21 動く野望、目的
21話です!
よろしくお願いします!
魔法部門は順当に3年の学年トップが優勝となった。
そしてまた休憩時間である。
俺、カノン、アリアは魔法部門を終えて、色々語り合っていた。
「どの選手もかなり良かったわ。私は見せ方とかはそこまで得意じゃないから、みんな尊敬しちゃう。」
「うん、僕もだ。僕は正直魔法が得意じゃないから。」
「ええ、皆さんそれぞれ違った魅せ方で素晴らしかったわね。」
「そうだろうそうだろう。やはり僕の才は世界一と言える!まぁ今回は何かの手違いで優勝は逃してしまったが、それがわかっているとは君たちはやはり見る目があるねぇ!!」
...なんでいるんだこの人。
自分の番が終わるなりここに来てしょぼくれていたが、魔法部門の全試合が終わると一気に元気を取り戻し饒舌に語り出している。
「ま、まぁあなたが魔法の才能に優れているのは伝わりましたけど...」
「さすがはシーナ嬢。やはり君は僕の運命の人。さぁ!存分に僕に求婚してくれたまえ!!」
「帰ってくださる?」
1人の魔法使いとして尊敬はできるが、この人間性はなんというか、うん...。
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『次で最後の種目となりました。これより、学園総合大会、剣術部門の試合を始めたいと思います。』
歓声が響く。
この大会のメインである剣術部門の人気ぶりは凄まじいものだ。
「さてと、じゃあ行ってくるわ。」
「頑張ってね、シーナ。」
「ちゃんと見ておくわ。」
「僕も応援させて貰うよ。これで優勝間違いなしだ!」
3人から激をもらい選手控え室へ向かう。
悪いねユリウス。俺の目的は優勝じゃないんだわ。
控え室に到着。
扉を開き、中に入るとそれなりに集まっている。
参加者は29名。
試合回数は28回。1名シード。
この場にいるのは13名程か。
俺の目的はまだ来ていないらしい。
とりあえず用意されていた椅子に座り、自分の番を待つ。俺は7回戦目だ。控え室には大きめの窓?穴?が空いており、そこから他の選手の試合を見ることができる。
現在第1回戦目、3年男子の先輩と2年男子の先輩が戦っている。
戦いの年季は当然3年の先輩が上だろう。
だが2年の先輩はそれを持ち前の体格でカバーしているようだな。
その巨躯から放たれる連撃に3年の先輩は少し攻めあぐねている。
だが、その大振りでは体力は長く持つまい。
いずれ2年の先輩が敗れ去るだろう。
俺は試合から目を外し、腕と脚を組んで少し目をつぶる。
待っていろ、1号、5号。
お前たちの仇は必ず打ってやるからな。
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私は始まってしまった大会に
なんで始まってしまったのかと軽い怒りと緊張を覚え、選手控え室に向かって歩いていた。
あの日、あの女の地雷を踏んでしまったのだろう私は直接その場で決闘の申し込みをされた。
自分が負けるとは考えていない。
だが、正直勝てるようにも思えない。
あの日あの女から向けられたあの目を見た時から、
言いようもない感情が胸中に渦巻いている。
控え室に着き、1度深呼吸をしてから扉を開ける。
もうほとんどの出場者が集まっているようだ。
そしてその中に見つける。
腕と脚を組み瞑想にでも浸っていそうなその姿は先輩方と比べても見劣りしない強者の風格を持っている。
私に気がついたのか目を開きこちらを一瞥するも、またすぐに目を閉じる。
完全に下に見られている気がする。
馬鹿にして。
失われつつあった戦意が沸騰したお湯のように私の中でグツグツと煮えたぎり始める。
そうだ、勝てばいい。
そうすれば一生この女を顎で使えるんだ。
私は覚悟を決め、控え室に入り、時を待つことにした。
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「シーナ・ヴォルフフォードさん、マリカ・シルベスタさん、次が試合ですので、それぞれの控えに向かってください。」
ようやく回ってきたか。とっとと終わらせて次に備えるとしよう。
俺は立ち上がると東側の控え室に歩き出す。
そうだ、ここでつまずく訳にはいかない。
俺は必ず、あの女に勝利する。
移動が終わるとちょうど前の試合も終わったらしい。
観客席からの歓声が聞こえてきた。
やがて闘技場への出入口から肩を落とした女子生徒が現れる。
......さて、気持ちを切り替えてさっさと行くか。
俺は闘技場に向かって歩を進め出す。
「名前を呼ばれてからでお願いします。」
......はーい。
少し待つと名前を呼ばれたので今度こそ闘技場へ。
客席から見るよりも幾分広く感じる。
反対側から対戦相手のマリカ先輩が歩いてくる。
2年女子の中でもそれなりの実力者らしい。
やつに見せつけるにはなかなか良い相手だろう。
10メートル程離れた位置で互いに止まる。
審判がその間くらいの位置に立ち、説明を始めた。
「使える武器は学校側から支給されたその刃無しの剣のみとします。相手に直接攻撃をするのは結構ですが、危険と判断すれば、その場で終了、立っている方を勝者と判断します。よろしいですね。」
「「はい」」
「...それでは、両者構えて!」
俺とマリカ先輩は互いに剣を構える。
俺は片手剣を左手で中段に。
マリカ先輩は長剣を下段に。
ふたりが構えたのを確認した審判より、開始の合図が下される。
「始めっ!!」
俺とマリカ先輩は同時に飛び出す。
「やあぁぁぁぁっ!!!」
気合いの入った声で剣を薙ぐマリカ先輩。
それをギリギリで避け、がら空きの腹目掛けて俺も剣を横薙ぎに振る。
ドボッ!と鈍い音と共にクリーンヒットする俺の剣。
受けた先輩は前のめりにドサッと倒れ、動かない。
「マリカ・シルベスタさん?聞こえますか?」
既に意識を失っていることがわかっていた俺は出入口に向かって踵を返す。
「勝者、シーナ・ヴォルフフォード!!」
直後、先輩の状態を確かめた審判より俺の勝利が宣言され、観客席が沸いた。
さぁ、お前はどんな試合を見せてくれるのかな?
読んで頂きありがとうございます!仕事中だけど暇すぎて全然かけました!