24 暗い闇の彼方から-1
4章24話です!
よろしくお願いいたします!
シモン君との手合わせ。はっきり言ってそれなりにやるやんといった感じ。学園で教えられる基礎的な動きに加えて俺も覚えのない剣術を織り交ぜる。おそらく家で教えられたものだろう。それをかなり不規則に混ぜてくるのが厄介。そして動きにモタつきがないため次どんな手で来るのか分かりにくい。想像以上だった。
一旦距離を取って落ち着く。
「想像以上ですわ、シモン君。あなたの剣は光るものがありますね。」
「ありがとう、シーナさん。」
「では、次のステップへ進みましょう。」
「へ?」
俺は魔力を解放し、威力控えめの小さな火球をいくつか作る。
「冒険者を目指しているのでしたね?ならば、この程度の魔法にも逐一対処できませんと。」
「...よし!」
シモン君も魔力を解放し左手に雷を纏う。
「...第2ラウンド、始めますわ!」
突撃と同時に火球を放つ。シモン君は火球ひとつひとつに魔力の起動を引き雷を放つ。判断は早いし、場所も正確。だが、少し分かりやすすぎるな。
俺の場合は魔力で引っ掴んで投げるように火球を放つ。シモン君は基礎がしっかりしている分、そこに忠実だ。魔力の軌道に乗せて魔法を放つ分、俺の火球に比べて速度が落ちる。当然、魔力の操作が得意だったりするなら俺よりも早い魔法を使う人もいるだろうが、実戦経験のない1年生ならこんなもんだろう。
対処が間に合ってしまう。俺は剣に炎を纏わせ雷を切りに向かう。そして魔力の軌道と体が重なった時だった。
(!これは...)
シモン君の魔力の軌道が若干薄くなるのと同時に自身の中の魔力が満たされるのを感じた。
俺が魔力の融通を学んだ瞬間だった。
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「そういえば動きいいのがいたな。」
ラーマン兄さんもちゃんと見てたらしい。結局勝負は魔法を織り交ぜた途端、動きについていけなくなったのか、頭が追いつかなくなったのか、シモン君の動きが鈍り俺が勝利した。
「とにかくそういうわけなので、ある程度はそれで兄さんたちの魔力が回復出来るはずです。アイン兄さんも何とか2発目を放てるくらいにはなるかも...あれ?もしかしてラーマン兄さんいらない?」
「おま...」
「まぁまぁそう言わずに。大きいのを作るのはいいけど、小さいのに対処するには時間足りないかもしれないから。ラーマンも協力してくれたら助かるよ。」
アイン兄さんのフォローにより、ラーマン兄さんにも仕事が与えられた。
「さて」
俺は未だ雷を放ち続けるルティア様に向き直り、自身の前方に薄い魔力の壁を作り出す。
「始めますよ、皆さん!」
俺の合図で全員が戦闘体勢に入る。そして俺の突撃により、作戦が開始された。
「うおおおおおおお!!」
なるべく目につきやすいように雄叫びをあげながら突っ込む。ルティア様は咄嗟に周囲に放っていた雷を俺に集約させる。それを確認したアイン兄さんが集められた雷と同等の威力であろう巨大な炎球を作り相殺。弾けた雷は再び俺に襲いかかろうと迫り来るが、ラーマン兄さんによりこれも相殺。間髪入れずにルティア様は次を放とうとするも、アイン兄さんの2発目で発動前に打ち消された。
チャンスと見た俺は炎の障壁を解いてルティア様に肉薄する。そして小さな雷に焼かれながらもルティア様の体を包み込むように抱きしめた。
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人も竜も同じ生き物だ。ひとつの命、そこに人も竜も違いは無い。
でも、片方はそこにあることすら許されず、まだほんの少ししか生きていない赤子すら殺しの対象となる。
とても可哀想だ。許せない。
私はお友達を失った悲しみと怒りと憎悪により、頭がぐちゃぐちゃになってしまった。
何も考えたくない。その死を受け入れたくない。
まだ出会って2年程だ。
最初は噛み付こうとしてきたり、凶暴な子達だったけど、1年経つ頃には大人しくなって、私のお話に耳を傾けてくれていた気がした。
幻想だったのだろうか?本当は話なんて分からないで、ジッとしていたのを私が勘違いしていただけ?
いや、それでも良い。良かった。聞いてくれている気がするだけで満足だったのだ。
でも2人とももう居なくなった。自分の話を、何を言っているのか分からない私のお話を黙って聞いてくれることはもうない。
寂しい────
誰か私の話を聞いて────
私を受け入れて────
暗い、何も無い空間に浮かぶ私はただ、そう願い続ける。
『────!』
声が聞こえた気がした。
知っている声のような気がした。
目を開けて声のした方を見る。光だ。小さな光がそこから差し込んで来ている。その光はだんだんと大きくなり、真っ暗だった空間を優しく、暖かく照らし始める。
手を伸ばす。そうしたいと思ったから。
『────ィア様!』
また声が聞こえた。やっぱり知っている声だ。
光の彼方から誰かが来る。その姿が見えた時、また声が聞こえた。
『ルティア様!』
人間では初めてできたお友達。初めて私を受け入れてくれた人。少し哀しそうに、でも私を掴むのに必死な表情で、私に手を伸ばしている。
シーナ────
互いに伸ばしたその手は近づいていき、ついにその手と手は交わった。
『やっと、私の声に気がついてくれましたね。』
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次回更新予定日は火曜日です!多分..




