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7 王女ルティア-3

4章7話です!

よろしくお願いいたします!

初めてルティア様と会話出来た次の日。

いつも通りルティア様の部屋の前に来ていた俺。ルティア様は他愛ない話も聞いてくれるようになった。いい傾向である。

俺は次の段階に移行すべきと判断し、話を変える。


「ルティア様、私今度はルティア様のお話が聞きたいです。」


「.........私の?」


「はい!お互いのことを知れれば、もっと仲良くなれると思います!」


人と言うのは非常にめんどくさい生き物だ。他人の領域にはズカズカと踏み込める癖に他人から踏み入れられるのは怖く感じる。今の俺とルティア様みたいなものだ。そしてズカズカ踏み込んでいくようなやつでもそれがなにか分からないものだったら躊躇する。

言葉が、育った環境が違うだけでもそれが現れる。


じゃあどうやって仲良くなるんだよという話だがそれは簡単なことだ。早い話、時間をかければいいだけ。

遠いところから、少しずつ相手を知ること。踏み入るものがどんなやつか分かれば、相手は近づくことを許すか、あるいは遠ざけるかを判断する。


俺はルティア様とかれこれ10日程話している。

ルティア様も俺に近づくことを許してくれた。

だから、今度はルティア様から近づいて来て欲しいのだ。

お互いから歩み寄って得た友情はそう簡単には切れない強いものとなる。

まぁ全て自論なんだけど。


ルティア様はしばらく黙っている。部屋から異音は聞こえない。迷っているのだろう。それはそうだ。家族にだって話していない自分の内側を、声しか聞いたことがないやつにいきなり話せと言われても迷うのは当然だ。


「無理にとは言いません。でも、私はルティア様を知りたいと思っています。もし、ルティア様も同じ気持ちなら、きかせて欲しいんです。」


「............」


「............」


「私は、自分が嫌いなの。」


今までにない程長い沈黙の末、ルティア様は口を開く。


「ホントは、わかってる。自分がやっていることが少し、おかしい事に。でも、それを受け入れられない世界が、嫌い。そんなわがままを押し付ける自分が、嫌い。なら、いっそ、そんな世界とは関わらないで、自分だけの世界に、閉じこもっていた方が、幸せなの。」


「.........」


「ねぇシーナ。あなたは私を知りたいと言った。それはあなたが心のそこから望むこと?その気持ちが本物なら、あなたは私を認めてくれるのかしら?」


「......分かりません。ルティア様が何をされているのか私は知らない。私がルティア様を知りたいと思う気持ちは本物。ですが、何も知らないあなたを認めるとは口に出来ない。そんな無責任なことは言えません。」


「......」


カチャリ


扉から響く音。もしかして...

俺はドアノブを握り、ゆっくりと回す。

ガチャっと音を立てて開いた扉。さらにゆっくり押してやると、暗い一室に続く。中に入り、辺りを見回しながら扉を閉める。ホントに真っ暗だ。電気をつけていない。窓も板で塞がれている。これはなれるまでジッとしているしかないな。


「こんばんは」


「イヤァァァァ!!!」


突然目の前に顎あたりからライトで照らされた女性の顔が出てきた。悲鳴を上げて尻もちを着いてしまう。


「はじめまして、シーナ。」


直接見るルティア様は、

今まで扉越しだった影響でこもって聞こえていた声は、直接聞くとどこか気だるさがありつつも恐ろしいほど清廉な声で、

少し低めの身長にライトに照らされキラキラと輝いて見える金の瞳とショートボブの銀の髪。容姿だけ見れば、見たこともないのに女神はこんな姿をしているだろうと錯覚してしまう、そんな女性だ。


「何...?」


見惚れてしまっていた。この世界の女性、見た目のスペック高い人多い気がする。


「えっと、すみません。あまりにお美しかったものでつい...」


「そう...」


「それで、その...この暗い部屋で何を?」


「...ちょっと、待ってて。」


ライトを消し、どこかへ歩いていくルティア様。

パチンと電気をつける音がなり、視界が真っ白に染まった。思わず腕で視界を覆う。

ようやく慣れてきた頃。俺は視界を覆っていた腕をどけた。


「こ、これって...!?」


そこで俺が目にしたものとは...?!


「グルルルルル.....」


所々の部位の欠損がある。鱗も十分に生え揃っているとはいえない未完全な姿。だが、これは間違いなく...


「ワイバーン...!」


大きなガラスの筒に満たされたピンク色の謎の液体。そこに入っていたワイバーンが、瞼のない目で俺を凝視している。


「紹介する...。」


ルティア様はそのバケモノに近づき、優しく筒に触れてこう言った。


「私の、唯一の友達...カロン...。シーナも、仲良く、してあげて...ね?」


「は...はい...。」


今まで会ってきたどんな敵よりも恐ろしい見た目のその竜と、今まで会ってきたどんな人よりも美しい王女。

俺はこの日、晴れてその1人と1匹と友達となったのであった。

読んで頂きありがとうございます!

4章の着地点は見えてるのにそこまでの道のりはまだ見えてないです(´・ω・`)

次回更新予定日は木曜日です!

今更ですが、感想、評価お気軽にしてもらって大丈夫です!

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