3 謁見
4章3話です!
よろしくお願いいたします!
全てが高そうな廊下を歩いていく。
長い。リアル2分は歩いている。その長い廊下には高そうな絵やオブジェが均等に配置されている。最初は非常に興味深く見つめていたがさすがに飽きてきた。
部屋数も多い。もう10何部屋の扉を通り過ぎた。
そして右手に見えてくる扉とその両脇に置かれた花瓶。今日初めて来たはずなのに見慣れた光景である。
いつも通り(?)素通りしようとした時、その部屋の中からドンッ!と大きな爆裂音が響く。俺とカノンは何事かと立ち止まり、扉を凝視した。
アルレス殿下とキリム宰相はこの謎現象もいつも通りという反応だ。やれやれまたかと額をおさえて首を振っている。
「アルレス殿下、ここには何があるのかな?」
気になったカノンがアルレス殿下に質問する。
一瞬躊躇ったが、殿下は話し出した。
「...その部屋には僕の妹がいる。」
「妹さん?」
「そうだ。詳しいことはこれから話す。とりあえず、今は着いてきてくれ。」
気にはなったが、話してくれると言うのなら今じゃなくても良いだろう。俺たちは再び歩き出す。
さらに2分程たった。
普段ならどうってことないはずだが、何故か疲れている。やはり気を張り詰めすぎているのだろうか。それともこのなれない環境のせいだろうか。
そんなことを考えていると正面に一際豪奢な両開きの扉が見えた。あそこか。
扉の前に着くと、殿下は俺とカノンに向き直る。
「2人とも、くれぐれも粗相のないようにな。」
「うん。」
「はい。」
俺たちの返事を聞いて1度頷き、3度扉をノックしてガチャリと開く。
中に広がっていた光景は正しく、漫画やアニメの王座の間そのものだ。絶対に必要ないだろと言いたいほど広い部屋に、太い柱が6本程たっている。
廊下から続く絨毯の脇には槍や剣を持った甲冑を来た兵士が立ち、絨毯の先には何段か上がる階段、その頂点に王座がある。
そこに座る男性は外見的特徴を言葉で現すなら、老けたアルレス殿下といったところ。
老けさせて鼻下に立派な髭を生やした感じだな。
部屋の中心ほどまで歩き、立ち止まる。アルレス殿下が膝をつき頭をさげる。それに続き俺とカノン、キリム宰相が片膝をつく。
「父上、カノン・セルニダス、シーナ・ヴォルフフォード両名をお連れしました。」
アルレス殿下の言葉を聞き、国王ガレス・ランブルは鋭い眼を向ける。頭を下げているためその顔は見えないが、威圧感というかなんというか、見下ろされているだけなのに頭をあげられなくなる。
これが国王か...
「いやーありがとネ!迎えに行ってくれて!あ、もう顔上げていいヨ!」
その声が聞こえた途端今まであった緊張感が消えた。というか失せた。
それでも恐る恐る顔を上げる。先程までの威圧感バリバリの陰の入った真顔はない。後ろにデフォルメされたお花が見える暖かい雰囲気のほがらかな笑顔を浮かべている。
「父上...!客人の前ですよ...!」
「え〜いいでしょ別にぃ〜。減るもんじゃないしぃ〜。」
「言っている意味がわかりませんっ!」
アルレス殿下が苦言を呈する。その言葉にも飄々とした態度で受け答えする王様。さながら大人をからかう子供だ。
「まぁとにかく、アルレスはこっちに来てくれない?放置するのもなんだしさ。」
はぁ〜とため息をはいて王様の右側につく。
それを確認したガレス様は俺たちに向き直り、笑顔を見せる。
「いや〜遠路はるばるよく来たネ!会えて嬉しいよ!」
「父上、その前に言うことがあるでしょう。」
「・・・ゑ?」
「彼らはなぜここに呼ばれたのかも知らないのですよ?」
「おっと!そうだったそうだった。いや〜ごめんネ!置いてけぼりにしちゃって^^」
「い、いえ...」
俺もカノンも呆気にとられる。実物の王様は俺たちのイメージとかけ離れていた。厳格に臣下を束ね、秩序を守り、国を治める。それが王の役目だろう。
もちろん普段の彼を見ていないのだから何か言えた訳では無いのだが、なんというかこう...本当にこの人がそれを成せるのかと問いたくなる。
俺の目がそれを物語っていたのだろう。アルレス殿下が静かに、何度も頷いている。やっぱり苦労してた。
「ガレス王、僕たちをここに召集した理由というのは一体、なんですか?」
「うん、まぁ単刀直入に言うと、ご褒美だね。」
「...ご褒美?」
「そう!ご褒美!今回のこともそうだけどさ、総合大会の時も、2人ともすごく頑張ってくれたそうじゃない。だから、頑張ってる若者には相応のご褒美がないとって思ったわけよ。」
そういうとガレス王はいつの間にか左に立っていたキリム宰相にあるものを持ってこさせる。
片方は少し大きいか?というサイズの袋。
もう片方は銀の装飾の中心に青い宝石が輝くネックレスだ。
「はい、まずこの袋はカノン君のね。」
カノンに渡された袋からはジャラジャラと軽い金属同士がぶつかる音が聞こえる。
「なんでもちょっと生活厳しいって聞いたからさ、それぜひ使ってよ!」
「あ、ありがとうございます。」
俺たちのことを結構リサーチしてるみたいだ。カノンの家が貧しいというのは俺も知っていたが、王様が知っている情報としては珍しいだろう。
でだ、ということはあのネックレスは俺へのご褒美なんだろうが...なんだ?俺ネックレス欲しいとか言ったことないんだけど。
「はい、そういうことでこっちのネックレスはシーナちゃんのね。」
「ありがとうございます。」
「カノン君と同じお金っていうのも考えたんだけどさ、女の子にお金渡してっていうのはどうなんだろうとも思っちゃったわけ。で、じゃあなに渡せば喜ぶかな〜って考えた結果がこれな訳よ。」
プレゼントとして渡されて喜ばない女性はまぁ少数だろうけどそれはあくまで限られた異性からのものだと思う。まぁ俺はそういうのないけど、プレゼントとしても特に嬉しいとかはないかな。アクセサリーとかあんまり興味ないし。
「そのネックレスにハマってる宝石ね、なんでも不思議な力があるみたいでね?魔法を強くするかもしれないなんて言われてるんだよね!」
へぇ〜素敵。パパと呼ばせて頂こうかしらね。
読んで頂きありがとうございます!
遅くなって申し訳ない!
でも一応火曜日投稿だから許してください。
次回更新予定日は木曜日です!