22 その怒りを止めるために
4章22話です!
よろしくお願いいたします!
ふと目が覚める。あまりに突然の事で一体何が起きたのか分からなかった。
たしか、兄様と一緒に部屋に逃げ込んで、その後...
そこまで考え思い至る。ずっと抱えていたカロンは一体どこに?周りを見回し、その姿を探すと壊された壁の奥でキリムや兄様の姿を見つけた。彼らがカロンの行方を知らないはずがない。
「うっ...くっ...」
ルティアはふらつく足でゆっくりと彼らに近づいていく。そして壁の側につき、みんなにカロンの所在を訪ねようとした時、見つけてしまった。
弱々しくも懸命に生きようとしていた先程までとは違う。ぐったりとして完全に伸びてしまっている友達の姿を。
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「残念でしたな、シーナ殿。」
腹を床に強打し、首にカロンをぶつけられ、一時的に気を失っているシーナにキリムは聞こえるはずもない言葉を投げる。
「わざわざこの小さな剣で殺す必要はありません。あなたは選択を間違えたようだ。この竜を守りたかったのなら、短剣ではなく竜が死ぬ危険があろうと、私の右腕を落とそうとも、竜の奪還を有線すべきでした。」
くたばった竜を雑に捨て、続ける。
「さて、私の目的は果たされました。あとは好きにされるがよろしい。私は自室にて、裁きの時を待っておりますよ。」
「なら、今罰を受け入れなさい...」
瞬間、青い光を放つ黒の雷がキリムに向けて放たれる。咄嗟にそれを自らの風魔法で受け流す。
放たれた方に目をやると少し雰囲気が変わった王女が佇んでいた。
「お目覚めになられたようですな、ルティア様。」
「.........」
無気力で儚い表情はなく、死んだ魚のようなハイライトのない眼の奥にははっきりとキリムに対する怒りが見て取れる。
「大人しく、罰を、受け入れる気がないのなら、死になさい。」
彼女の身体から魔力のオーラが溢れ出る。青とも黒とも言えるその魔力を彼女は周囲に無造作に撒き散らしはじめる。
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「う...ん...?うひゃあ!?」
あまりの騒がしさに目が覚める。直後誰かに抱き抱えられた。1秒も立たないうちに俺が気絶していたであろう場所に瓦礫が落っこちた。こわ...
「よう、起きたか。」
俺を抱えていたのはラーマン兄さんだった。
「え、ええ。というよりこの状況は...」
「順番に説明するよ。」
俺達の前に立ち、剣を構えているアイン兄さんがことの経緯を話し始める。
「まず、あの竜は死んだ。次にルティア様がキレて周囲に見境なく魔法を放ち始めた。そしてこれだよ。」
あまりの早口説明にカロンが死んだというショックを感じる暇もない。辺りを見回すと外側の壁が吹き飛びルティア様の部屋も半壊。というか部屋という機能を無くしているな。それでもお構い無しに妙な色の雷を放ち続けているルティア様。まぁ、カロンが死んだのだから、ああなるのは当然か...
俺はラーマン兄さんに下ろしてもらい、ルティア様を止めるために動きはじめる。さて、一体どうしたもんかねぇ。
はっきり言ってこんな状態だと近づくことすらままならない。周囲に放ち続けられる黒い雷は小さなものでも壁を焼き壊している。それに今は誰も近づこうとしていないのでただ撒き散らしているだけだが、誰かひとりが近づこうもんなら多分集中的な攻撃が飛んでくる。さすがにそれを受けるだけの魔力は残っていない。アイン兄さん相手に使いすぎた。ルティア様の側にたどり着くまで走って数秒程か。絶え間なく繰り出される魔法を迎撃しながら近づくためには、協力者が要る。
「アイン兄さん。」
「うん?」
俺は兄さんにつけていた首飾りを渡す。
荘厳でありながらどこか禍々しい装飾が着いた銀のフレームに青く、星空のようなキラキラとした輝きを放つ宝石が着いた首飾りだ。
「それは?」
「パp...ガレス王からのプレゼントですわ。」
「パのあと何言おうとしたの?」
「そっとしておきましょう。それよりも、あの雷を相殺できるだけの魔力は残っていますか?」
「?まぁ残っているけど...ギリギリかな。」
「なら、それをつければ余裕を持って対処出来るでしょう。魔法の威力が上がる優れものです。」
「てことはもしかしてこれ...宝具!?そんなもの貰ってたのかい!?」
宝具とかあったのかこの世界。俺の知識の中にそれがなかったってことは結構ヤバめな代物か?
「つってもほんとに魔法の威力が上がんのか?それ。」
「効果がなければわざわざ渡したりなんかしませんよ。」
俺は腰に携えた剣を置き、魔法を発動する。
「これから、ルティア様を止めるための作戦を話します。ゴリ押しの脳筋戦法ですので、2人とも魔法の準備は万全に。」
読んで頂きありがとうございます!
次回更新予定日は水曜日になる予定ですが、もしかしたらまた週末の更新になるかもしれませんので、周知のほどよろしくお願いいたします。




