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28 そのために

2章28話です!

よろしくお願いします!

セルカのたわごとを軽く聞き流し、

もう一度闇魔法使いの男に特攻する。

何故かやつには先程までの余裕がなくなっている。


炎を纏わせた俺の剣は奴の闇魔法によって受け止められる。

大きな手を形作ったような黒いオーラの先にある奴の目を睨みつける。


「もしかして魔力が切れかけていませんか?先程までと顔つきが随分違うようですが。」


「ちぃっ...!」


黒いオーラを振り、俺と距離を離すとまたも後退しようとするも...


バリバリッと後方で聞こえる音に反応し動きを止める。そこにはセルカが雷魔法を発動し、臨戦態勢で待ち構えていた。


「くっ...このカスどもが...!」


「口悪いわね。あんたがお姉様に手を出すのがいけなかったのよ。」


セルカは前方に一直線にのびる雷を放つ。

男はそれを右にかわすが、それを見た俺が男に切りかかる。

しかしそれも紙一重でかわされる。

逃げる隙を作ってしまうため本気は出せない。

土煙がたとうもんなら奴は一瞬で俺たちの視界から消え去るだろう。


それでも、割としっかり手を抜かずに攻め立てているというのにだ。

まだ攻撃を入れられていない。


「本当に逃げるのが上手いお人ですわね。」


「こんなとこで終わる訳にはいかないんでね。」


静かにセルカと目配せし、もう一度攻める。

今度は2人同時に。セルカは横に、俺は縦に剣を振る。


体勢を低くしセルカの剣を避け、闇魔法をセルカに放つ。


俺は攻撃の手を変えざるをえなくなり、

ちょうど闇魔法に向かって伸びている剣先から炎を放ってかき消す。


攻撃として放つのはなれていないのか、それとも魔力切れで出せないのか抑えているのか。

俺の炎魔法で簡単に打ち消せた。


「セルカ!!」


「了解!!」


予め溜めておいた雷魔法を三度男に向かって放つ。

とっさに闇魔法を盾状に展開するも薄い膜では防ぎきれず、ついに奴が被弾する。


「ぐぅ!!」


うめき声をあげ、その場にふせる男。


「今なら!!」


「馬鹿!よしなさい!!」


好機と見たセルカが剣で切りかかる。

だが、俺の方からは奴の顔が少し見えた。

まだ思考を巡らせ、ここから逃げる算段をねっている。

つまりまだやれることがある。


俺の予感は的中し、奴は背中から10本程の闇の棘を出現させる。


セルカを守るために動いていた俺はギリギリセルカを抱え、棘を避ける。


奴は震える指先で小さな棘を飛ばし、セルカの足に当てた。


「痛っ!」


小さくても魔法は魔法。

セルカの足の甲から裏まで貫通し、動けなくされる。


「...ハァ...ハァ...、今ので、本当に魔力切れだよ...でも、これでおっては来れないね。」


「私はうごけますが?あなたが魔力切れだと言うのなら今この場に脅威は無い。セルカを置いて私だけでも...」


「果たして本当に脅威は無いのかな?」


「......」


正直それは分からないな。

奴は1人でこの場にいるものだと思っているが、

まだ“あのお方”なる存在がどんなやつなのか、どれ程の実力なのか定かじゃない。


もちろんブラフの可能性もある。

だが、1パーセントでもまだなにか脅威があるのなら...


「...チッ...」


「懸命だね。じゃあまた。今度はちゃんととらえてみせるよ。」


「その言葉、そのままお返しします。」


奴は俺たちに視線を向けたまま森の中に消えていった。


「ふぅ、大丈夫ですか?」


「ん、何とか...。それより、良かったの?あいつ逃がして。」


「まぁ、あれくらいであれば、備えていれば対処はできますし。それに、今はあなたを守ることが優先ですから。」


「はうぅ...!」


「?」


急に妙な声を出し頬を赤らめているセルカ。

なんだこいつ気味悪い。


「でも、あいつ今度はどんなことやらかしてくれるのかしら。また来るって言ってたし。」


「何やらかそうが、全て対処します。」


「できるの?」


「それが騎士の努め。そのために私はここにいるんです。」


「一生着いていきます...!お姉様...!」


目も輝き出したセルカ。

というか...


「先程から気になっていたのですが、なんです?その...お姉様というのは。」


「私は自分の愚かさと、あなたの志す目標の尊さに気がついたのです!あなたは私の目標となった!あなたの目指すものは私の目指すもの!故にあなたはお姉様なのです!」


「ちょっと何言ってる分からないですね。」


まぁ、仲悪いよりは...良いか。

その後、セルカが俺にやらかしてくれたことに対しても謝罪を貰ったし、十分に反省してくれたのならそれでいい。


「とりあえず、闘技場に戻りましょう。みんなの安否も気になります。」


「はい。」


「別に敬語を使わなくてもいいのですよ?」


「そんなっ...恐れおおい...!」


さっきと真反対の態度だ。

これはこれでなんというかこう...胸の辺りがゾワゾワする。

慣れてないだけなんだろうけど。


俺は右足を負傷したセルカを支え、ともに闘技場へ向かいつつ、新しくできた友人と少し話すのだった。

読んで頂きありがとうございます!

多分あと1話で2章終わりかな?!

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