3 今度は私の番-1
3章3話です!よろしくお願いいたします!
シーナとユーリ御一行が放課後街歩きを楽しんでいる最中。
ヴォルフフォード家王都別邸にて、頭を抱え、うぅ〜んうぅ〜んと唸る少女が1人。
彼女の名前はミリア。シーナの専属メイドである。
そして彼女の前には山のように積まれた書類と、ニコニコと微笑むシーナの兄、アインの姿。
たいていの人間はこの行為が嫌いであろう。
そう、現在ミリアは勉強中なのだ。
なぜ勉強なんてしているのかと言うと、話は少し遡る。
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こんにちは!ミリアです!
今日も今日とてお屋敷のお掃除、シーナ様たちのお食事の用意に、お洗濯。
お屋敷で働く人の数はあまり多くないので、
やることがいっぱい!!毎日てんやわんやです!
でも私は、シーナ様専属メイド!
お会いした時からずっと立派なメイドになれるよう鍛えて貰ったんです!
これくらいでへこたれてはいられません!
そ・れ・に!!!
今度からシーナ様たちと一緒に学園にも通うことになりますからね!
さらに大変になる毎日。
でも、楽しみな気持ちがとっても強いんです!
大好きなシーナ様と一緒に学校に通えるなんて...
まさに夢のようです!
さて、じゃあ今日の朝のお掃除も終わりましたし、
皆さんの朝食の準備を始めるとしましょう♪
ガチャリと広間の扉をひらき、厨房に向かいます。
...おや?厨房からなにかいい匂いが。
自然と足取りが静かになり、恐る恐る厨房の中を覗いて見ます。
「ふんふんふ〜ん♪」
焦げ茶色の髪と蒼い瞳の男性が鼻歌まじりにお鍋でスープを作っていました。
「...いつまでそこで見てるんだい?」
「ひゃあ?!」
こちらを見ずにニコニコとした笑顔で私に話しかけられました。
どんなことをしていても絵になるとても美しい方ですが、なんというかどこかこういう所が不気味だったりします…。
「なにか失礼なことを考えてないかい?」
「ソ、ソンナコトアリマセンヨォ?!」
そういう所ですよアイン様!
それはともかく、
「あのー、何をされてるんですか...?」
「見ての通り、朝食を作ってるんだよ。」
「えっとその、なぜアイン様が?」
「君のためだよ。」
こちらを振り向き、優しく微笑みながらそういうアイン様。思わず顔が熱くなります!
ほんとそういう所ですよアイン様!!!
「え、えっと、私のためとはどういう///」
「だって君、学園に通いたいんだろ?今だけでも大変だろうに、その上仕事が増えるのは、ヴォルフフォード家時期当主としても、あまり見過ごす訳にはいかないからね。」
私のために...
胸の辺りがキュンとしましたが、おいておきましょう。
「しかし、主の食事の用意はメイド、使用人の役目ですから。」
「ダメだよ、しっかり英気を養ってもらわないと。だって君勉強してないだろ?」
「ハッ...?」
べ、勉...強...?
「え、勉強なんて...ゑ?」
「あれ、もしかして知らなかった?試験のこと。」
そ、そういえば試験があるとか聞いた気が...。
まさか筆記試験も...?!
「あるよ^^」
嫌だあぁぁぁぁ!!!!
そして心の声を読むなあぁぁぁぁぁ!!!!!
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勉強開始から2時間。
すでにミリアはぐったりとして、額を机につけている。
「ふむ、思ったよりもいい点数だね。シーナの教育の賜物かな?」
正直もっと酷い点数をとると予想していたアインは少し感心する。
学園での1日を終え、帰宅した後テストを作り、夕食作りなどの仕事を手伝いパパッと終わらせ、2人でテスト勉強中である。
試験にて評価されるのは2点。
まずはメイドとしての振る舞い、仕事ぶりだ。
試験専用の部屋が用意され、掃除や洗濯など、普段の仕事ぶりを見られる。
もうひとつが、教養。
シンプルに筆記試験を受けてもらう。
ランブル王国最大の学園ということもあり、普通に名門の騎士学園。試験問題も難しいものとなっている。
確実に合格させるためには、この時期から対策しておくのが1番だろうと考えたアインは心を鬼にして、高難易度のテスト問題をいくつも作り、ミリアにとかせ、
分からなかった部分を教えている。
ちょこちょこシーナから勉強を教えて貰っているミリアだが、考えることは普通に嫌いである。
そのためあまり身が入らず、多少マシにはなっているが、それでも合格点には届いていない。
「ほら起きて、まだまだこれからだよ。」
「うぇぇぇん!助けてシーナ様ぁ〜!!」
「シーナに甘えてはいけないよ。さぁ、次のテストだ。」
アインが手に持った紙の山から1枚を取り出し机におく。
その時ガチャリと広間のドアが開く。
パァッと表情が明るくなり後ろを振り向くミリア。
しかし一瞬でその表情はまた泣きそうな顔に逆戻り。
たっていたのはラーマンである。
「てめぇ、何人の顔見てガッカリしてんだ。」
「い、いえ!決してそんなことは!」
「...まぁいい。つか、何やってんだお前ら。」
「見ての通り勉強だよ。シーナに確実に合格できるように見てやってくれって頼まれてね。」
「最初っから飛ばしすぎじゃねぇか?そいつとシーナは違ぇんだぞ?」
意外と擁護してくれるラーマンに子犬のような目を向けるミリア。
くぅ〜んと泣き出しそうな目を向けられたラーマンは思わず目をそらす。
「その目やめろ。まぁとにかくだ、しっかりそいつのペースってもんを考えてやれよ。無理に詰め込んだら逆効果だからな。」
「ふむ。一理あるね。」
百里あるだろとミリアは心の中でそう思った。
読んで頂きありがとうございます!
いやー更新しばらく途絶えてしまって申し訳ないです!
家の事情でかけない環境になりまして...
また今日から再開いたします!