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勇者は王妃の『推し』ですわ!  作者: gen.
第二章

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13. 勇者の来訪





「いーい天気だなあ」


 それは王都を発ってからちょっと寄り道しつつ、だいたい一か月ぐらいの道のりだった。

 空は青く、雲が高くって、日差しは温かいけど、風は涼しい。

 刈り取られて干された草のにおいが、風に乗ってやってくる。そんな、のどかな日和だった。


「ほんとに。でも、ここが例の南方領なんだよね……」


 油断はしちゃだめだよ、と隣のヴィオが杖を握り直しながら言う。


「どうだ、ゼニラ」

「んー……いまんとこはなんもー」


 カイドウが肩に載せたゼニラに声をかけるけど、ゼニラの魔力探知でも今のところは収穫なし、か。

 ここはまだ入ったばかりのところだから、瘴気の影響が少ないのかもしれない。

 ダンジョンから湧き出る瘴気だって、無尽蔵に広がり続けるわけじゃない。焚火の煙と同じように、広がるほど薄まって、大体一定の距離を超えると霧散する。

 南方領、と一口に言っても、王様が軍を動かしたって話も聞いてないしなあ。規模的にそれほどでもないのかな。

 というか、そういう情報もらったっけ。もらってない気がする。

 俺の聞き逃しじゃなきゃいいんだけど。みんなもその辺を探るところから始めてるし、多分気のせいじゃない。


「前方右手に人影在り、ですよー」


 タクサスがレンジャーの目で教えてくれた。道の右手は畑みたいだから、農家の人かな。

 そういえば南方領南方領って呼んでたけど、ここの正式な土地の名前ってなんなんだろ。地図もそこまでは詳しく書いてない。

 ちょうどいいから、聞いてみようかな。教えてくれると助かるな。

 九月は小麦や豆類の刈り入れ時だ。忙しいだろうから、手早く、ぱっと行こう。

 俺はちょうど見えてきたタクサスいわくの人影――予想通り、鎌を片手に小麦を刈り入れているおじさんの背中に向かって、声を張り上げた。


「すみませーん」

「あー?」

「俺たち旅のものでーここって、どこのご家門の領地ですかねー」

「なんだい、そんなことも知らんで来ちまったのかい?」


 あ、ちょっと親切そうだぞ。この人。

 振り返ったおじさんはわざわざ刈り入れの手を止めて腰を伸ばすと、手にした鎌を腰裏に差してこちらへと歩み寄ってきてくれた。


「ここはグレイ領だよ。グレイ伯爵様の土地さ」


 まんまの土地名だった。グレイ伯爵。俺の頭の中の少ない人名録に、該当する人はいないな。みんなの方をチラ見してみるけど、それぞれ首を横に振ってる。知らない伯爵様の土地に来ちゃったのか。

 じゃあ色々調べるためにも、挨拶しといたほうがいいかな。会ってくれるといいんだけど。


「兄ちゃんたち、悪いことはいわんが長居せんほうがいいぞ。近頃この辺りは物騒でなあ」


 おお、さらに情報が。


「物騒って、野盗とかですか?」

「そんなのなら伯爵様のところの騎士様が追っ払ってくれるがね――夜になると、出るんだよ。妙に凶暴になっちまった狼やら、猪やらが」

「それは大変だ」

「ああ、やつら神出鬼没なうえに、家畜を襲うだけじゃなくて柵までぶち壊してくんだ。酷いとこだと納屋までやられてな。だから日が沈む前に、早くダブの町の方まで行っちまいな」

「怖いですね。それじゃ、おっしゃる通りにします。町ってこの道の先ですよね?」

「ああ、道なりにずーっと行くと分かれ道があるから、右の方にいきな。左はだめだぞ。森に入っちまうから」

「右ですね。了解です。色々教えてくださってありがとうございました」

「いいってことよ。気ぃつけてなー」


 すごい親切なひとだった。というか、誰かに聞いてほしかったのかもしれない。

 ほら、人って怖い目にあうと自分一人で抱え込むんじゃなくて、誰かに話したくなったりそれで怖さを分け合いたくなったりするらしいから。

 でもそのおかげで、本当に有益な情報がいろいろと手に入った。


「やっぱり、瘴気は届いてなくても、モンスターは出てるんだね……」

「みたいだな。まだ夜しか出てないってことは」

「初期段階。でも、瘴気が濃いとこはどーかな」


 俺の言葉を、ゼニラが継いでくれる。初期段階といっても、ダンジョンっていうものは俺たちが生まれる前からあるわけで、俺たち自身がその変化段階を目の当たりにしたってわけじゃなく、そう教わってるってだけなんだけど。

 瘴気が発生すると、まずその周囲に生えてる植物、次にその周囲を縄張りにしている動物たちが影響を受ける。魔素のせいで巨大化したり、より凶暴になったり。

 それでもまだ夜しか出てこないのは、普通の動物だったころの習性が残っているからだ。

 これが本格的にモンスター化すると、昼夜を問わず人里へ出没するようになる。


「どーします?残って害獣駆除といきますか?」

「いや、真っすぐ町に行こう」

「いいのか?」


 うーん、被害が出てるのはよくはない。よくはないけど。


「魔狼くらいなら俺たちじゃなくてもなんとかできるよ。いまは夜しか出てこないっていうし。それより、伯爵にモンスターをどうする気なのかとか、瘴気のことを聞くのが先かな」


 騎士たちが相手にするのはあくまで人間。モンスター退治は、それに長けた冒険者を雇って事に当たるのが常識だ。

 だから俺たちが出しゃばらなくても、伯爵にモンスターをどうこうする気があるなら――ないとは思いたくないな――遠からず、ここにも冒険者たちがギルドから派遣されてくるだろう。

 そこを確かめてからでも、動くのは遅くないと思う。


「んじゃ、さっさと行きますか」


 タクサスがレンジャー然とした判断の速さで切り替え、歩き出す。

 俺たちも後ろを気づかわしげに振り返るヴィオを促し、後に続いた。

 目指すはグレイ領、ダブの町。



「結構にぎわってますねえ」


 農家のおじさんが教えてくれた通りに歩き続けて、丁度日が金色から赤みを帯び始める頃、俺たちはダブの町に入ることができた。

 広場の市場なんかはもう店じまいする頃だけど、酒場や宿屋だろう明かりのついた方からは賑やかな声が聞こえてくるし、すれ違う人も多い。


「やはりモンスターが出る、という噂は出まわっとるということだろう」


 カイドウの言う通りだった。すれ違うのはほとんどが冒険者か、彼らを連れた商人らしき人物。一人歩きの行商人とか、町の住民っぽい人はほとんどいない。

 モンスター退治目当ての冒険者は集まっても、小規模の流通は滞りがちになる。典型的なモンスター被害の兆候だ。


「とりあえず、今夜の宿を取らないとね」


 その賑わいを横目に、空いてるといいんだけど、とヴィオが呟いた。

 そこそこ大きい町だし、大丈夫じゃないか、なんて。その時の俺は言ってたんだけど。


「――――すみませんねえ、今夜は、というかしばらくは満室で……」


 宿屋のご主人が申し訳なさげに頭を掻く。これで三軒目だ。

 冒険者が集まりだすと、こういうことも起きたりするんだよなあ。

 しかたない、とはいえ、どうしようか。

 俺だけなら別にどこかの軒下とか、いっそ野宿でもいいんだけど。


「ゼニラー、今日って野宿とか」

「いや」


 ですよね。

 ゼニラはいい加減ベッドで寝たいと今朝から言ってたし、ここまできたらなにがなんでも宿屋に入りたがるだろう。

 しかたない。これは禁じ手だが。


「すみません、仲間がどーしてもベッドで寝たがってて……他に空いてそうなお店、あったら教えてほしいんですけど……」


 普通、商売している人に同じ商売をしてる別の人を紹介してもらう、というのは失礼にあたるし一番嫌がられることだ。とはいえ背に腹は代えられない。

 出来るだけ申し訳なさそうな顔で振り返った俺は、しかしご主人の思いがけない顔を見る。


「ゼニラ……?」

「え、あ、はい。うちの精霊魔法使いで……」


 丸くなったご主人の目が、ゼニラと俺、そして後ろにいるヴィオやカイドウ、タクサスの方を忙しなく行き来し始める。


「魔法使いのゼニラ、女僧侶のヴィオレット、格闘家のカイドウ、あともう一人はわからんが……」


 お、おお?

 なんで俺たちの名前を知ってるんだろ。あともう一人ってタクサス?

 行ったり来たりしてたご主人の目が、ぴたりと俺の方を向いて止まった。


「じゃ、じゃあ……あんた、いやあなたは、勇者イオ、いやユーリヒト、さん……ですかい?」

「あ、はい。一応勇者です……」


 あらためて自分で勇者っていうのって、なんか変な感じだな。師匠に「お前は勇者だ」って言われて育ったからそんなもんかと思ってたけど、勇者の肩書きに寄せられるいろんなものを経験した今となっては。

 頬を掻きながら肯定した俺に、ご主人は見たこともない素早い動きで頭を下げた。


「こ、これはとんだご無礼を!」

「え、いや……」

「うちみたいな安宿にいちゃいけません!――おい、馬出せ!伯爵様にお知らせするんだ――勇者様ご一行がいらしてるってな!」



 なんか、すごいことになっちゃったなあ。

 あれから宿屋のご主人が出してくれた馬に丁稚さんが乗って行ったかと思うと、戻ってきたときには伯爵家の馬車を連れてた。戻ってくる間も、ご主人が受付横に併設してある食堂であれこれ出してくれたし。なのにお代はいらないとか言われちゃうし。食堂にいた他の冒険者たちが何事かって見てくるし。


「ね、ねえ義兄さん。私たち、ここに来た事なんて……なかったよね?」

「ない。はずなんだけどなあ」


 杖を両手で持ち直したヴィオが隣からおずおずと問いかけてくる。でも、俺にも心当たりはない。

 向かいの席でカイドウの膝の上に座ってるゼニラも、ここには来た事がないっていうし、カイドウは雑技団時代に通り過ぎたことはあるかもしれないが覚えられるようなことをした記憶がないという。一人で馬車後ろのステップに乗ってるタクサスは――そもそもご主人も知らないみたいだった。

 ということは、俺たちパーティのことだけが知れ渡ってるってこと?でも農家のおじさんは普通に接してくれたのに。


「まあ、伯爵に会えばわかるよ。向こうから会ってくれるなら一石二鳥だ」


 馬車の車窓から、遠くに見え始めた領主の城――伯爵の居城を見つつ、俺はそう言った。



「ようこそ我がグレイ領へお越しくだされた、勇者殿。私がグレイ領を預かっておりますマドック・グレイです。このような見苦しい姿でお出迎えし、申し訳ない」

「いえ、こちらこそお招きいただきありがとうございます。伯爵様」

「はは……実は私は先代でしてね。都で忙しい息子に代わって治めているだけなのですよ」


 そう言って笑った伯爵――先代伯爵は杖につかまりながらも背筋をしゃんと伸ばそうとしているのが解る立派な紳士だった。長く伸ばした白い髪はきちんと撫でつけたうえで結わえているし、身に着けているものも、派手じゃないけど上等なものばかりだ。これは相当裕福な家門の人だな。


「どうぞお入りください。年季ばかりはいった古城ではございますが……」


 先代伯爵はそう言って俺たちを先導してくれたけど、グレイ城は中もしっかり手入れが行き届いていて、使用人の人たちが居並ぶエントランスホールも、蝋燭の明かりが昼間のように照らしていた。

 見た目は立派だけど窓の鉄格子に蜘蛛の巣がついてたりとか、シャンデリアはうっすら埃が被ってたりとか、そんなのは当たり前なのに、この城は持ち主の性格を現したかのように整然としている。


「食堂にわずかばかりですが夕食を用意させております。よろしければ召し上がっていただけますと幸いです」

「ありがとうございます。ただ、あの……先代様?」

「はい」

「俺たち、そのー……なんでこんなに、歓迎してもらってるんでしょう?というか、なんで俺たちのことをご存じなんですか?」


 そこで初めて、カツリ、と杖の音を響かせながら振り返った先代伯爵は、茶目っ気の滲む笑みを浮かべて俺たちを見渡した。


「丁度私も、そのことをお話したかったところです」



「――――ご存じかもしれませんが、我がグレイ領には現在瘴気が発生しておりましてな」


 先代伯爵が『わずかばかり』といった夕食は、王城で出されていたものに勝るとも劣らない豪華さだった。突然押しかけて来たも同然なのに、普段から準備していたかのように。

 ワイングラスを手にした伯爵が、パリパリのパンを割った俺に語りかける。

 パンから立ちのぼる湯気に今すぐかぶりつきたくなったけど、ここはちょっと我慢だ。


「はい、伺ってます」

「やはりそうでしたか。その手の噂が出回るのはとても速い……おかげで、ダブの町に旅人や商人が寄り付かなくなってしまって、一時期はそれは閑散としたものだったのですよ」

「いまは冒険者が集まってましたね」

「ええ、しかしそれより先に、ダブの町へやってきてくれた人物がおりまして」


 そこで先代伯爵がワインを一口。すかさず俺もパンを千切って口の中に放りこむ。


「吟遊詩人です。王都からやってきたというその吟遊詩人たちの歌声が、寂しい思いをしていたダブの町人たちを盛り立ててくれたのですよ。そしてその吟遊詩人が語っていたのが――――ほかでもない、あなた方の物語なのです。勇者殿」

「――――」


 吟遊詩人たちが、俺たちを歌っていた?

 パンの一欠けらはとっくに噛んで呑み込んでいたけど、思いがけないことすぎて、俺は言葉に詰まった。

 そこで静かにやって来た侍従が、なにかの冊子を先代伯爵に渡すと、グラスを手放した先代は眩し気に目を細めつつその冊子をめくり始めた。


「彼らはもう旅立ってしまいましたが、その際にこんなものを残してくれました。ご存じですかな」

「!これって……」


 先代伯爵から差し出されたそれを、パンくずをはらった手で受け取った俺は、思わず息を呑む。

 隣の席から俺の手元を覗き込んだヴィオも、あ、と声を上げた。

 そこには俺たちの肖像画を表紙にした、俺たちの旅の物語が色鮮やかに描かれていた。


「王妃様の、絵本……」

「おお、ご存じでしたか。そう。王妃殿下が主導されて出版された、あなたがたの絵本です。ダブの町の子供たちから大人まで、みんなこの本に夢中になりましてな。とはいえ吟遊詩人たちが持ってた本には限りがありましたから、取り合いになって大変な騒ぎだったのですよ」


 その時の光景を思い出すように、先代伯爵はテーブルの上で手を組み両目を細めた。


「その歌と本は沈んでいた私たちに希望をくれました。いつか勇者殿たちが――いや勇者殿たちではなくとも彼らのような冒険者が現れて、我々の問題を解決してくれるかもしれない、とね。間を置かず、本当に冒険者たちが集まり出したので、ダブの町はいまのように賑わっております」


 しかし、と言葉を切った先代伯爵に、絵本を回し見ていた俺たちの視線が再び集まる。

 さっきまで楽しそうに言葉を紡いでいた先代伯爵の顔には、苦みのある影が差していた。


「今集まっている冒険者たちはモンスター退治はしてくれるものの、瘴気についての詳細は分からずじまいなのです。グレイから最も近い神殿である、南方神殿にも調査依頼は出したのですが……」

「……神殿は、なんて?」

「瘴気の発生地点は判明したものの、危険すぎるためこれ以上の調査はできない、と。ただ北の森への立ち入りは禁止にすべきだと」


 てことは、北の森の中に瘴気の発生地点がある、ってことか。


「しかし北の森は、木の実やキノコ、獣肉が豊富に取れる我が領地の重要な食糧庫の一つなのです。冬にそなえた薪も、多くは北の森から採っております」

「つまり、北の森へ入れないってことは――――グレイ領の人たちが冬を越せなくなるかもしれない、死活問題ってことですね」

「仰る通りです」


 話は見えてきた。ヴィオから戻ってきた絵本をパタンと閉じ、俺はそれを先代伯爵に差し出した。

 先代伯爵は苦渋の滲む顔で絵本を受け取ると、再び俺たちを見つめた。

 ランプに照らされたその深い緑色の瞳に、縋るような色を滲ませて。


「どうか――――どうか、お力をお借りできないでしょうか。瘴気を滅することなど、人の手には負えないことだとは重々承知しております。しかしどうにか、北の森のどこまでが安全で、どこからが瘴気の影響を受けているのかだけでも解れば……」


 なるほどなあ。

 俺は横並びになってるみんなの方を見た。人に話を任せてひたすらもぐもぐしてた薄情者が三名ほどいたみたいだが、それでも、各々がこちらにむかって頷いて見せる。


「丁度よかったです」

「は、と、仰いますと……」

「俺たち、その瘴気を調べにきたとこだったんです。伯爵――先代様が許してくださるなら、喜んで北の森の調査、お受けします」

「!!……ありがとうございます。ありがとう、ございます……!」


 先代伯爵の目じりに光るものが滲んだのは見えなかったことにして、笑って見せた俺は今度こそパリパリのパンにかじりついたのだった。



「驚いたね」

「ん?」

「絵本。あの時の絵が、あんなふうになってるなんて……」


 先代伯爵との夕食会が終わって、俺たちはそれぞれに用意された部屋へ通された。

 宿屋の寝台とは比べ物にならない、それこそ王城にいた頃みたいな部屋に一番大喜びしていたのはゼニラで、タクサスは豪華すぎて落ちつかねえですわ、と肩を竦めてた。

 そして俺とヴィオはバルコニーで夜風に当たりながら、今日一日での出来事を振り返っているのだった。


「そうだなあ」


 絵本の中身は、俺たちが集まるまでの道のりと、カイドウが入ることになったワイバーン退治の内容を簡単にまとめたものだった。懐かしいなあ。

 王妃様に話した俺たちの冒険が、あんな風になって、誰かを元気づけるなんて、想像したこともなかった。

 王妃様に叱られた、あの時の言葉と一緒にそんなことを思っていると、ぽろりと言葉がこぼれた。


「俺たちって、誰かのためになってたんだなあ」


 旅の中で通り過ぎて行った、たくさんの人たち。

 たくさん感謝してもらったし、それを受け取ったつもりでいたけれど。

 いまあらためて、そう実感した。することができた。

 ヴィオはそんな俺にくすりと笑って、そうだね、と返すと、バルコニーから見える北の森の方を見遣った。


「今回も……助けられるといいね」

「……うん、そうだな」


 瘴気発生地点の調査なんて、初めてのことだし、俺たちだけでモンスターを狩り尽くすことも、きっと難しいけど。

 できることはある。きっと。

 夜空に輝く星を見上げながら、俺は自分自身へ誓うように、そう思うのだった。

 




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