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2 殿下

4章2話です!

よろしくお願いいたします!

ヴォルフフォード家の馬車の数倍派手な馬車に揺られながらランブル王国王都の街並みを眺める。

平静を装いながらも内心心臓バクバクな女が一人。


そうです。俺です。

シーナ・ヴォルフフォードです。

魔王なんて呼ばれた男を撃退し、ユーリを助けて数日。突然カノンから知らされた王宮からの召集。

何かやらかした覚えはないので多分大丈夫だと思ってはいるが、それでも緊張はするし、心配である。


というわけで一応ヴォルフフォード領の両親に手紙だけ送っておいた。不安過ぎてもう死にに行くみたいな文になってしまったが。


両親のことを思いつつ、しばらく揺られていると、騎手から声がかかる。


「もうすぐ到着です。」


「はぁ〜〜〜....」


現実に引き戻されため息が出る。

俺のデカいため息を聞いてふふっと微笑む男。

彼はカノン・セルニダス。俺の学園生活初めての友人である。彼もまた王宮から召集がかけられた一人。

正直、彼と一緒であることは非常に助かっている。

精神的に。


オープンスクールとか行く時自分以外誰も同じ高校を指定していなかった時、入社時の面接で知り合いが誰1人いなかった時、いやまぁ俺の場合は友達もほぼ居ないも同然だったので悲しくなったりとかはなかったが、とにかくカノンがいなかったらそんな空気になっていただろうなと思う。


「あなたは不安じゃないの?突然王宮から来いなんて言われて。」


「最初はもちろんびっくりしたけど、悪いことした覚えはないし。むしろ学園では優等生としてやってきたつもりだし?シーナもそうでしょ?」


「......まぁそうなんだけどね。」


「あまり気負わなくても大丈夫だと思うよ。」


「そうね。」


カノンと話していると馬車が止まる。窓から見てみると、王宮の門の前にいた。


で、デカい...。見たことはなかった。王宮は遠くからでも見ることはできたが、門を見るのは初めてだ。

門の時点で次元が違うレベルの大きさ、豪華さ。


騎手と門兵の話が終わり、門が開く。

大きな音を立てながら、ゆっくりと。凄まじい迫力に思わず見とれてしまう。馬車が進み出し、中へと入る。

高く大きな塀の内側は綺麗な緑が広がる平野が広がっている。まさか庭?これが?何をとっても次元が違う。そんな言葉しか出てこない。遠くには湖や森も見える。


「すっご...」


と感嘆して言葉をはく。

ほんとに王宮に入っているのだなと実感して、緊張も大きくなってきていた。


━━━━━━━━━━━━━━━


王宮の中はいい意味で予想を裏切らない豪華さになっている。長いがすぎる渡り廊下には誰が書いたかも分からない絵が飾られていたり、花瓶やオブジェなどが置かれていたり。敷かれた絨毯も高級感がすごい。

触ってもいないのに歩いただけで普通じゃないことがわかる。


そんな廊下をしばらく歩いていると、壁に寄りかかり腕組みをして佇んでいる男がいる。彼は...


「アルレス殿下...?」


俺の声に反応した金髪青眼の美男子、アルレス・ランブル。国王ガレス・ランブルの実子である。

実は同級生。騎士科に所属しており、よくお近付きになりたいと集まる多くの女子生徒を引き連れているらしい。その姿を見たことはないし、話したこともないけどな。


そんな彼と向かい合う俺とカノン。

まず口を開いたのはアルレス殿下だった。


「やぁカノン。それに、シーナ・ヴォルフフォード君。急に呼び出して悪い。」


「本当にびっくりしたよ。今でも僕たち、内心ビクビクしてるんだから。」


「本当にすまない、でも安心してくれ。父上が君たちを呼んだのは多分悪い理由じゃない。」


それを聞いて心の不安がひとまず消えた。良かった。

俺が無意識にふぅ、と息をもらすとアルレス殿下はもう一度謝罪の言葉を述べる。


「いや本当にすまなかった、シーナ・ヴォルフフォード君。ここに来る道中さぞ不安だっただろう。要らない心労をかけた。」


そう言い頭を下げてくる。俺は慌てて殿下に言葉をかける。


「い、いやいやそんな!頭をあげてください殿下!私なんぞに頭を下げるようなことでもありません!大丈夫ですので!」


「そう言ってもらえると助かる。なんの理由かも伝えず君たちに来るよう命じた父上には後で僕から言っておく。」


相当苦労しているみたいだな。この人。

彼の反応から察するに国王ガレス様はそういう所があるらしい。息子がそれのフォローしてるのか?いや全部やってる訳じゃないと思うが...

臣下の方々もさぞ苦労されているのだろうな。お労しい。


「アルレス殿下、そろそろ。」


俺たちをここまで案内してくれた男性から催促がかかる。彼はキリム宰相。上に跳ねた髭が特徴の初老の男性である。確か入学式に来てたっけか?


「ああ、すまない。じゃあカノン、シーナ・ヴォルフフォード君。行こうか。」


「うん。」


「はい。あ、それと私のことはシーナと読んで頂いて結構ですよ?」


「む、そうか?しかし初対面同然の女性をいきなりファーストネームで呼ぶのはな...」


「私本人がいいと言っていますし、大丈夫ですよ。それに同い年の同級生ですし、あまり堅苦しいのはナシにしましょう。入学式後のパーティでも少し話していますし。」


「う、うむ。まぁそういうことなら。シーナ君と呼ばせて貰うよ。」


まだ少し緊張?している様子のアルレス殿下。

なんで彼が緊張してるんだ?もしかして女性と話すの慣れてない?あの噂の信憑性がいっきに薄まったな。

読んで頂きありがとうございます!

アルレス殿下もかなり久しぶりの登場ですね!

覚えてる人いるのかな?

次回更新予定日は火曜日です!

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