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20 伝える

3章20話です!

よろしくお願いいたします!

アイン兄さんとともに、ランブル王国王都を駆ける俺。時刻は8時55分。もうすぐ約束の時間だ。

心の中でナイーダに平謝りしながら会った時どうやってこの落とし前をつけるか考えていると、前から俺とアイン兄さんの名前を呼ぶ声が聞こえた。


「シーナ様ぁぁぁ!!アイン様ぁぁぁ!!!」


黒いショートボブのメイド服少女、あれは....


「ミリア!」


なぜかこちらに走って来たミリアと合流した。

彼女はゼーハーと肩で息をしている。よほど頑張って来たらしい。


「ミリア、どうしてここに?」


「あ、あの...ヒューッヒューッ......ナイーダさん、ゼーハー...」


「落ち着いて、深呼吸して。はい、吸って〜吐いて〜...」


背中をさすりながら落ち着かせる。

少しして呼吸が整ってきたミリアは俺たちに話し始める。


「このまま待ち合わせ場所に向かって下さい!ナイーダさんも向かいました!」


「え、衣装とかどうしたの?一人で?」


「私がお手伝いさせて頂きました!」


なるほど。試験勉強とか、本番とか。諸々で疲れているだろうと思ってミリアには声をかけてなかったのだが、彼女なりに察して協力してくれたらしい。

正直ありがたい。すごくありがたい。めちゃくちゃハプニングがあったが、これなら...


「時間が無い、シーナ急ごう。」


「はい!ミリア、行くわよ!」


俺はミリアを抱き抱えると待ち合わせ場所に走り出す。抱き抱えられたミリアは何か恍惚とした表情を浮かべてうへへとキショい声を上げていた。


━━━━━━━━━━━━━━━


月と星の輝く夜の闇を暖色系の光が照らす。

そこは王都でも屈指のデートスポットになっている中央の大きな噴水が特徴の広場である。

今この瞬間にも、時間を忘れ、2人だけの世界を作り出している男女がチラホラと。


そしてそんな場所であると知らない男が一人、広場南側の階段を登った場所の柵に肘をたてて下を見つめている。


「ったく...なんで俺がこんなところに...」


ラーマンは心底つまらなそうに言葉を吐くとうなだれる。カッチリとしたタキシードを着させられ、少しトゲトゲした髪もポマードをガッチガチにつけて整えられている。正直うざったくてしょうがない。

その上何も聞かせられず、ただここで待っていろと言われているのだ。ラーマンのストレスは限界突破寸前である。街で何かが起こったようだし、こんな時にこんな所で何をやっているのかと、ラーマンは誰かに問いたい気分だった。



どれくらい時間がたっただろう。もう20分ぐらいはここにいる気がする。剣以外のことになると途端に飽き性になるラーマンにとってはとても辛い時間であった。広場で2人だけの世界を作っていた男女もまばらになってきている。設置された時計を見るともうすぐ9時になる。9時になったら帰ろう。そう思って柵を背もたれに地べたに座る。汚れなんてどうでもいい。どうせ誰も見ないだろう。


「あ、あの...!」


突然声をかけられ声のした方を向く。

そこには赤く、体の線が出やすい大人っぽいドレス、頭は整えられた髪に薔薇の髪飾り、化粧でいつもと違う雰囲気に変わっている顔。誰がどう見たって美しいと言うだろう女性が立っている。


いつもとまるで雰囲気は違うその女性を見たラーマンは思わず見とれる。その視線に耐えられなくなったのか、頬を赤くして顔を背けた。


「あの、ラーマン様。少し恥ずかしいです...」


「う...あ...す、すまん...。」


とても気まずい時間が流れる。しかし2人はその時間がどこか嫌いじゃなかった。


「なぁ」


「はい...」


「降りないか?」


そう言ってラーマンは噴水の周りのベンチを指さす。

ナイーダは黙って頷き二人で階段を降り噴水前へ。

ベンチに座ってからもしばらく沈黙が続く。


やがて意を決したようにナイーダが口を開く。


「あの、ラーマン様...。」


「...なんだ。」


「ど、どうでしょうか…」


「何が...」


「...10年も前のことをいまだに引きずってて...ラーマン様から言わせれば、ウザったいとか、気味が悪いと思われるかもしれないですけれど、でも、一言だけ伝えたかったんです。」


「......正直に言うとな」


「はい...」


「一目惚れだったよ。」


「......はい?」


「...だからな...!あーっと、だな...。はじめて見た時からお前に惚れてたよ、俺は。」


「はいぃ?!?!」


一気に顔の熱が上がった気がしたナイーダ。思わず固まってしまう。目線だけラーマンに向けると、頭をかいて顔を背けていた。そして耳が真っ赤に染まっている。ラーマンも似たような状態になっているのを知って、少し体の強ばりが緩む。


「あの日、お前が居なくなった後、どんどん後悔の気持ちが大きくなった。まだガキだった俺は、あんな...言葉しかかけられねぇで、今ならもっと、素直に言えると思うけどな。今更だけどよ。」


「なら、今はどんな風に言ってくれますか?」


「.......」


「お願いします。」


「......あー、その...だな......。に、似合ってる、ぞ?その服。」


「もっとお願いします。」


「は、はぁ!?」


「お願いします。」


「......き、綺麗だ...と、思う。」


「もっとお願いします。」


「おい...いい加減に...!」


「......」


「ッ...!ああもう!その服もめちゃくちゃ似合ってるし、化粧でさらに可愛くなってるし、綺麗で思わず見とれちまったよ!」


ナイーダの無言の圧力に負けたアインは大きな声で自分の思いを言った。


自分でそれを求めたナイーダは先程よりも顔を真っ赤にして両手で顔を覆っている。


「お前...自分で言わせておいて...」


「す、すみません!」


「ったく...。お前はどうなんだよ。」


「ふぇ?」


「お前はどう思ってんだって聞いてんだよ。」


「......私、ずっと謝りたくて。」


「は?いや謝るのは俺だろ。」


「いえ......いやまぁ、オシャレしてきた女の子にあれはたしかに今考えればないとは思いますが。」


「うっ...!」


「でも、あの時、走っている時ラーマン様の顔を見た時思ったんです。きっと後悔してるって。でも私は自分の気持ちを優先しました。気づいていたのに無視をした。だから、すみません。」


「いや、俺も、ごめん。」


「それから...はじめてあった時からずっと、大好きだよ。」


「......お、俺も...その、好きだ。」


お互い昔に戻ったように、昔から止まった時間を戻すように、あの日の続きから話し出す。


その光景を陰ながら見守る3人はドヤ顔で去っていくのだった。


読んで頂きありがとうございます!

恋愛描写書くの向いてない気がします。

次回更新予定日は26日火曜日です!

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