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9 躾はしっかりと

4章9話です!

よろしくお願いいたします!


ルティア様の部屋。こちらをジッと見つめるワイバーン、カロンを横目に、俺とルティア様はお話をしている。


「どう?シーナ。カロンには、慣れた?」


「どうでしょうか...この空間には慣れては来ましたが、まだカロンに近づくのは少し...」


「そう。これから、慣れていけば、いいと思う。」


しばらくルティア様と会話していた俺は、昨夜考えてきた提案をルティア様に聞かせる事にした。


「ルティア様、ひとつ提案が。」


「提案?」


「ええ。このワイバーン、カロンは現在、ルティア様にすら牙を剥くほど凶暴です。というより、ワイバーンという生物がそうなのですが...」


ワイバーンという生物は、今はそう見かけることは無い希少な生物だが、その生態は昔から調べられており、分かっていることは割と多い。その中のひとつが...


「彼らは基本、自分が1番強い存在なのだという考えの元行動します。そのため、幼少のうちに格上の相手に挑んで死ぬ場合が多いと。」


「そう。でも、この子は死なない。」


「その通りです。しかし、自分が1番強いと思っているのはカロンも同じ。ここ以外では、ワイバーンは危険な生物だという認識が一般的です。」


「ん。」


「ワイバーンは獰猛な生物。ワイバーンよりも非力な人間が恐れるのは当然。カロンも他の人に見つかれば、命が狙われるかもしれない。」


「......っ」


「ではどうするか。答えはひとつ。人が恐れる要素を排除すればいいのです。」


「...?」


「人がワイバーンを恐れる要素は、人よりも強い存在であること。その強い存在が積極的に他生物を襲うこと。彼らの強さはどうすることもできませんが、獰猛さはどうにかできるかもしれません。」


「どうやって?」


「躾です。」


「しつけ?」


「ええ。」


なぜ獰猛で他生物を積極的に襲うのか。先程も言ったが、それは自分が1番強いと思っているからだ。そのせいか、遊びや、狩りをする感覚で手を出してくる。ならどうするか?そこで躾だ。ペットの犬や猫と同じ、それが悪いことだと教えてやる、自分が飼い主、高位の存在だと思わせることだ。

口で言うほど簡単ではないだろうが、カロンはまだ生後数ヶ月。ルティア様が制御するには十分早いと言える。


「どうやって、しつけ、するの?」


「悪いことをしたら叱ったり、いい事が出来たら褒めてあげたり、人の親と同じようにすればいいかと。」


「悪いこと?」


「ええ、と例えば...」


俺はおもむろに立ち上がり、カロンへと近づく。

そしてそ〜っと手を持っていくと...


「ガァッ!」


ガゴンッ!!!


ビクッと体を震わせるも、前回のようにはならず、何とかそこで踏みとどまった。


「ふぅ〜...これです。」


「これは、悪いこと?」


「そうです。人を襲おうとしていますので悪いことです。」


ルティア様の太すぎる胆力と天然さで分かっていないみたいだが、これを矯正するだけでもだいぶ違うだろう。

俺はカロンに向かい、見下しながら魔力を解放する。

辺りに紅い魔力のオーラが立ち込め、俺を中心に緩く風が渦巻く。

カロンは俺を見て少し身をよじらせる。怯えているのだろうか?構わず俺は魔力を解放しながらカロンに近づき、その状態でガラスを触る。

怯えながらも再び牙を剥くカロン。しかし、先程の勢いがない。本能で生きる生物ゆえ、俺と自分の差をしっかりと感じたのだろう。

俺はさらに圧を強めカロンを睨む。

カロンは体を震わせはじめ、それを段々と強める。


「シーナ。」


ルティア様の声に威圧を解き振り返る。

ルティア様は少し悲しそうな怒っているような顔で見つめている。


「可哀想...」


「...ルティア様、たしかに、生みの親としてのお気持ちは分かります。ルティア様の立場から見れば可愛くて仕方がない。甘くなってしまうこともあるでしょう。しかし!その甘さが、親の言うことを聞かず、世界で自分がえらい、自分中心に回っていると勘違いするモンスターを生み出してしまうのです!」


「っ!...それは、まずい...」


ルティア様はハッとするもやはり少し厳しくするのに抵抗があるらしい。


「ルティア様、甘さを捨ててください。ここでルティア様が甘さを捨てられなければ、カロンとともに暮らすことが難しくなります。」


「........」


難しい顔をするルティア様はやがて顔を上げる。

その目は覚悟を決めたような顔をしていた。


「わかった...やってみる。」


俺は力強く頷いてみせる。

一体この天然が躾にどんな覚悟がいるのか分からないが...

まぁワイバーン相手なら覚悟が必要なこともあるだろう、うん。


ガレス王との約束の日まであと2日。

それまでにカロンをしつけて、何とかルティア様を外に出して上げる。

カナーリキツくなってきたが、大丈夫。

カロンのことはすぐに片がつくだろう。

そこからどうルティア様を外に出るように言うか、それが問題だな。


はぁ、本当にどうしようかな。


読んで頂きありがとうございます!

次回更新予定日は火曜日です!

ちょっと間が空きますが、よろしくお願いいたします!

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