5 剣の道-2
5話です!剣の話少しだけです!
行間の修正を行いました!
それからしばらく経ち、
体力、筋力が増えてきた俺はついに剣術の指南を受け
ることになった。
「ほらよっ」
ラーマンから投げ渡されたのは
「木剣...ですか?」
「見りゃ分かんだろ。まずは素振りだ。今度は剣を振
ることに慣れてもらう。じゃねぇと肩壊すからな。」
「はいっ」
それから少しして今度は打ち込み稽古が始まった。
ラーマンが横に持った剣に俺の剣を振り下ろす稽古
だ。なんというか、割と初心者に優しいメニューも考
えられるんだな。
その後は軽く打ち合ってこの日の稽古は終了となっ
た。
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それから3年の月日がたった。
自分で言うのもなんだが、かなり成長してると思う。
魔法を打ち出すのも基本成功するようになったし、も
ちろん打ち出すまでのスピードも上がった。
そして剣も...
横に一閃された剣を後ろに飛んでよけ、地面に足が着
いた瞬間に前に飛び力いっぱいに振り下ろす。
ギリギリで受け止められるがまだ体勢の整っていない
ラーマンを鍔迫り合いで上から抑え込む。
膝を立て何とか保っているが、押し返すには至ってい
ないようだな。このままギブするまで押し続けてや
る。そう考えていると、
スルッと俺の剣が落ちていく。
横に流された俺の剣につられ俺も体勢を崩す。
そのまま剣を持つ必要のなくなったラーマンの左拳が
俺の腹に突き刺さる。
「ぐっ!」
そして吹き飛ばされ前を向くと、
ラーマンが剣先を俺に向けて立っていた。
「......参りました。」
「今日も勝てなかったな。」
「惜しかったと思うんです、今日。」
「アホか。さっきのは俺たちがまだ小せぇ同士だから抑え込めただけだ。それにすぐ受け流されただろ。まだまだ動きがまっすぐすぎだ、お前は。」
厳しい。ムムム...
「もう一度お願いします!」
「まだやんのかよ...」
「はいっ!まだまだ行けます!」
「......体力だけなら追い越されてる気がする。」
なにか言ったが聞き取れなかった。
まぁいいか。
そういえば最近アインと訓練とかしてないな。
何やってるんだろ。
気にかけつつ、元気にラーマンに切りかかる。
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さらに5年後、
俺は13、ラーマンは14、アインは15になった。
妹と弟もできた。
あの両親ハッスルしすぎじゃねぇか?
そんな家族で夕飯を食べる夜。アインが唐突に切り出した。
「父上、母上、お話があります。」
「ん?どうした、改まって。」
俺の父、ヴァリス・ヴォルフフォード
昼は立派な領主、夜は家族愛で家族を溺れさせる
そんな人。アインの黒髪や蒼い眼は父の遺伝である。
「何か大事な話かしら。」
母、シータ・ヴォルフフォード。
紅い眼に眩しいレベルの金髪の女性。
歳と比べてかなり若い。ザ、貴族みたいな女性だ。
あと怒ると怖いらしい(ラーマン談)。
俺は普段からいい子なので怒られたことは無い。
さて、アインは一体何を話すのやら。
「はい。実は、王都にある騎士学園に行こうと思っているんです。」
「ふむ。理由を聞いてもいいか?」
「はい。今まで父上の下や独学で国を治めるとはどういうことか学んできました。足りなかったとは言いません。しかし、政治の中心である王都に行けば、さらに学べることが多くあると思ったからです。」
「.....そうか。まぁ、お前ももう15だからな。私たちがとやかく言うもんでもないだろう。」
「ええ、私も異論はありません。アインならきっと向こうでも学びを深め、もっと立派になって帰ってくるでしょう。」
母さんはともかく父さんもあっさり認めたな。
ランブル騎士学園。王都に存在する学園であり、騎士
学園となってはいるが、魔法、それにアインの目的で
ある、政治についても大いに学びを得られる場所らし
い。
ちなみになぜ15歳だから許されたのかと言うと、
この国では15歳が成人の歳となっているためだ。
つまり、もう一人前の大人なんだから自分で考えて行
動する義務があるということだ。あと、今のように、
他人からの過干渉も少なくなるみたいだ。
「ねぇねぇ姉ちゃん、アイン兄ちゃんどっか行くの?」
俺の服の裾を引っ張りかわいく聞いてきた小さな少年。
弟のリーン・ヴォルフフォード。
「お兄ちゃん...いなくなるの...寂しい。」
抑揚がない言葉を発する大人しそうな少女。
妹のシエル・ヴォルフフォードだ。
2人とも母さんの遺伝子が強かったのか金髪紅眼の子
である。
「大丈夫。アインお兄様はお勉強しに行くだけよ。すぐに帰ってくるわ。」
寂しがる弟たちにやさしく声をかけてやる。
「予定は決まっているのか?」
「ええ、1週間後に馬車の手配をしています。」
「そうか......。わかった。頑張って来るんだぞ?」
「はい。ありがとうございます、父上。」
どうやら話は終わったらしい。
本当にあっさりだったな。こういうのもう少し拗れる
もんじゃないんだな。それにしても、王都、学園か...
俺も行ってみようかな。
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1週間はあっという間に過ぎた。
朝から送り出しの準備で騒がしい。
アインが乗る馬車にせっせと荷物が積み込まれてい
く。
家族とメイド長カリーナ等の使用人は別れの挨拶を行
っていた。
「行ってらっしゃい。お兄様。」
「ああ、行ってくるよ。シーナも2年後に来てみるといい。」
「はい。そのつもりです。」
終始笑顔でいる集まりの中に真顔の男が1人。
「兄貴。」
「ラーマン。」
「俺も行くからな。次会うとき手合わせしてやる。もう勝たせねぇからな。」
「楽しみにしてるよ。」
「......フンッ」
くるりと背を向けラーマンは立ち去って行った。
俺とアインは2人で素直じゃないなと微笑み合う。
「では、行ってきます。」
「「行ってらっしゃい。」」
屋敷の皆に見送られて馬車は出発して行った。
「....ぐすっぐすっ....」
一番に泣き出したのは父さんである。
「もう、お父様しっかりして下さい。お兄様がいない分は私が補いますから。」
「ああ...、すまない。シーナ、お前は強いなぁ。寂しくないのか?」
「もちろん寂しいですよ。でも、お兄様の新たな門出ですもの。笑って見送りたいじゃないですか。...それに、......泣いたら最後までお兄様を見れませんから。」
本心から寂しいとは思う。泣こうと思えば泣ける。
でも、俺もアイン兄さんもそれは望んでない。
それに、少なくとも2年後にまた会う。
その時までにもっと強くなっておかなきゃいけない。
強くなって、また、優しい兄に褒めて貰う。
それが出来る日まで邁進あるのみ。
......俺もブラコンうつったかな?
中身おっさんでブラコンでもいいじゃない。
妹だもの。