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20 魅せるのは得意なんだ

2章20話です!

よろしくお願いします!

割と盛り上がった学術部門のクイズ大会が終わり、

現在休憩時間中。


俺はカノン、アリアさんと観客席で談笑していた。


「ほんと、思ったより盛り上がったね。」


「ええ、少し本気で考えてた自分もいるし。」


「私も本気出しちゃった。」


「初めてアリアさんを恐ろしいと感じたわ。決勝で手を抜くって何?優等生の域を超えすぎでしょ。」


「ほんとにね、僕も初めて友達が怖いと思ったよ。」


苦笑いのカノン。そして今も余裕の笑みを浮かべるアリアさん。彼女はフッと息をつき、不敵な笑みを俺に向ける。


「シーナ。」


「なに?」


「アリアでいいわ。」


「今?」


いや別に距離が縮まるのは嬉しくないわけじゃないけどね。

まぁいいや。


「次は魔法部門だったわね。」


「うん。さっきよりも長くなるだろうね。参加者も多いし、一人ずつの挑戦だから。」


「うちのクラスからは誰か出場者いたかしら。」


「えっと確か...」


「僕の噂話かい?レディたち。」


アリアが答えるよりも早く言葉を発した男。

俺の後ろに仁王立ちし、太陽の後光でやけに神々しく見える。

金の長髪をファサァとなびかせ、先程のアリア以上の不敵な笑みを浮かべるその男子生徒は俺のクラス、魔法科1年のクラスメイトである、


「ユリウス・エーバレルくん...、だったかしら。」


「戦乙女に名を知られていたとは光栄だね。そう!僕こそがユリウス!魔法科1年で魔法行使トップの成績を持つ、由緒正しいエーバレル家の長男にして、いずれこの国を支える魔法士となる男!!!」


熱く自分語りをするユリウス。

下手をするとアリアよりもサラサラなんじゃないかと思えるストレートの髪をたなびかせ、自分に酔いしれている。


「あー、そう。まぁ、なんというか...頑張ってくださいね...。」


「フッ...もちろんだとも、シーナ嬢。必ずや君のその炎のように輝く眼に、僕の華々しい勝利の瞬間を映して見せよう!!!」


ハッハッハッと高笑いを決め込みながら俺たちに背を向け去っていった。


「負けそう。」


「ちょ、シーナ...!失礼だよ..!?」


「そうですよ、シーナ。口に出しては相手を傷つけてしまう。思っても言葉にはしないことです。」


「やっぱりあなた性格悪いでしょ?」


「なんの事だか。」


姿が見えないのにまだ聞こえる笑い声を耳に、もうすぐ魔法部門の戦いが始まるであろう闘技場に視線を下ろす。どんなものを見せてくれるやら。


━━━━━━━━━━━━━━━


学園総合大会、魔法部門が開始してから少し経った。

簡潔に感想を述べるなら、良かった。(小並感)


ハッキリ言ってレベルが高い。

どの挑戦者も魔法行使の早さ、威力は平均よりも高いと言える。しかし本当に見るべきはここではないということは見ていれば誰でもわかる。


フリーパフォーマンスタイムに入った途端全員顔つきが変わる。

そして皆それぞれ違うパフォーマンスを見せてくれた。

よくそんなに違う動きが出せるものだと感心する。


例えば火属性魔法。

地中から炎の柱をいくつも立ちのぼらせ、自身の周りを踊らせる。大きさがバラバラであることで逆に目を引く美しさを引き出している。


氷属性魔法。

今にもヒビが入りそうなほど薄い氷の膜を空に作り、そこに小さな氷の粒をぶつけてやる。

膜は粉々に弾け、キラキラと宝石のように舞台を輝かせていた。


同じ属性でもまた違ったパフォーマンスで観客を魅了し続けている。


「思ったよりもすごいわね。」


「それは同感だけれど。シーナ、あなたさっきからそればっかりよ?」


「そう思ったんだから仕方ないわ。」


昔から魔法も勉学も、近くに完璧に近いレベルでこなす天才がいたため、驚嘆とか魅入るなんてことはしないだろうと思っていた。

だが、これまで見てきたものは十分に魅入るに値するものだった。故に“思ったよりも”凄いと思ったんだ。


感慨に浸っていると、闘技場が何やら騒がしい。

目を向けるとまるで自分が今日の主役であると言わんばかりに堂々と中心に向かっている男が一人。


「ハッハッハッ!みんな、今日は僕の活躍を見に集まってくれてありがとおぉぉぉう!!」


ほんとによくあんなふうに振る舞えるよな。

どんな生活送ってればあんな堂々とした振る舞いができるのか。食い物か?それとも育てられ方か?


「さぁ、見せてあげよう!僕の魔法を!!」


魔力を放出し、的に向けて短い杖を取り出し構えるユリウス。

わざわざ杖?なんでまた。


「その方が見栄えがいいと思ったからさ!」


なぜ俺の考えていることがわかった。

てかこの観客席の中から俺だけの考えを読むとか...

いやあいつ、見てる!こっちをミテル!!

見すぎだろ!視線そらさないんだけど気持ち悪!!


そんな状態でもユリウスは魔法を放ち、的を破壊する。

魔法行使の早さは今まで1番早い気がする。

威力も十分。一発で的を破壊した。


「これくらいで驚いて貰っては困るね。ここからが僕のショータイムさ!!」


扱う魔法は風魔法。全身から放出した魔力で風魔法を発動。巧みな魔力操作で彼の体は宙を舞う。


そしてステージなど飾りだと言わんばかりにそのまま軽やかなダンスをやり始めた。


たしかに凄い。これまでの選手の中でも1位2位を争うぐらいに魔力操作にたけている。

が、彼は1つ勘違いしている。

このフリータイムで見るのはあくまで魔法の見せ方。

これまで見てきた選手は魔法を主役としてパフォーマンスを繰り広げていた。


彼は違う。魔法は補助、自分が主役なのだと採点員、観客に激しく主張している。

これが魔力の操作や実践的な観点で採点する方式なら優勝だってありえただろう。

だが、悲しいかな。この大会の魔法部門は、

美しさを見る戦いなのだ。


その後、採点員から発表された彼の点数はそれなりには高かったものの対戦相手にギリ負けるという見事に残念な結果となった。

まぁでも彼への評価を改めた人間は結構多そうだな。


読んで頂きありがとうございます!

ユリウスくんはもうちょっと後で活躍させたいとか思ってたりします!

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