14 兄は辛いよ-2
4章14話です!
よろしくお願いいたします!
王宮城壁にやってきた我ら3人と1匹の1団は、どう戻るか考えていた。
「まぁ、コイツのことはもう隠すのは無理だろうな。」
ラーマン兄さんが言う。これに関しては同意見。カロンの存在を隠すのはどう考えても無理。ルティア様が居なくなったことで、部屋の中も見られているはず。ともすれば、何をやっていたのかも筒抜けになっているだろう。カロンどうするか問題はもう王族家の話し合いでしか解決はできない。今考えるべきはルティア様を宮殿内に戻すこと。普通に戻ればいいじゃないかと聞こえてくるが、色々考えた結果ことはそう単純じゃなくなったみたいですね。
まず1つ目の問題。俺がルティア様を勝手に連れ出しちゃったこと。はっきり言って大した処分はくだらないだろう。というか処分がくだるかどうかも怪しい。せいぜいが気をつけてねで終わりな気がする。
じゃあいいじゃんと聞こえてくる。
そこで2つ目の問題。ルティア様だ。俺と話すのはいいが他の人と話したくないらしい。つまるところ、ルティア様の部屋にいる人間を外に出した上でルティア様を部屋に入れる。簡単では無い。ええそう、簡単ではないのです。王宮にいる人間は基本エリート。兵士からメイドからどこを見てもやばい人達ばっかりなのだ。何が言いたいかって?バレるなは無理ゲーってことです。
「ルティア様、やっぱり普通に戻りません?誰にもバレるなは無理ですよコレ。」
「嫌。街に出るのも...頑張った...。あまり...人に見られるの...好かない...。それに、久しぶりの...会話が...お説教なのも......嫌。」
「しかし...あ、そうだ!ルティア様が今まで尊い命のために尽力してきたことをお話すれば、きっとわかってもらえますよ!ね?!」
「シーナ、は...どうなるか...分からない...よ?」
「い、いやいや!私もちょーっと注意を受けるだけですよ!」
「分からない...よ?」
「い、いやいy」
「ね?分からない...よ?」
くっ!圧が!だが俺は屈しないっ!正直普通に戻る方が楽だから!なんで部屋戻るだけでそんなめんどくさいことしなきゃいけないんだよ!
「だ、、、大丈夫...ですよ?ホントに...」
「私が...罪だといえば...それは...罪になる。」
コイツ!?ただ部屋に戻る為だけにそこまでするか?!しかし、そう言われるともう俺が抵抗することはできない。仕方なく了承する。
「話は終わったか?」
ラーマン兄さんに辟易した顔でそう声をかけられる。
「ええはい。早めに行きたいところですが...ひとまずは様子を見ましょう。これだけの警戒態勢の中誰にも見つからずに部屋まで行くのは至難の業です。」
「ああ。かと言って夜になったら手薄になるかっつったらそれも違うだろうがな。」
「はい。いつになるか分からない、ルティア様の部屋周辺に人が居なくなる時。そこで仕掛けるしかありません。」
本人がいないのだからそんな時が来るのか甚だ疑問だが、そうじゃないとルティア様の要望は叶えられない。俺たちは静かにその時を待つ。
「ねぇ、シーナ。」
いきなり後ろから肩をツンツンとつつかれた。ちょっとびっくりした。
「な、なんでしょう?」
「ちょっと...協力、してあげようか?」
そう言いルティア様が懐をゴソゴソとあさる。
ド〇えもんとかゼ〇ダの伝説みたいなBGMが聞こえてきそうな取り出し方で見せてきたのは...
「......何のお薬ですか、それ。」
「睡眠ガス。」
「ホントに王女なのかコイツ?」
「し!聞こえますよラーマン兄さん!」
「聞こえてます...よ。シーナ。」
おっと失言。しかし、実際問題それ使うぐらいしか解決策ないなぁ待つ以外は。バレずにというのは少し難しくもなるが、誰とも会話せずにいくのは容易になる......いや待てよ?
「それどんな風に聞いてくるんです?」
「?...普通。煙が...モクモクって。」
「分かってる上で聞くのですけれど、マスクとかは...」
「ない。」
「ですよね...」
「じゃあ使えねぇな。」
やっぱりチャンスを待つしかないか。色々強引に進めようと頭が動いていたが、やっぱり無理だと分かった今、少し正気が戻った。
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「シーナ、起きろシーナ!」
「うぇ?」
いつの間にか眠ってしまっていたか。あたりはすっかり暗くなり、空には満天の星空が広がっている。
少し雲に隠れた月がまた風情である。
「大分手薄になった。あれくらいなら後ろから同時にやれば何とかなるハズだ。」
窓から見える廊下の中はラーマン兄さんの言う通り、2、3人しか見えない。壁になっているところにまだいるのかもしれないが、今までと比べればかなり警備の目はゆくなったと言えるだろう。
「よし、始めるぞ。」
「はい。」
「うん。」
「グル。」
ルティア様を部屋に届けよう作戦スタート!
俺たちはこのチャンスを逃すまいとすぐさま行動を開始した。
背後から見ている何者かには全く気付かなかった。
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