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26 共闘

2章26話です!

よろしくお願いします!

闘技場の壁を破壊した黒いモヤがかかった巨大な竜はアイン、ラーマンのいる中心まで真っ直ぐに向かってきていた。


「狙いはもしかして僕達かな。」


「らしいな。」


「ふむ。ラーマン、倉庫から刃付きの剣を取ってきてくれるかい?その間は僕がアレの相手をしておく。」


「......わかったよ...下手こいて食われんじゃねぇぞ。」


闘技場の選手出入口に向かうラーマン。

それを見たワイバーンはさらに勢いをまし向かってくる。


「悪いけど、君をここから出す気はないよ。」


煌々と燃える火球の雨。

いくつも打ち出されたそれが竜に直撃する。

しかしそれでもお構い無しに突進してくる。


だがギリギリまで打ち込んだおかげか

突進の速度、威力は抑えられているらしく、壁にヒビを入れる程度で収まった。


「......」


火球を受けたワイバーンの顔を見たアインはひとつの可能性を見出していた。


「考えるのは後だな。」


どちらにせよラーマンが帰ってこなければ倒すのは難しいと考えるアインはどうやって目の前の人形を足止めしようかと頭を回す。


刃無しの剣ではやれることはない。

あっても1人では切る事は難しい。

どれだけかかるか分からない以上、あまり魔力も使いたくはない。


「どうしたものだろうね...」


「アイン先輩!!」


考え事をしていると観客席から1人の男子生徒が降りて来た。


「君は...確か、シーナの友達の...」


「カノン・セルニダスです。客席の皆さんの避難も終わりました。僕も加勢します!」


「アレは普通のワイバーンとは違う。攻撃しても怯むことは多分ないだろう。本当に大丈夫かい?」


「はい。多分僕とあの竜は、相性がいい。」


「...もしかして、君は...」


話しているとドシンと聞こえた。

音を出した竜の方を見ると、今ようやくこちらに向かう準備が整ったらしい。


「話は後だね。君が本当にあの竜の弱点だと言うなら、期待させてもらうよ。」


「はい!!」


カノンに指示を出しつつ考えるアイン。

火球が当たった竜の顔を思い出していた。


当たった直後に見えた顔は黒いモヤが晴れ、中があらわになっていた。ところどころ肉が腐り、骨が見える、死体を思わせる様相。


いや、カノンがアレの弱点と言うのであれば、まず間違いなく死体なのだろう。


ならば、倒すことは考えない。

全力で無力化することだけを考える。


向かってくる竜を見据え、カノンに指示を飛ばす。


「今だ!」


「はい!」


指示を聞いたカノンは魔力を解放し、魔法を発動する。

キラキラと光り輝き、眩しくもある。

光るそれを使い、光球を2つほど生成し、打ち出す。


ひとつは顔に、もうひとつは足に使用する。

顔に当たった光球ははじけ、火球が当たった時よりも大きくモヤを剥がしている。

もうひとつが当たった足もモヤがはれ、

その部分だけ動きが鈍くなり、バランスを崩し、転倒する。


「うん、確定だね。」


アインは自分の予測が当たっていることを確認し、微笑む。


「カノン!こっちに!」


カノンを呼び、これからの作戦を伝える。


「分かったかい?」


「はい!」


「よし。さて、あとはラーマンが来るのを待つだけなんだけど...」


「おぉい!!」


「来たね。」


ワイバーンの背後から声が聞こえる。

ワイバーンの右を通り、スライディングで2人の元へ到着。


「あン?誰だこいつ。」


「ラーマンも会ってるはずだけどね。シーナのお友達だよ。」


「シーナの?足でまといになんねぇだろうな?」


「大丈夫だよ。あの竜を無力化するには彼の力があった方がずっと楽になる。」


「ならいいけどよ。」


ラーマンの了承を得て、3人の共闘が決まった。

アインはラーマンにも作戦を説明し、行動を開始する。


「さぁ、行くよッ!!!」


まず、アインがワイバーンに駆け出す。

竜はアインを追い、体を動かす。


そこに反対側へ移動したカノンが魔法を打ち込む。

まず打ち込むのは翼。見事翼の根元に命中。

モヤが剥がれ、防御が無くなる。


そこに炎を剣に纏わせたラーマンが突撃。

一閃。

左の翼を切り落とす。


「よっしゃ!」


「やった!」


「......」


これを繰り返す。それが作戦。

あの竜自体はただの死体。それを闇魔法で操って動かされている。


カノンは光魔法使い。

闇魔法の効果を打ち消す効果がある。

闇魔法は物理ダメージが通りづらくなる。


それを光魔法で剥がしてラーマンの剣で断つ。

火属性魔法を剣に纏わせることで、同時に燃やす。


アインは竜の注意を引く。


この作戦はスピードが命。

操っている人間がいる以上、竜にダメージを与えても意味が無い。1回目でこちらの意図に気付かれる可能性が高い。


「速攻!!!」


「「了解!!!」」


もう片方の翼を続けて切り落とし、飛行能力を奪う。

操っているとは言っても全て自由にできる訳ではない。翼がなければ飛行はできない。


「次だ...」


右前脚、左前脚、右後脚、左後脚。

ものの数十秒で切り落とし、燃やす。


「これで...」


身動きは取れないはず...3人が安心した直後。

ツチノコのような形になったワイバーンを包んでいたモヤが強くなる。


空中にいたアインに向かって一直線に飛ばされてきた。


「何っ?!」


「兄貴!!」


「先輩!!」


身動きの取れないアインに迫るワイバーン。

当たればタダではすまない。

アインは覚悟を決め魔力を最大限高める。

最大火力の火球をうち、少しでも勢いを落とすため。


だが、打ち込もうとした直前、目の前に巨大な分厚い氷の壁が出現する。

氷の壁にぶち当たったワイバーンはそこで止まる

そこにカノンが光属性魔法を放ち、力を失ったワイバーンは地に堕ちた。


「大丈夫ですか?皆さん。」


闘技場に降り立った女子生徒。アリアである。


「さっきの氷魔法は君かい?助かったよ。」


「いえ、友人の親族を死なせたくはありませんから。」


「これで一応無力化には成功したか?」


「ああ、光魔法をあれだけ浴びたんだ。闇魔法の効果はしばらく付与できないはずだ。あとは...」


「今の闇魔法を扱っていた術者を見つける...ですね。」


「そうだ。でも...」


「先輩、何か気になることでも?」


「闇魔法は魔族にしか扱えないはずなんだよ。」


「魔族?」


「ああ、考えたくはないけど...今日ここに来ていた人達の中に、魔族、あるいは内通者がいる。」


以前ヴォルフフォード領でおきた戦争。

その規模ではない争いが起きるかもしれない...

言いようもない不安がアインの中に渦巻いていた。




読んで頂きありがとうございます!

あと2、3話で終わるかな?!

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