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27 必死のダンスパーティ

2章27話です!

よろしくお願いします!

操り人形を倒した俺とセルカはひたすらに森を駆けていた。


今なんか闘技場の方でデカいものが浮いていた気がする。


「ねぇ、ほんとにこの森にさっきのを操ってたやつがいるの?!」


「分からないって言いませんでした?!いたらラッキーくらいの気持ちで探してるだけです!」


実際手がかりはない。この世界では漫画のように魔力の痕が残るとかそんなものが無いのだ。

こういう時、しらみ潰しにやる以外方法がないのは不便なところだな。


道無き道にも足を踏み入れ、辺りを見回す。


「あ、あれ見て!」


走っているとセルカが前方の人影に気づく。

俺はそれを確認すると剣に炎を纏わせ一気に加速し奇襲を仕掛ける。

首と手足を切り落とし、そのまま炎で焼き殺す。


「...またハズレか。」


「こいつも操られてた?」


「そのようです。」


最初の一体含めこれで4体目。

一体どれほどいるのか。魔力量や魔力制御技術も計り知れない。かなり魔法について詳しい者らしいな。


「とにかく、次に向かいましょう。行きますよ。」


「う、うん...」


再びセルカと共に歩き出そうとし、振り返る。

するとそこには黒き外套をまとった人影。


「また?」


「......いえ、先程までとは比べ物にならないほどの魔力の密度。おそらく...」


「随分抵抗するねぇ。」


喋った。死体じゃない。ということはやはり...


「まさかそちらから顔を見せるとは思いませんでしたわ。人形師さん。」


「出る気はなかったけどね。少し楽になったから。」


飄々とした雰囲気でありながらどこか暗さを含んだ、聞いたことがある気がする声。

男は仰々しく腕を広げ、語り出す。


「僕はね、あのお方に忠誠を誓った忠実な下僕なんだ。世界を支配するにふさわしいお方だよ。だがまだ力が完全じゃない。あのお方が力を取り戻すには君がいるんだ、シーナ・ヴォルフフォード。」


「私が必要?なぜ?」


「それは言えない。そういう命令なんだ。とにかく、君を生きてあのお方の下に連れて行けば、僕は新世界で良い位を与えられる。そのために動いているんだ。」


━━━━━━━━━━━━━━━


セルカには目の前の男が何を言っているのかさっぱりだ。完全にキまった目で“あのお方“とやらについて語るその姿は立派な狂信者のようである。


目の前の男やあのお方についても気になるが、

1番気になるのは、シーナ・ヴォルフフォード。

性格はともかく、実力は確かと言える男が崇拝する人間が求める女。彼女に一体何があるというのか。


その理由はシーナでさえも理解はしていないようだ。

ひとしきり語った男は真っ直ぐこちらを見て問いかける。


「そういうわけだから、大人しく連れていかれてくれないかな?抵抗されるのは面倒だから。」


「お断りしますわ。嫌な予感しかしませんもの。」


「...そうか。なら、少し痛い目を見てもらうよ。」


男は黒い魔力を解放し、辺りにばらまく。

すると周囲から何体もの骸人形が現れる。


「こ、こんな数...?!」


「......チッ、想像以上ですね。」


「ハハハッ!どうだい、驚いただろう?これがあのお方から授かった力だっ!!!」


10や20を超えている骸の数。

いっせいに襲いかかってきたそれらを見回すシーナ。

そして数の少ない箇所に駆け出し、向かってくる死体をなぎ倒し進む。


「着いてきなさい!!」


ハッとして、セルカも続く。

目の前の光景は考えたこともないような地獄の光景だ。対処が難しく、数が減っている気がしない。

そして、何より....


「こんな数の死体...どうやって...」


シーナも同じ疑問を抱いている。

口に出したその疑問が聞こえてか、闇魔法使いの男がまた饒舌に語り出した。


「人形の出どころが気になるかい?いいだろう、教えてあげよう。そいつらはね...僕が集めたんだよ。今日この日、この時のためにね!!!」


絶句。

セルカにはやはりこの男が何を言っているのか理解ができない。

シーナの方をチラリと見ると、

彼女はあの時自分に向けた時以上の殺意のこもった目で男を睨みつけていた。


「怖いねぇ。まるで東洋の国の怪物みたいだ。」


「てめぇ...」


「さぁ、楽しいパーティの始まりだ!派手に踊ってくれよ?」


死体たちが再び2人に向かって襲い来る。

セルカは死を覚悟し目を閉じた。

暗い視界の外でドサドサッと何かが落ちる音が聞こえる。恐る恐る目を開き音の正体を確認する。


死体の首と目があった。


「ひぁあぁぁぁぁああぁ!!!」


変な声を出して後ずさり咄嗟に雷魔法を使って首を焼く。ふとシーナの姿を確認しようと思いいたり前方に目をやるとバラバラになった数体の死体の中心に返り血を浴びたシーナ、いや、バケモノが立っていた。


「ダンスパーティ、いいでしょう。リードして差し上げますから、遅れないでくださいね。」


ニタリと笑い前方の死体を切り刻みながら進むシーナ。狙うは1点、術者の首のみ。

セルカも駆け出し、シーナの横、後ろから来る骸を雷魔法で焼く。一瞬の怯みの後炎で動きが止まる。


その間も2人は男のもとへ走る。

そして骸の群れを抜け、男にせまる。


「セルカ!あなたは後ろから!」


「了解よ!」


地面を蹴り、男の背後に周りこむ。

男の視線はシーナを捉えている。

そして口元は面白いとでもいいたげな笑みを浮かべていた。


「本当にいいのかい?彼女が後ろで。」


突如男の後ろから小柄な女性の骸がセルカに牙をむく。男に一直線で走っていたシーナは瞬時に向きを変えセルカに向かう。


無理な体勢で方向を変えた。

今剣を振っても軸がぶれている。切れない。

シーナはセルカを抱え自身を盾にする。

ギリギリ致命傷は避けた。

だが、シーナは左肩を切り裂かれ、血が滲み出ていた。


「あ、あんた...なんで...?」


ただ困惑するしかないセルカの疑問に立ち上がり答える。


「言ったでしょう。別に死んで欲しいわけじゃない。あと、今この瞬間では、唯一のクラスメイトですもの。何よりも優先して守るのが、騎士のつとめだと、私は思います。」


同じ年齢なのに。

同じ女性なのに。


少女にはその背中が何よりも大きく、何よりも輝いて見えた。


「シーナ...お姉様...」


「今なんて言いました?」

読んで頂きありがとうございます!

決着を考えてません!どうやって2章終わらせようか?!

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