


フィールドの中央。高らかに笑う琢磨ばかの声が聞こえてきた…


『冬至くんを侮辱する気!?』


『常盤先輩なんて負けちゃえ〜!!』


「ふっふっふ!!聞け!周りも俺の応援をしてくれている!」


そういや…バスケのほかにサッカーに出るって言ってたっけか…


「都合のいい耳…いや、この場合脳みそだな」


「テンションが上がって、アドレナリンも多くなってるから、都合のいい脳内変換機能が働いてるんだよ」


幸せな奴……


そんな事を考えながら琢磨を見ていたのだが…


「こらぁああ!!」

「無視!!」

「しないでよ!!」


「どわっ!?」


放置していた三人が襲い掛かってきた…



そうこうしている内に…


7−0……試合終了!


「…くそぉぉおお!!」


キャーキャー言われている冬至を尻目に、項垂れる琢磨。


「つか!てめぇ、イチャついてないで応援しろよ!!」


ビシッと指を指す。その視線の先では…


「これがイチャついているように見えてるのか?」


心底疲れた……あれから、怒りの原因を聞いたが、どうやらバレーの応援に行かなかったことらしい……


その件について、ご機嫌を取り、必死に宥めて今に至るわけだ…


「そんなのいいから行くわよ!」


「あぁ、そろそろ私達の試合だ」


「うん。ちゃんと見ててね♪」


そんなの扱いされた琢磨はますます落ち込み。俺はその姿を見て、同情という感情を抱きながらずるずると三人に引きずられていった。



エピソード4 バレーボール



――Side Ayaka Tatibana


バレーの一回戦ではあいつは見学に来なかった。


けど、二回戦からはちゃんと私達を見てくれている……チャンスだ!否が応でも気合が入る。


バレーのルールは15点で一セット。先に2セット取った方が勝ちである。


そして、今は14−9。相手のセットポイント


「だから!!私が打つって言ってるでしょ!!」


「いいや!これだけは譲れない!私が決める!!」


「ううん!!ポジション的には私が行くべきだよ!!」


「「「私にトスあげて!!」」」


とかやっている間に…一セット取られた……



――Side Kazuto Himuro


「何やってるんだかな」


涙目で困惑していたセッターの役割をしている子が可愛そうで仕方が無い。名前は………なんだっけ?


「あいつら、あんなに仲悪かったか?」


「……別の要素が関与してるんだよ」


むむぅ…何故、そこでため息を吐くんだよハジ


「どういう事だよ?」


「なんでもない……よし!このままじゃ負けちゃうよーー!!いいのーー!?負けたら元も子も無いでしょう!!」


ハジが檄を飛ばす。何のことだ?負けたらなんかあるのか?


――Saide Hikari Mizuno


一文字君の檄が聞こえた…そうだ。確かにこのままじゃ、和人君にどうこうするっていう話じゃなくなっちゃう…


そうだ!何もアタックなんて打たなくても……ちゃんと、和人君は私の頑張りを見てくれるはずだ!


そう考えると、今までの事が馬鹿らしく…そして恥ずかしくなってきた


「私、レシーブに専念するね」

「仕方が無い。私が取るから決めてよ!」

「私がリベロを努めるから。あとは頼む」


あれ?


三人して顔を見合わせる。考えることは同じだったみたい。


「ふふ、じゃ、その場その場でちゃんとやろうね」


「そうね。でしゃばるのは止めましょう」


「あぁ、誰が打っても恨みっこ無しだ」


よし、方針は決まった!


そして、2セット目で私達は…


「私が取るね!彩花ちゃん!」


「おっけー!行くわよ琴乃!!」


「任せろ!」


流れるようなレシーブ、トス、アタック…


そこから生まれたキレのあるスパイクが、相手コートに突き刺さった。


――Side Kazuto Himuro


おぉ!クイック決めた!


「やっと、本来の力が出始めたね」


「…あぁ、素敵だ…うぉぉ!!俺と結婚してくれぇええ!!」


変な咆哮に…じゃない、方向にテンションがあがりつつある琢磨を誰もが無視しつつハジに…


「ああ、あれくらいは当たり前だ。あいつら運動神経いいからな」


総合的に見て、うちのクラスの女子は運動神経が高いのが揃っている…こりゃ、貰ったな……


そして、その後、試合をひっくり返し、そのままの勢いで決勝へと駒を進め…


「よ〜し!最後は!」


「三人で!」


「決めるわよ!!」


上がったトスに三人して飛び、そのままアタック。


「と、トリプルアタックだと!?」


「ま、漫画の世界だね…」


「……ま、決まったからいんじゃね?」


そのまま、相手のコートに叩き込み、優勝を決めた。


わぁっと歓声が上がり、選手達を褒め称える。何故か、満面の笑みを浮かべて両手を広げて…


「ふふ、どんとこーい」


とかほざいている琢磨。……何がしたいんだろうか?


「和人ぉー!」

「和!」


彩花、琴乃の二人人が駆け寄ってくる……っておい!


「っ!?」


一切、減速せずそのままだとぶつかりそうなので咄嗟に左に避けた。ふぅ〜危なかった…


「…何故に睨むよ?」


避けたのに二人人から睨まれた。何故だ!?


とか思っていると、


「えい♪」


ポフッと後ろから誰かに抱きつかれた。


「「あ!?あぁ!!??」


「えへへ、時間差だよ♪」


「ひ、ひかりさん…えっと、あのですね…」


あの、柔らかくて、あったかくて…男には無い…形容しがたいものが背中に当たってるんですが…


「ゴロゴロ♪すりすり…」


猫を思わせるように身体を摺り寄せてくる。あのですね、自分の魅力を自覚してください。俺も、男なわけで、今のひかりは凄く可愛くて…何気に銀狼なんて呼ばれていたわけで…


猫は捕食対象なんですヨ?


って、む!?


殺気を感じ、咄嗟にひかりから飛びのき、後ろを振り向くと…


「どわ!?」


さっき避けた二人が突っ込んできて、そのまま押し倒された…。ひかりから飛びのくタイムラグで回避行動が遅れたのだ…まぁ、ひかりを巻き込むよりはいいか…


「あ!?ず、ずるいよ!私が堪能してたのに!!」


「どっちがよ!ひとりだけいい思いして!!」


「あぁ、和ちゃんだ♪和ちゃんだ♪くんくん…和ちゃんの匂いだぁ♪」


押し倒した二人にひかりも加わる。頑張れば跳ね除けられるけど、こいつらを怪我させるしな…。


つか、琴乃さん、くすぐったすよ。それにくんくん匂いを嗅いでほにゃ〜っとならないで下さい。ってか、性格変わってる!?口調が昔になってるが、こっちが地なのだろうか。


ひかりが猫ならコイツは犬だな。で、残った一人は…


「……カプ♪」


「か、噛むな!」


か、噛まれた。そりゃ、本気じゃないから痛いというよりくすぐったいんだけど…彩花さんよ。年頃の娘さんが男の首筋に噛み付いちゃいけませんよ。


「ゴロゴロ〜♪スリスリ〜♪」


「クンクン♪キュ〜ン♪」


「カプ♪…ハムハム♪」



あ〜もう!!突っ込みどころ多すぎ!!ボケ三人に対して、ツッコミひとりは処理が追いつかん…


それに!この状態は非常に拙い。場所が場所なら理性君はお空の彼方へ飛んでいるだろう。俺も健全な男だもん。身体の彼方此方に柔らかいのは当たってるわ、女性特有の甘いような体臭と汗が混ざり合った匂いと、火照った身体の熱さが伝わってくるわけで…


心臓バクバクデスヨ…あぁ、このまま死ねたら男として幸せなんだろうなぁ……


だが、死ぬわけにも行かないので助けを求るのだが…


「よかったね」


ハジは微笑ましげにそれを見ながら、超高速でハジモバイルを操作しつつ…この野郎!デジカメを構えるな!!


「くそぉお!氷室なんて…大っ嫌いだぁああ!!」


血涙を流しながら琢磨は走り去ってしまった。そこに…


「いい加減にしなさいな!」


「そうですね。これは目にあまります」


「和人。理性は残ってるかー?」


やってきた、沙耶香、華蓮、冬至が三人を引っぺがしてくれて、事泣きを得た…


「ふー!ふー!」


「ばう!ばう!」


「うぅ〜、ぐるぅぅ!」


離された三人は揃って唸っている。完全に獣化モードだ……人としての理性は何処かに置き忘れてきたらしい。まぁ、ともかくだ…


「はぁ〜〜。つ、疲れたぁ〜……」


なんで出ても居ない競技で疲れにゃならんのだ………


つか、みんなさ今日おかしいよ……ん?待てよ、民主的に考えると、皆がおかしいって事は…


あれ?もしかして俺の方がおかしいのか?


色々考えてみたが結局答えは出なかった……。



エピソード バスケット


野球、卓球などの種目は残念ながら二回戦と初戦敗退という結果に終わり、残す競技はバスケと剣球の二つ。


バスケのルールは10ハーフで計20分。んでもってバスケは一回戦から順調に勝ち上がって、決勝まで来た……


「現時点での順位は?」


彩花がハジに聞き、皆はその言葉に耳を傾ける。


「えっと、現時点での1位が3−A。2位が3−C…僕たちは3位だよ」


「バレー、ドッチボールで優勝したのですが…野球と卓球はAに、サッカーと女子テニスはCに優勝を持って行かれていますから…」


悔しそうに言う沙耶香。こいつは、優勝できなかったことをまだ悔やんでるのだろうか?


「このバスケと剣球で優勝すれば逆転できるよ」


とは言うが、状況は厳しい。逆に言えばどっちかを取りこぼしたら優勝は出来ない。バスケは幸いあと一つだが、剣球は全ての競技が終わってから始まる種目で、優勝に関わってくるので相当盛り上がる。で、その剣球での優勝候補には…


「紅桜先生か……相当な強敵ね」


部活で嫌というほど強さを知っているのだろう。彩花が小声で漏らす。


「うん、だけど今はバスケだよ。ここで負けたら意味無いからね」


「相手はやっぱAが来たか…」


「バスケ部レギュラー三人に滝川と笈沼がいるしな…ったく、殆どオールスターじゃねーか」


クラスメイト達が愚痴を漏らす、すると琢磨がふんぞり返りながら


「かっかっか、こっちもオールスターだ!」


「うん、それにAが来るって言うのは大方の予想通りだからね。データ、対抗策、ふふふ、かえってやりやすい相手だよ」


自信満々な琢磨とハジ。


「ま、そのために練習したんだし。負けるきはせんな。なっ!篠!」


「そうだねぇ。正直、このメンバーの方がインハイ勝ち抜けるような気がするしね」


バスケ部のお二人もそのようなことを仰っている…


「そっか、なら勝てるわね。和人!」


「俺は勝ち負けはどーでも………「ひ〜た〜〜ん!!」……ひっ!?」


のんびりとした穏やかな悪魔の声が聞こえた。


「頑張ってね〜〜」


声の先にはやっぱりと言うか、天使のような笑みを浮かべた羊ヶ崎先生が……俺にとってはまさに悪魔!本人に行ったら絶対泣くから決して言わないが…


「ガンバリマスデス」


あぁ、もうやるしかない。



んでもって、前の話の冒頭に至る…。


「ふふふ、覚悟しろ!」


さっきから、ウザい事この上ない…何かと突っかかってくるコイツは一体何なんだろう。


「つか、誰?」


率直に聞いてみた。


「なっ!?貴様、この僕を知らないとでも言うのか!?」


いや〜知らないから聞いてるわけで……頭大丈夫か?


「Who are you?」


「一度しか言わんぞ!滝川!滝川俊吾だ!!未来永劫覚えておけ!!」


あ、どうやら頭は大丈夫みたいだ。中学生でも分かる英語が通じたぞ。


それに…その名前はどっかで聞いたような……えっと……どこだったか……


と、俺がうんうん頭を捻りながら考えていると…


『そこの馬鹿!!何やってるのよ!!試合始まってるわよ!!』


「うぇ!?」


彩花の怒声が聞こえてきて、我にかえる。スコアは既に0−2。あはは、点取られとる…



Side Shungo Takigawa


「ふはっはっは!!よくやったぞ!!どうだ氷室!!」


「いや、お前何もしてねーから」


怨敵、氷室和人め!!まだまだこの程度では済まさんぞ!


「はぁ…聞いてねーのか……とりあえず、ディフェンスだ。あっちのバスケ部レギュラーのシューター。篠原には関根がボックスワンで付くから、俺達は四人でゾーン組めってさ。俺は右後ろ。お前は俺の前な」


「断る!!」


まったく、我が親友。笈沼山太郎とあろうものが……


「はぁ?」


「ボックスワンとは、特定のプレイヤーにマンマークする戦法だろう?僕が氷室につかずしてどうするのだ!!では、そのように!」


「……はぁ〜〜分かったよ。関根達には俺が行っとくから好きにしろ…」


うむ、ようやく分かったようだな。そうだ、氷室は僕が潰すのだ。そうすれば、我が妃となる橘も呪縛から解けるであろう…


さぁ、来い、叩きのめしてやる!



Side Kazuto Himuro


「もう!何やってるのさ!」


「いや〜わりぃ。なんか、変な奴に絡まれちゃってさ」


自分のコートに戻り、ハジに怒られつつボールを受け取る。さて……


あらかじめハジに渡されたデータと作戦を思い返す。



〜〜回想〜〜



それは夜の練習の初日のミーティングのことだ…


「………で、注意すべきはA組。予想のポジション取りは、PGに関根。SF、PFに天山と木本…この三人は現役のバスケ部レギュラーで、公式試合でもこのポジションで動いてるんだよね?」


「その通りだ」


「…に対して、こっちはSGに篠原君、Cに岡島君が居る……岡島君、インサイドで天山と木本に勝てる?」


「二人同時はきついな。五分五分だ……」


「そう…で、考えられる相手の戦法だけど…」


バスケ部からパクって来た作戦版に磁石を置いて行くハジ。ご丁寧に磁石には名前が書いてある紙が貼り付けてある。うん、わかりやすいな


「多分、関根が篠原君にマンマークしてくるね。で、残った四人で岡島君を止めにくるはず。二人はうちのポイントゲッターだと思われているだろうしね」


「ん?ちょっと待て!俺達は!?俺達は眼中にねぇってことか!?」


「…というより、それはゾーンで何とかなるんだ。経験者じゃない僕達はゾーンの中に切れ込む技術もないし、ゾーンの外から…つまりはスリーポイントも殆ど運任せで入らないだろうから」


ハジの説明に琢磨が憤慨し、篠原が補足する。って、勝ち目ねぇじゃん


「けど!それはあくまで向こうの常識!!こっちには常識をくつがえすカードがあるんだ……エースとジョーカーがね」




正直、自身がねぇんだけど…


ちらりとハジを見れば…こくりと頷く。はぁ…ま、やってみますか……



Side Mamoru Sekine


篠原と岡島を潰すこの作戦…こうなれば、こっちの勝ちは揺るがない。


残っているのは不良とインテリと馬鹿の三人だ……


後は俺が完璧に篠原を押さえ込む!


「はっ、スリーポイントは打たせねぇぜ!」


「ふふ…」


スリーポイントラインに居る篠原に密着マーク……って、何!?


「な、なんでお前が此処にいる!?ボール運びは……氷室!?」


どういうことだ!?フロントコートにボールを運ぶのもガードの役目。これまでの試合は、篠原と一文字で運んでいたはず。なのに…


「正気か!?氷室がPGだと!?」


PG。サッカーで言う司令塔の役割をするポジション。ゲームメイク、パスセンスに加えて、相手にボールを取られないドリブルの技術も要する。素人が出来るようなポジションじゃない…


「本気さ……キミよりPGとして向いていると思うよ?彼は」


「っ!?」


なんだと!?


「はっはっは、来たまえ!!」


早速、滝川がマークに付くが…


「ハジ!」


即座に一文字にパス。だが、一文字はゾーンの外。そこで貰っても何も…


―パシュ


「なっ!?」


す、スリーポイント!?馬鹿な!?


一文字は迷わずシュート。ボールは綺麗な弧を描いてゴールに吸い込まれていった。




Side Kazuto Himuro


「ナイッシュ!!」


「相変わらず化け物じみてるぜ…」


「うわ!?決めたのにそういう事言う?琢?」


いや、琢磨の言うとおりだ。


ハジのスリーポイント。これは狙ってやったものだ。なんでも、様々なデータ収集の結果、左右の45度の位置なら9割がたスリーポイントを決められるらしい。いや、データつってもさ、限度があるっしょ?


ハジ曰く…


「リングは動かないし、ボールの重さも変化しない。あとは重力とかからのデータからシュートを打つ際の力、角度を計算しすればどうってことないよ。ま、これがサッカーとか野球とかだと話は違うんだけどね。人相手だと幾らでもデータが変わってきちゃうから…」


らしい…お、恐ろしい奴…


「氷室もナイスパス!!」


「うんうん。僕の見込みは間違ってなかったね!」


「ま、このくらいはな。御堂先生のチョークを避ける際の能力の応用だからどうってことないさ…それよりもディフェンスだ」


「だね!」


俺達のディフェンス。それはハーフのマンツーマン。つまり、一対一。


篠原の相手は…


「くっ、取られたら取り返すだけだ!!」


「抜かせないよ」


PGの関根。


天山には岡島、笈沼にはハジ!そして…


「氷室和人ぉおおお!!何故、僕に付かない!!臆したかーーーー!!」


「知るか…」


滝川に琢磨、で、残った俺の相手は当然、本山。


「…舐めてんのか?」


「…あぁ、正直、俺もどうかと思うが、チームの決定だ」


憤怒の本山。そりゃそうだ。本山のポジションはSF。バスケ部1の点取り屋。何故に、素人の俺がつかにゃならんのだ?


『大丈夫、いけるよ』


根拠が知りたかったなハジ


『へへへ、いつでも俺が代わってやるぜ!そうすりゃ…うへへへ…』


逝っちゃってる琢磨よりは…まぁ、俺がやったほうがいいな…


えっと…確か…


『いいか?相手に抜かれないという事を第一に考えるんだ』


『腰を低く、両手を上げて…後はフットワークで相手のドリブルの進行方向を身体で塞ぐ感じで…カットは取れるようなら狙ってもいいけど、まずは抜かれないように』


練習中のやり取りを思い出しつつ…本山に対峙する。


そして、関根から本山にボールが渡る……


右…いや、左かな


「くっ!?」


フェイクにかからず封じ込める。爺ちゃんとの武術の稽古でもフェイント…騙しは常識だった、これくらいなら俺は騙されない……爺ちゃんに比べたら赤子のようなもんだ…


ま、熱くなってるから余計に動きが読みやすいんだが…


―パシッ!


そして、カット。焦って強引に来た隙を付く。動きもそんなに速くない。ま、あの変態染みた動きの爺ちゃんや、人外指定の御堂先生に比べたらな……


で、そのまま篠原にパスしてダッシュ!ドリブルに慣れていないので自分で運ぶよりはパスで繋いだ方が速い。そして篠原から…


「行け!!」


ロングボール!速攻!!そのまま、ボールを受け取り…


「てりゃ…」


ジャンプして、リングに叩き付けた…



Side Sayaka Houjou


なんなんですの…


非常識にも程がありますわ…


「ダンクなんて…」


和人さんの身長はそんなに高いわけではなく。平均的…175……ぐらいに見えます。


普通ならリングになんて届くはずがなく、ダンクなんて出来る筈がない…ですのに……


結果は軽々とリングに手をかけた。それを可能にしているのは…あのジャンプ力。


他のクラスメイト達も目を見開いて驚いています…ですが…


「…今回は結構やる気みたいじゃない。どんな手を使ったのか…」


「…やっぱり、和ちゃんはお母さん似……!?……コホン!!…やっぱり、あの女の子供だな……」


彩花さんと琴乃さんは別段驚いた様子がありません……いえ…琴乃さんは驚いていたよう…素の言葉に戻っていますわ…


「まっさか、マジで狙うとはな…」


呆れたように言うのは時雨さん…


「どういう意味ですか?」


それに白樺さんが首を傾げながら問う…


「えっとな、あいつシュートはあまり得意じゃないから俺に、どんなシュートが一番入るかって聞いてきたんだよ。で、ダンクなら直接リングにボール叩き込むから外れないだろって、言ったんだ。マジで実行できるとは思わなかったが……俺はまだあいつを過小評価してたみたいだな…」


そう言うと、懐から和人帳なるものをとりだし、何かを書き始めました……後で、見せてもらえるよう頼んでみましょう……


はっ!?いけません!!今はそれどころではありませんでしたわ!!


「か、和人さん!!な、ナイスシュートですわ!!」


これなら…勝てるかもしれません………って、どうしましょう!!


「勝てたら…私……」


抱きしめると約束したんでした……あぅぅ…



試合よりもそっちに意識が行ってしまい、悶々と考えている時に…それは起った……


「和人さん!?」



Side Kazuto Himuro


スコアは15−7。流れはこっちだ…


「くそ!こんなド素人に……どけぇえええ!!」


強引に突っ込んでくる本山。その進路上に身体を滑り込ませる。このままなら、本山のチャージングでファール。マイボールとなる。だが…


「氷室和人ぉぉおお!貴様は僕が!!本山ぁああ!!ボールを寄越せええ!!」


横から、滝川が突っ込んできて…


「ぐっ!?」


もつれるように三人で床に倒れた……


即座に笛が鳴り、当然、ファールでマイボールとなるが…


……ちっ、左足…やっちまったな……


…倒れた時に捻った……痛みからして結構重度な捻挫ではなかろうか……


けど、折れてないなら問題ない。走れるし、歩ける……これくらいの痛みならどうってこと…


「和君…大丈夫?」


「ああ、問題ねーよ」


「!?…その足!」


真っ先に気付いたのはハジ、流石に情報収集力に長けているだけあって、観察眼も見事だ。


「大丈夫だ。走れるし、跳べる」


「……ふぅ……どうして何時もはちゃらんぽらんでいい加減なのに、こういう時は無茶するのさ」


呆れたようにそんな毒舌を吐くハジ。……若干、怒ってるな。


結局、諦めたのか…そのまま試合は続行。予定外のことが起きたがそのままバスケでは何とか優勝が出来た。




Side Shungo Takigawa


「なんたることだ!!」


この僕が…怨敵、氷室和人に負けるとは!!みとめん!!ありえん!!


そうか!!


「これは、チームプレイ!!向こうのチームが優れていただけで!断じて、僕が負けたわけではない!!」


やはり、勝負は一対一。僕と氷室和人の二人でつけてこそだ!!


最後の種目、剣球…


「今度こそ、男子剣道部部長たる僕の力を見せ付けてやる!!」


「……いいから、整列しろよ。ったく」


…無粋なやつめ、折角の高揚した気分が害されたではないか……


まぁいい。氷室和人…これで勝ったと思うな!!



Side Rei Benizakura


「ふっ!はぁあああ!!」


―ヒュン!!


数回愛刀を振るう。コンディションは悪くない…むしろいいと言える。


「ふぅ〜。さて…氷室和人。御堂先輩の言っていたことが本当かどうか…確かめさせてもらうぞ…」



霞「更新完了〜。ヘタレな作者が風邪を引いたらしいので、今回は出てきません……逃げたなこのやろ…」


霞「…え?ちょ、ちょっと相手役が誰も居ないの!?ボク一人!?球技大会だから忙しいって言うの!?まてよ、ボクだってね過密なスケジュールがあって忙しいんだよ!!最近先輩にだって、会えないって言うのに!だいたいね!なんで、ボク以外のところで盛り上がっていることに、ボクがコメントしなきゃいけないの?嫌がらせか!?嫌がらせなのか!!ボクの扱いって一体何!?」


霞「はぁ〜、はぁ〜……ちょっと、すっきりしたかも♪じゃ、次回またあとがきで会いましょう」


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