4 剣の道-1
4話です!もう終盤のお話考えてたりします!
お話の修正を行いました!
訓練3日目。
今日から新たにラーマンお兄ちゃんによる剣術訓練が
始まる。朝早くに無理やり起こされた俺はラーマンに渡された服に着替えて訓練所に来ていた。
しかしどうしたことだろう。ラーマンが一向に来る気
配がない。やることもないため魔法の練習をしながら
待っていると、若干怒り気味のラーマンが入ってき
た。
「おい、何やってんだ!正門前に来い!」
「え、剣術の指南では?」
「はぁ?お前みてぇなヒョロヒョロがまだ剣なんか扱えるわけねぇだろ。」
ゑ゛ゑ゛ゑ゛ゑ゛!?
「そ、そんな...」
ガクッと膝をつき落ち込む俺を尻目にため息をつきラ
ーマンが言う。
「さっさと来い。まずは体力、それと筋力をつける。剣術の練習はそれからだ。」
くそぅ、当然と言えば当然だが割と楽しみにしてたんだけどなぁ。まぁ、くよくよしてても仕方ない。体力と筋力がつけばいいのだ。そうすれば剣術訓練に入れる。
気持ちを入れ替え先を歩くラーマンについていく。
正門前に着いたらすぐにラーマンが説明を始めた。
「これから屋敷の周りをランニングだ。とりあえず今日は5kmな。」
「5kmですか...。」
この小さな女の子の体で5kmって普通にキツくね?
「5kmなんかで根をあげんじゃねぇぞ。慣れてきたら増やしてくからな。」
そういうとラーマンは早速ランニングを開始する。
俺も慌ててランニングをスタートさせた。
「あっ!ちょっと待ってください!」
40分後、何とか5km走りきった俺は膝をつきハァハァ
と息を整えていた。
いやホントにキツかった。根性だけで食らいついてた
わ。前世での経験がなかったら途中で諦めてたかも。
「よし、ちゃんと走りきったな。これ毎日やれよ。」
「えっ.....は、はい......。」
今更だがやっぱりアインに頼んでた方が良かったか
な。ランニングを終え、訓練所に戻ってきた俺は、ラーマンからの次の試練を待っていた。
「お兄様、次は何をするのですか?」
「ん?ああ、今日はもういいや。魔法の練習でもしてろ。」
「え?もう終わりですか?」
「あんまりやりすぎても体壊すだけだろ。5kmのランニングだけでも毎日やれば体力つくだろ。」
あんまり詳しくないけどやっぱりそういうもんなのか?
まぁ、今までやってきた奴が言うんだからそうなんだ
ろう。うん。
ひとまずこれで暇になったので魔法の練習を行うこと
にした。昨日何時間も練習したが結局出来ずに1日が終
わってしまった。今日こそは成功させたい。
と、意気込んでは見たがやっぱり成功しない。
なんでだ?何かが足りないのか?
できないことに若干のいらだちを覚えつつもう一度イ
メージする。
魔力を指先に集めるように。
......自分なりの考えを持った方がいいのだろうか。
あのク○会社でも、自分で考え、動かなければ上司に
文句を言われたものだ。
じゃあどうする。自分がつかみやすいイメージを考え
るか?
全体に散らばったものを1点に集めるなら、どうする?
考えに考え、1つ頭の中にとある景色が浮かんできた。
会社に入社して間もない頃、ロクなやり方も教えて貰
えず作成した資料を提出した際、ふざけているのか!
と怒鳴られそこら中にばら撒かれる資料。
平謝りを繰り返し、それを手を使い集めていった苦渋
を飲んだあの光景。
そうだ。いっぺんにやろうとするからダメなんじゃな
いのか?
集めたい場所の1番遠くから徐々に...。
何か掴めた気がする。目を閉じ集中してもう一度魔力
を指先に集める。そして、人差し指の先がじんわりと暖かくなったような気がして目を開ける。
...できた。
できた!?ぃよっしゃああああああ!!!
いや待て落ち着け。本番はこれからだ。
指先を訓練所の的に向け集まった魔力を見つめる。
1度アインに見せて貰っているんだ。できるはず。
アインのお手本を思い出し、もう一度強くイメージす
る。
すると、人差し指から2cm程離れた位置に小さな火の
玉がボッと現れる。
あとは火の玉の中に含まれた自分の魔力を動かして...
火の玉を訓練所の的に目掛けて...ッシュゥゥゥ!!
少し遅い弾速だったが、無事に火の玉は的に命中し
た。
でぎだぁ゛ぁ゛ぁ゛!!
初めて魔法を使えた感動ではしゃぐ俺。
近くで素振りしていたラーマンがそんな俺を引きなが
ら見つめていた。
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なるほど。あいつに魔法の才能があるのは本当らし
い。
はしゃぐ妹を見ながらラーマンは思う。
昨日の夜、アインがうるさいぐらいに言っていた。
「シーナは魔法の才能がある!!!」と。
確かにそうだと思った。自分やアインだって魔法を放つのに数日かかっている。対してあいつは訓練を初めて2日目だというではないか。
自分の妹への評価を少し見直さなければならないなと
考えつつ、目を輝かせてピョンピョン跳ねる妹に近づ
いていく。
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しばらく考え事をしていた様子のラーマンが近づいて
きた。
「おい。」
「はい。」
「:.....すげぇな、お前。」
「あ、ありがとうございます...!」
素直に賞賛して貰えた。てかキャラ的に強がり言うも
んかと思ってたんだが意外と素直な子なのね。
何故か今まで話すことが少なかったので知らなかった。
もっとしっかり家族について知っておかないとと反省
していたらラーマンがニヤリと笑った。
「妹の初魔法のご褒美に良いもん見せてやるよ。」
そういうと彼は持っていた鉄剣の柄をぐっと握りしめ
力を込めだした。すると、彼の持つ剣の刃を覆うようにオーラがまとわりついていく。
「っ!」
剣の刃にオーラ!?
俺が呆気にとられているうちに刃に炎が灯り、
あっという間に炎の剣の完成である。
「すごい...」
「だろ?結構ムズいんだぜこれ。」
まだ魔法を初めて使ったばかりの俺にはよく分からな
いな。大人しく解説を待とう。
「自分の体じゃないもの、それが燃えないように結構気ぃ使ってんだよ。やってる間はずっとな。」
「どうやって燃えないようにするのですか?」
「剣と炎の間に魔力の膜を作る。そこだけは魔法が発動しないように気を張ってるのさ。」
豪快な見た目の割に結構繊細な操作をしてるらしい。
「私にもできるでしょうか。」
「ま、今は無理だろうな。今初めて魔法使ったヤツがホイホイできるほど甘くねぇぞ。気長に練習するこったな。」
......なるほど。はぁ...早くできるようになりたいなぁ、アレ。
魔法に理屈とか求めちゃいけない。
考えるな。感じろ。