8 今度は私の番-6
3章8話です!
よろしくお願いいたします!
朝礼が終わり、皆隣の席の友人と談笑したりして1時限目の開始を待つ。
やがて開始2分前ほどになって、教室の扉がガラガラと音を立てて開く。
「いやー、みんなおはよう!」
飄々とした態度で入ってきたのはサベラ先生である。
「先生、おはようございます。」
「ああ、おはよう、アリアさん。ごめんね、急に長期の休みもらっちゃって。みんな僕に会えなくて寂しかったでしょ?」
「ふふ、そうですね(棒)。それで、今日は何を?」
「アリアさん、なんだか冷たくないかい?まあいいや。今日は休みを貰った代わりに、ちょっとだけ特別な授業をしようと思う。」
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「みんなは、魔法ってなんだと思う?」
いきなり抽象的な質問をされた。
みんな、ポカンとして頭に?を浮かべる。
「なんだと思うって...魔法は魔法なのでは?」
「うん、まぁそう答えるよね。じゃあ質問を変えよう。みんなは魔法ってどうやって使えているんだと思う?」
どうやってか。たしかにあんまり考えたことなかったな。アイン兄さんに教わった時もただイメージしろとしか言われてないし。そういうもんだとしか思わなかった。よくよく考えたらどうやって発生してるのかまるで分からない。
それはみんなも同じのようで、考えても答えが見えてこないらしく、やはり皆頭に?が浮かぶ。
「うんうん、期待通りの反応だよ。そう、これまで魔法というのはかなり曖昧な考えだけで人間に使われてきた。僕はこう思ったんだ。人の生活に欠かせない魔法、その謎や理屈を解き明かせば、これからもっと人の役に立てるんじゃないかってね。」
魔法の原理を知れば、使い方にも幅が出る。
もっと人の役に立てるという先生の考えもいずれ現実のものとなるだろう。
「そういうわけで、今日は君たちに僕がたどり着いたひとつの答えを話していこうと思う。まだ君たちにしか話す予定ないから、くれぐれも内密にね。」
サベラ先生の特別授業、その内容はみんなを引きつけるのに十分すぎる内容らしい。
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「では、始めっ。」
開始の合図を聞き、受験者がいっせいに問題に目を通していく。
今日はランブル騎士学園従者試験当日。
シーナ専属メイドミリアは頭の中で主の顔を思い浮かべながら必死に目の前の敵と向かい合っていた。
大丈夫、大丈夫。
わかる、解ける。
シーナ様やアイン様に見てもらった成果がちゃんと出てる。
合格ラインは90点以上。
騎士学園では、生徒よりも従者の立ち居振る舞いがそれなりに厳しく見られる。
生徒たちは学園では1人の生徒としてキチンとした生活態度を送ればいいが、その従者は違う。
一つ一つの所作が主の面目に直結する。
故に生徒たちよりも合格ラインは厳しく設定されているのだ。
受かっても受からなくてもかかるプレッシャー。
それに押しつぶされそうになりながらも何とか問題を解いていった。
最後の問題を解き終わり、何回も見直しをかさねる。
自己採点は100点。書き間違いや解答欄のズレもなし。
あとは実技を突破するだけだ。
実技試験は、料理、掃除、そして試験監督への給仕だ。給仕の内容だが、試験室に入ってから出るまで、
突然の要求とか命令にいかに早く、丁寧に応えられるかを審査される。
従者として、やれることのほぼ全てを見られるのだ。
ミリアの頭と心臓は試験開始前の現在もぐちゃぐちゃである。
シーナのことを考えてギリギリ保っている。
「シーナ様、きっと合格してみせますから...」
小声でつぶやく。
「君、シーナ・ヴォルフフォード様の従者か?」
聞こえないほどの小さな声で呟いたつもりだったが、どうやら聞こえていたらしい。
「あ、は、はい...」
「...そうか。ともに合格できるといいな。」
「そ、そう...ですね。」
随分綺麗な顔をした青年と挨拶を交わす。
どこの家の執事だろう。
その出で立ちはこの試験を受ける意味はあるのかと感じてしまうほどのオーラを感じる。
この人は合格するだろうなぁと直感的に感じるミリア。
そのせいか、さらに緊張が高まる。
こんな人がいるようなハイレベルな試験であると実感する。
ああ、シーナ様。
私はどうすればいいのでしょう。
この試験に合格なんてできるのでしょうか?
「何辛気臭い顔をしているの。自信を持てと言ったでしょう?大丈夫。あなたは絶対に合格できるわ。」
ああ、シーナ様。
こんな私にそんな言葉をかけてくださるとは...
まぁ全て私の妄想ですが。
でもいいのです。私の心の中でシーナ様は何時でも見てくれていると、そう思うだけでこのミリアはどこまでも生きていけますから...
「今度はやけにニヤニヤし始めたわね。」
「本当に大丈夫かしら。ちょっと心配だわやっぱり。」
「わぁ〜!この子がシーナの従者ちゃん?可愛い子だね!」
なんだか心の声が騒がしい。
知らない方の声が聞こえてくる。
目を開け自分の胸を確認する。
周りには自分を興味深そうに見つめる知らない人と
片眉をあげて呆れたように笑っているシーナ様がいた。
「どぅえあおぇぇ?!?!シシシ、シーナ様っ?!どうしてこここに?!」
「どんな驚き方...あとこが1個多いわよ。ちょっと移動してたんだけれど、その道が被ったみたいね。」
「そ、そうだったんですね!あの、周りの方々は...」
「私の友達、クラスメイトよ。長くなるから紹介は省かせて貰うわ。」
「紹介しなさい。と言いたいところだけど、移動教室中だからね。また後でお話しましょう、シーナの付き人さん。」
シーナ様たちと別れ、心を落ち着ける。
他の受験者が自分をなんだこいつみたいな目で見てる気がするがどうでもいい。
驚くほど心が落ち着いている。先程までとは正反対。
やはりシーナ様は自分の心の支えになっているのだなと再確認した。
さぁ、覚悟は決まった。
シーナ様にここまで後押ししてもらった。
ここからは、私の番だ。
この試験、必ず通過して見せましょう!!!
読んで頂きありがとうございます!
試験の描写どうしようかなァ〜
どう書こうかなぁ〜