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4 今度は私の番-2

3章4話です!

よろしくお願いいたします!

家の門を通り過ぎ、重い玄関の扉を開く。

中に入り、靴を脱ぐ。


...おかしいないつもならパタパタと足音が聞こえ、あの子が姿を現すんだけど。


「お帰りなさいませ、お嬢様。」


「ん?ああ、ただいま。」


俺の前に姿を現したのは執事服に身を包んだ小綺麗な顔の...えーっとぉー...


「...ハッ!申し訳ありません。自己紹介がまだでしたね。わたくし、本日付でこの館につかえることになりました、ナイーダ・レドルカと申します。」


どことなくミリアと雰囲気が似ているその人と挨拶を交わす。


「よろしく...。もしかして、アインお兄様が?」


「はい、ミリア様がしばらくメイドの仕事ができそうにないので、代わりを仰せつかっております。」


なるほど。まぁこの人がここにいる理由は分かった。

だが1番聞きたいのはそこじゃない。


どっちだっ!?どっちなんだい!?


ナイーダの顔を凝視してどちらか考える。

声は中性的な声。切れ目でツヤのある肌。

少し面長だが、小顔ではある。

俺が見た限り女性ではあるんだが、分からない。


ハ〇テのごとく!!とかバ〇テスとか、俺の知るものの中に前例が多すぎる。


「...あの、私の顔に何か...?」


「女性ね!!!」


「あ、はい。そうですが。」


よしッ!当てた!

胸のモヤモヤも晴れたことだし、さっさとルーティンをこなすとしよう。少し遅くなったしな。


ひとまず荷物を置きに自室へ向かう。


「あ、お持ちします。」


「ん?ああ、ありがとう。」


といってもたいして重くない学校指定カバン1つだけどな。まぁ来たばかりだし、せっかく気遣ってくれてるんだから、甘えてあげよう。


「そういえば、なんで執事服なの?」


「えっと、フリルのついたスカートとかが、少し着るのに勇気が要りまして...。」


「ということは私服もそんな感じ?」


「はい。男装とまではいきませんが、近いものを。」


「女性らしい服に興味とかある?」


「...無いわけではありませんが、昔仲の良かった男の子に似合わないと言われてから着る気にもなれなくて。」


つまり来ては見たいと。なるほど。


「ナイーダ!」


「はいっ!」


「この後時間ある?」


「え、えぇ。本日の仕事は済んでいますが...」


「なら、私にその時間をちょうだい?」


「は、はぁ...承知しました。」


フッフッフッ、久しぶりだなこれも。

王都に来たばかりの時にミリアにやった時以来か。

ナイーダはどんな顔を見せてくれるやら。


━━━━━━━━━━━━━━━


「はあぁぁぁぁ、終わったァァァァ...!」


「お疲れ様。よく頑張ったね。」


勉強開始から4時間。

ようやく開放されたミリアはとても大きなため息と共に全身の力を外に出した。


優しい雰囲気とは裏腹に普通にスパルタだったアインの授業。途中からラーマンが加わり1度絶望したものの、ラーマンが来たことにより少し緩くなったため非常に感謝の念がたえないミリア。


ふと時計を見るともう9時である。


「いけない!まだ仕事が!」


「それは問題ないよ。代わりの子を雇ったからね。君が合格するまでは、ひとまずその子が君にかわって家事等をしてもらう。君は目の前の課題に集中してくれ。」


本当にスパルタである。初日でもう嫌になっているミリア。本当に身についているのだろうか。


そんなことを思っていると、ガチャリとまた扉が開く音。姿を見せたのは...


「...シーナ...様...。」


「あら、もしかして今終わったのかしらぁ?!」


いきなり飛びついてきたミリアと共に仰向けに倒れるシーナ。ミリアは鼻水と涙を流しながらシーナの胸に顔を埋めている。


「どうしたのミリア、そんなになって。」


「うえっぐ、ぐすっぐすっ、うぇえぇえぇえぇん!!」


「...困った子ね…。」


優しく微笑みながらミリアの頭を撫でるシーナ。

そして今度は一緒にいた兄ふたりに視線を向ける。


「で、一体何があったんですか?」


「うーん、僕は皆目見当もつかないけど...」


「何言ってんだ。兄貴の勉強がハードすぎたせいだろうが。」


「あー、なるほど。そういう事ですか。」


何となく理解できたシーナはミリアを立ち上がらせてハンカチで顔をぬぐってやる。


「さ、疲れたでしょ?お風呂に入って、夜ご飯食べて、早く寝てしまいなさい。」


「ふぁい...ありがとうごじゃいまふ。」


まだグズグズしているミリアの背中を押し、部屋に連れて行く。

広間に戻ってきた後ミリアのテストの見直しをしているアインに少し呆れた声で注意する。


「全く、意欲的なのはいいですが、少しは加減してあげてくださいよ?あの子と私は違うんですから。」


「う、うん。次からちゃんと気をつけるよ...。」


「ほんとかよ。天才の兄貴に俺たちに合わせた勉強が出来んのか?」


横でラーマンがほら見ろと言わんばかりに眉をあげて妹に注意されている兄の姿を見ている。


「そ、そういえば、ナイーダとはもう会ったかい?」


なんとも言えない空気にいたたまれなくなったアインが無理やり話を切り出す。


「...まぁ、いいです。ええ、会いましたよ。着替えたらここに来るようにと言っておいたのですが、まだ来てませんか。」


「うん、まだ見てないね。」


「待て待て、誰だそのナイーダってのは。」


「ラーマンにもまだ言ってなかったね。ミリアが試験に合格するまで、彼女の代わりに家のことをやってもらうために、雇った人だよ。ちゃんと挨拶するんだよ?」


「なんでだよ。いいだろ別に。」


「...ほんとそういうところだと思うよ?ラーマン。」


「はぁ?」


兄ふたりの話を聞いていると後ろからコンコンと控えめなノックが聞こえた。


直後、ガチャッと少し扉がひらき、向こうから声がする。


「あの、シーナ様?」


「ナイーダ?着てきた?」


「はい、あの、着てはきたのですが...さすがに兄君にお見せするのは心の準備が...」


「何を言ってるの。着てみたかったんでしょう?恥ずかしがることないわ、とっても可愛いわよ。」


「そういう問題では...」


「鬱陶しいわね。早く見せてごらんなさい!」


シーナが両開きの扉を開け放ち、ナイーダの姿があらわになる。


そこに立っていたのは、フリルがふんだんにつけられた、まさかのミニスカメイド服を着用し、顔を真っ赤にして俯くナイーダの姿。


シーナは満足そうにうんうんと頷いている。


「やっぱり似合うわね。いいわよナイーダ、あなたの魅力が全面に押し出されているわ!兄さんたちもそう思いませんか?」


兄ふたりに振り向き、評価を見る。

アインはいつも通りのニコニコ顔で見ている。

ラーマンは...


「.......」


目と口を開き、固まっていた。

優秀な妹は何かを察するのだった。



読んで頂きありがとうございます!

段々と3章も固まって来ましたよォ〜!

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