24 レクレーションにしては過激
2章24話です!
よろしくお願いします!
ランブル騎士学園総合大会の全てが終わり、
現在閉会式及び上位入賞者への賞状、メダル授与式に向けて会場全体は先程に比べゆったりとした雰囲気である。
そんな中の闘技場に2人の男が出てきた。
「あれは...アイン兄さんとラーマン兄さん?」
「本当だね。どうしたんだろう?」
2人の後に闘技場に入った審判の人が声を張り上げる。
「これより、エキシビションマッチを行いたいと思います!!!」
ザワザワと一気に活気づく会場。
教師陣を見ると驚いた様子なし。
学校側からのサプライズってわけかな?
生徒たちは知らなかった様子。
唯一知っていたのは会場で向かい合っている2人だけか。
ある程度理解した俺は両手に魔力を込め解放する。
カノンとアリアも席に座り直し、闘技場の2人に目をやる。
「なるほど、あのお2人のエキシビションマッチ。さぞ注目を集めるでしょうね。ここに入学を決める方も多くなることも期待できそうです。」
やけに経営側をチクチク刺す理解の仕方をするアリア。まぁそんなことはいい。
今はこれから始まる戦いに向けてアップをしている2人に目を向けるべきだろう。
「......それで、シーナ。あなたは一体何をしているのかしら?」
何故かアホを見るように目を細めているアリア。
何がそんなに不思議なんだ?
ただ火属性魔法でボンボン(仮)を作って兄2人の応援に備えているだけだろうに。
「なぜそんな目で見るのかという顔をしているわね。この人が集まる場で両手の火を振り回すつもり?あと私が恥ずかしいからやめてね。」
「なんてことを言うの!兄さんたちの本気の戦いが見れるチャンスなのよ?!それにせっかくの家族の晴れ舞台なのだから、全力で応援するのは当然でしょう!大丈夫よ、人には当たらないようにするわ!!」
両腕を高くあげて振る。
そしてぴょんぴょんとはねて兄たちに応援が届くように全力で声を出す。
アリアだけではなく周りの人たちからも白い目を向けられてる気がする。
ふと見えたカノンははしゃぐ子供を見る親のように微笑んでいた。
カノンが何も思っていないならヨシッ!
俺は応援を続けることにした。
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「そろそろだね。」
「ええ。あの者たちを捉えれば、器の中にあるあなた様の力も奪いやすくなるでしょう。」
薄暗い一室にて、まだ若い男ふたりが話している。
片方がへりくだっている男はフード付きのマントを羽織り、顔を確認できない。
「期待はしないけど、頑張るといい。上手くいけば君の望むものを与えてあげよう。」
「はっ、必ずあなた様の下へ器を持って参ります。」
跪いていた男が立ち、部屋を後にする。
多くの人々が賑わうこの大会の裏で、何かが動き出そうとしている。
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観客席からキャーオニイサマガンバッテーと熱い声援が聞こえてくる。愛する妹からの応援に兄ふたりのやる気は限界突破しようとしていた。
「シーナにああ言われたら頑張るしかないね。」
「ハッ、馬鹿言ってんじゃねぇよ。アレは俺に向けられた声だ。」
だんだんとヒートアップする会場と対照的に2人の間の空気は静かに燃える。
そして、全員のテンションが最高潮に高まった時、
審判が腕を天高く掲げる。
「アイン・ヴォルフフォード対ラーマン・ヴォルフフォード、エキシビションマッチ...試合開始ッ!!!」
手が振り下ろされると同時にラーマンが切りかかる。
決勝とは比べ物にならないスピードでアインに迫り、
風圧が観客席最後尾まで届くほどのパワーで振られた一振。
しかしアインはそれを軽くいなし、最小限の動きでラーマンの右手首を狙う。
ラーマンは数センチまで迫った剣を左手でつかみ、
逆手に持ち直した剣を再度アインに振るう。
寸前で首を傾け躱したアインは自身の剣を掴むラーマンの左手を足で蹴り、手を離させ、一旦距離をとる。
だがまたすぐに地面を蹴り、ラーマンに接近する。
初手のラーマン以上のスピード。
ラーマンは咄嗟に膝蹴りを繰り出す。
アインは右手でラーマンの足を弾き、強引に自分の進路を左に変え、剣を突き立てそれを軸に回し蹴りを放つ。
ラーマンは体を逸らすが顎を掠めた。
「チッ...!」
タダでは食らうまいと体を逸らした反動で放った蹴り上げはアインの頬をかすめる。
「ッ...」
そこから激しい斬り合いになった。
シーナが王都に来た直後に戦った時よりもさらに早い剣の交差。
それは1秒に30を超える速度になる。
たった数秒でも互いの集中力をものすごい勢いで削いでいく。
ガギィンッと剣を打ち合い鍔迫り合いになる。
「ふぅ、腕を上げたじゃないかラーマン...!僕にここまで着いてくるとはね!」
「ほざけバカ兄貴!すぐに追い越して見せらァ!!!」
アインを弾き飛ばし、すぐさま追う。
弾き飛ばされたアインも着地と同時にラーマンに向かう。
互いの剣がぶつかりあおうとしたその時だった。
ドッゴオォォォン!!!と客席の後ろの壁を破壊し巨大な黒い何かが会場に飛来した。
「あれはッ?!」
アインはそれに見覚えがあった。
立派に生え揃った一対の角、全身にびっしりと生えた鱗に覆われた巨体、そしてその巨体よりもさらに大きな翼。世界に存在は確認されども、実際に見たことのある人間は少ないだろう、空の支配者。
「竜ッ!」
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「これもサプライズなのかなッ?!」
「そんなわけないでしょっ!!」
カノンのマジかボケか分からない言葉にツッコミつつ急に現れた巨大生物を見やる。
ワイバーン...本で存在は知っていたが、実際に見る機会があるとは思わなかった。
しかしなんだ?何か違和感がある。
本に乗っていた情報と違う何かがこいつにはある。
「酷い臭いですね。腐った生ゴミのような腐敗臭と似ている気がします。」
隣でつぶやくアリアの言葉で頭の中で疑問が解けた俺は学園内の森へ向けて走り出す。
さぁて、この怒り、どうぶつけてくれようか。、
読んで頂きありがとうございます!
ようやく2章もくらいまっくすです多分!