7 今度は私の番-5
3章7話です!
よろしくお願いいたします!
少し経ち、ランブル騎士学園従者試験が1週間後に差し迫ったある日。
今日も今日とてミリアの勉強を見ている。
やはり覚えがいいこの子は、はっきり言って合格ラインに達しているだろう。
一度そう言ってみたものの、
「ギリギリ合格ではいけません!一従者の私が主のシーナ様の顔に泥を塗り、恥をかかせる訳にはいきませんから!」
と、満点合格を目指し励んでいる。
もう俺はほとんど見ていない。
ミリアからの質問も随分減った。俺の勉強やアイン兄さんとともに進めている計画を考えるのに当てる時間が増え、ありがたいかぎりである。
ナイーダもあの夜のことはなかったように振る舞い、仕事をしっかりこなしている。
心配が無いわけじゃないが、しばらくは大丈夫だろう。
「シーナ様、終わりました!」
俺から出された問題を解いていたミリアから声がかけられる。
俺はミリアの回答に目を通し、頷く。
「うん、完璧ね。よくやったわ。」
「やっったぁ...!」
大きく伸びをしながら喜ぶミリア。
「じゃあ、最後に模擬テストをするわ。これを満点出来れば、本番も問題ないはずよ。」
俺はアイン兄さんに用意させていた用紙を取り出し、ミリアに渡す。
「これは50分の制限時間をつけるわ。満点目指して頑張りなさい。」
「はいっ!」
買っておいた懐中時計を取り出し、
キリのいい時間になった時、開始の合図を出す。
ミリアはテスト用紙に向かい、真剣な眼差しで取り組んでいる。
ペンもサラサラと進んでいるようだな。
さて、もうひとつの方も考えていこう。
俺とアイン兄さんで計画している、
『ラーマン兄さんとナイーダの恋路を応援するぞ大作戦』
いい感じに仲良くなれる雰囲気や場面作りをサポートし、あわよくばくっつけちゃおうぜという計画。
余計なお世話とか、要らん手助けかと思われるかもしれないが、当事者になったら俺たちの気持ちが分かってくれるだろう。
お互いを好きあっているのに素直になれずにすれ違いが続く2人の男女。
分かっている側からすると正直イライラするのである。お前ら何やってんだと。
くっつかない原因が素直になれない2人の気持ちなんだから色々話しやすい状況に強制的に放り込むだけだ。
それからどうするかは2人次第。
ナイーダには俺が、ラーマン兄さんにはアイン兄さんが手助けしてやるからなと伝えてある。
お互いの状況を俺とアイン兄さんが示し合わせ、ゆっくり話せる時間などを作る。
既に2度ほど話し合い、そこそこ固まって来ている。
ただ心配なのが、ミリアの試験と2人を2人きりにする日が同じ日であることだ。
ずらせばいいだろとか思ってるだろ?
それがどちらもそれまで暇がないうえ、ミリアが試験を終えれば、ナイーダはヴォルフフォード領に帰ってしまう。ラーマン兄さんは騎士団の訓練に呼ばれたり、剣術クラブの手伝い等で外せない用事が多いらしい。
クラブの手伝いくらい休めやアホと言いたいが、
まぁ好きな女の子と会うのに勇気がいるのはわかるし、心の準備というのは必要だろうと妥協してやった形である。
それにさ、最後の日に好きな人と一緒にいられるとかなんか良くない?
ナイーダも納得してるからヨシなのですよ。
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1週間後。ついにやって来ました、ミリアの試験当日〜!
朝からミリアの顔色は悪いまま。
体調とかではなく緊張だろう。
「大丈夫よミリア。今のあなたに怖いものなんか無いわ。」
「ははは、はは、は、ひあ....らいじ、だだ、大丈夫でしゅ!!!」
ほんとに大丈夫かな。
対策バッチリでもそれを発揮出来なきゃ意味ないんだが...
不安になりながらガチガチのミリアを見送る。
そして俺は校舎の方へ。
今日は普通に学校有りです。
なんでやねん。休ませろや。
愚痴を心の中でこぼし、教室に向かう。
今日は遅めの登校のため教室には多くの生徒が登校済であった。
「今日は遅かったわね、シーナ。」
「ええ、ちょっとメイドの見送りにね。あなたは従者をつけないの?アリア。」
「ええ。家の者にはつけろつけろと口うるさく言われたけれど、必要ないって押し切ったわ。」
「お姉様の従者も今日試験なんですか?」
「そうよ。セルカ、あなたも従者をつけるの?」
「はい。うちの執事見習いが受けるそうです。私もいらないとは言ったのですが、うちの親は私の意見よりも心配が勝ったみたいで。」
セルカの両親は娘を溺愛してるらしいからな。
うちの親といい勝負ができるかもしれないな。
「シーナっ、おはようっ!」
元気な声で話しかけてきたのはユーリだ。
「おはよう、ユーリ。朝から元気ね。」
「それが取り柄と言っても過言では無いし?それより、お話聞こえたんだけど、シーナ、従者つくの?」
「ええ。合格出来ればだけどね。」
ユーリや他の子達ともかなり打ち解けてきた。
もう友達たくさん作りたいという目標達成できてる気がする。
「1時限目はなんだったかしら。」
「サベラ先生の魔法理論よ。」
おっ、それはそれは。
退屈せずに済みそうだね。
読んで頂きありがとうございます!
もう少しで試験も終わりだァ。
そしたらまた本軸の話に戻りますわい