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元社畜令嬢 〜今世こそは良い人生を!〜  作者: 零式NINGEN
第1章 初めての異世界
6/71

6 剣の道-3

6話です!よろしくお願いします!


行間の修正を行いました!

アイン兄さんが王都へ行ってからもう1年。


ラーマン兄さんと剣を合わせていたらすぐに時間が過ぎていく。


最近はまともにやりあえるようになってきた。

アイン兄さんが行ってからのラーマン兄さんは常に考

え事をしているような気がする。剣を交える際も真剣

に訓練はしているが、どこか上の空だ。


今日も今日とて朝から打ち合い己を鍛える。

ひとしきり訓練を終えた後、ラーマンがおもむろに口

を開いた。


「なあ」


「はい?」


「俺も王都に行っていいと思うか?」


「...どういう意味です?」


「俺は、俺がこうやって強くあろうとするのはここを守るためだ。」


吐き出すようにラーマンは言う。


「王都には行きてぇ。でもこれは俺の感情を優先した考えだ。気持ち悪ぃ言い方になるが、兄貴を追っかけてぇから王都へ行きてぇんだ。」


なるほど。15年間家を守るために強くなってきた。そ

れを今自分勝手な理由で放棄して離れてもいいのかと

悩んでいるわけだ。


......考えるまでもない気がするが。

ラーマンはそれに、と言葉を繋ぐ。


「俺が離れちまったら親父やお袋、お前にも負担をかけちまうかも知れねぇ。だったらこのままここにいた方が...」


「行けばいいじゃないですか。」


あっけらかんと答えると兄さんは目を見開き固まっ

た。


「お兄様ももう15です。お兄様なりの考えで動いたって誰も文句は言いません。」


「でもよ...最近隣のゴルドリッチ領がここの併合を考えてるって話だ。そんな時に離れるのは...」


「お兄様。」


俺は今までにない程後ろ向きな兄に言う。


「生き方を決めるのはお兄様です。...大丈夫ですよ!たとえお兄様がいなくとも、私がいます。」


下の子に言うように微笑みかける。


「アインお兄様から魔法を学び、ラーマンお兄様から剣を学びました。私だってもう1人前に戦えます。だから、こっちは任せて、アインお兄様を好きに追っかければいいんです。」


「...そっか。 ちょっと行ってくる。」


そういうとラーマンは訓練所を出ていった。きっと両

親に自分の考えを話に行ったのだろう。きっとわかっ

てもらえるはずだ。


しかし、気になることを言っていたな。隣領地が此処

を取り込もうとしている?


少し調べる必要がありそうだ。


1週間後、ラーマンが王都に向かう日の朝。

家族揃って最後の朝食を食べている。


父ヴァリスは既に泣いている。

母はいつも通りといったところか。


早く食べ終えたラーマンは俺に言葉を投げる。


「食い終わったら訓練所に来い。」


「...分かりました。」


その後食べ終えた俺は動きやすい服装に手早く着替

え、訓練所に向かった。

訓練所の扉を開けると中心に剣を2本持ったラーマン

がたたずんでいる。


「それでお兄様、私に何かご用ですか?」


そう問いかけるとラーマンから剣を1本投げ渡された。


「黙ってかかってこい。」


いつになく真剣な面持ちのラーマンが剣を構える。


なぜこのタイミングなのかは分からない。だがやりたいと言うのなら、


口をつぐみ、剣を構える。


「...行くぞ。」


剣を上段に構えたラーマンが勢いよく向かってくる。

対する俺は右手で持った剣を左側に構え横なぎに振る

う。


ラーマンは間合いの外ギリギリで停止し、上半身の力だけで剣を振り下ろす。

それを見て懐に近づくと今度は膝蹴りが飛んでくる。


俺はフリーの左手でラーマンの剣の柄を掴み逆手に持ち直した右手の剣の柄尻でラーマンの腹を突く。


一度離れて体勢を整えたラーマンが再度仕掛けてくる。俺も剣を持ち直し構える。


今度は激しく打ち合い続けた。打ち合うたびに火花が散りその速度は増す。


100、200は打ち合ったか互いに力の入った剣はぶつかり、かえってくる。


もう一度互いに距離を離し、1呼吸置く。


「こいつで最後だ。」


「はい。」


2人同時に飛び出し、剣を交え、その位置が交差した。


結果は...俺の剣が中辺りからへし折れ近くに突き刺さった。まだまだこの兄には勝てないらしい。


ラーマンはふぅと息を吐くと構えを解き、背中を向けながら言った。


「お前は強くなった。魔力なしの勝負なら俺の次に強ぇだろう。」


素直に嬉しい言葉だ。俺は振り返り兄の背中を見つめる。


「だから、ここを任せた。」


「はい。任されました。」


「じゃあな、色々片づいたらお前も王都にきな。俺も腕磨いて待っておいてやる。」


そのまま歩き出すラーマン。


遠のいていくその背中に俺は思わず言葉を投げかけた。


「ラーマン兄さん!」


ラーマンが驚き振り返ったので、俺は微笑みを浮かべ、元気よく言う。


「行ってらっしゃい!」


ラーマンはしばらく見つめ、フッと息をつくと初めて見たような微笑みと初めて聞いたような優しい声で応えた。


「行ってきます。」


数秒見つめ合うとラーマンは気恥しそうに顔を背け歩き出す。その耳は真っ赤になってた気がする。


鍛錬を始めてからサボった日はない。


あの日から自分なりに努力をし、研鑽を積んできた。

しかし、兄の背中はまだ遠い。

剣の頂きははるか遠く、その道のりは果てしなく長い。


俺があの人に追いつくのはいつになるのだろう。

6話読んで頂きありがとうございます!

次からやっと話が進む気がします!

あとしばらくお兄ちゃんたち出ないです!

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