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14 変われない女(おとこ)-1

2章14話です!

よろしくお願いします!

入学してから早1週間。

俺、シーナ・ヴォルフフォードは非常に困っていた。


理由はそう、友人とか交友関係の話だ。


入学式の夜に行われたパーティでは、少なくとも悪印象は持たれていなかったハズ。


しかしどうしたことだろう。

今現在俺は、ヱ〇ァに乗れという言葉が非常に似合う佇まいで、教室に1人。


前で楽しげにおしゃべりしている4、5人程度のグループを羨ましいという視線で見つめていると、それに気づいた女の子がやべっと言いたげにふいと視線を逸らす。


今や1番落ち着く時間が授業中とかいう青春の終わりを告げる状態だ。


「さー、皆席についてー!授業を始めるよぉー!」


元気よく入ってきたメガネに少し長めの赤茶色の髪をした優男は、魔法、魔力専門の研究者にしてこの学園の魔法教師、サベラ先生である。


彼の授業は魔法、魔力の芯に迫る内容で、今までしれなかったことを多くとりあつかっている。


俺の好きな時間のひとつだ。


━━━━━━━━━━━━━━━


サベラ先生の授業があっという間に過ぎ去り、昼休み。

生徒は各々、持参した弁当を食したり、鍛錬に勤しんだり、この自由な時間を思い思いに使って午後の授業に備える。


俺は1人悲しく、学食に訪れていた。


周りは非常に楽しげな喧騒が広がっている。


別に悲しくは無い。なぜなら1度経験しているから。

慣れてる......慣れてる....グスン...。


注文の列に並び、番を待つ。

異世界でも学食を作るのはおばちゃんである。

もちろん日本ないし異世界でも作るのはおばちゃんとは限らないが、そういったイメージというのは

誰しも頭のどこかにあるものだ。


さて、自分の番が来たので、注文をする。

今日食べるのはロールパン2つにポトフ、そしてサラダ。ドレッシングとバター、ジャムもつける。


これで1000ゼニーかからないんだから安いものだろう。

ゼニーというのはこの世界の通過のことだ。

ありきたりだけど分かりやすくて大変よろしい。


お金を払って、出された料理を受け取り、空いている席に座る。そして1人黙々と食事をしていると、

隣にドカッと乱暴に座る男が。


「珍しいですわね。この時間はいつも鍛錬なされているのに。」


「ただの気まぐれだ。こういう日もある。」


隣に腰を下ろしたのはラーマン兄さんだった。

アイン兄さんも言っていたが、この時間はいつも学園の訓練所で鍛えていると聞いていたが。


それにしても...


「それだけですか?」


「あん?」


「昼食です。それですませて足りるんですか?」


ラーマン兄さんが片手に持っているシェイカー。

自宅からの持ち込み物である。

中に入っているのは、ミリア特製のスムージーだろう。

正確にはラーマン兄さんに入れろと言われたものをスムージー状にしてぶち込んだゲテモノである。


必要なものは入っていると頑なにこの生活を変えようとしないらしいが、俺たち家族の中でも一際動くラーマン兄さんがこれで満足するとも思えない。


そしてスムージー(死)を飲むラーマン兄さんの顔はおよそ食事をとっている顔では無い。


味わいたくないのか、一気に飲み干し、ダンっと机にシェイカーを打ち付ける。


「...大丈夫ですか?」


「...も、問題ねぇ...。」


青くなった顔はとても大丈夫とは語っているように見えないな。

少々呆れつつ俺はラーマン兄さんの前にポトフを差し出す。


「んだよ、コレは。」


「食べてください。少なくともさっきの汚物よりはマシな味ですよ。」


「要らん。バランスが崩れる。身体鍛えるには少しの妥協も許されん。」


「あんなもの飲んでバランス取れてるとか思ってらっしゃる兄さんに体の作り方とか語られたくありませんわ。」


「テメ...」


「それで効果が現れたのならいいですけど。それに、意を決してアレを一気に飲み干すことを食事とは言いませんよ。どうしても食べたくないと言うのでしたら、いいでしょう。今回は特別に私が食べさせてあげますよ。」


「!?」


一瞬驚いた兄さん。しかしすぐに顔を背ける。


「い、要らん。だいいち、妹に食わせてもらうとか恥ずかしいマネここでできるか。」


顔は見えんが、耳はエラい赤くなっている気がする。


「そうですか。残念ですね。今後どこへ行ってもこういう機会はないと思って下さい。」


「くっ...!」


バターとジャムをつけたパンを食べ、喋るのをやめる。


俺が食事に戻ったのを見ると兄さんは目の前に置かれたポトフを恐る恐る口に入れた。

一瞬固まり、すごい勢いで食べていく。


面倒な性格になったものだな、我が兄ながら。


「あら?シーナさんじゃない。」


突然女の子に話しかけられた。

声の方に振り向き、目を見開く。


話しかけて来たのは入学式の日、俺の心に日々を入れてくれた隣の席の人であった。


「あっ!えっと、こんにちは!お食事ですか?どうぞこちらに!」


勢いよくまくしたてさらに勢いよく向かいの席を指す。


「はァ?誰がアンタと食事なんてとるのよ?何勘違いしてるわけ?」


うっ...!?これまた強いボディブロー...!

なんでこの子にこんな嫌われてんの俺?


「そ、それはすみません、早とちりを...」


「いいのよ。そういうの面白いところを見に来ただけだから。安心して、ちゃんと笑いものにしてあげるわよ。」


ぐはっ...!?今度はナイフで刺されたような衝撃!

おいキミィ!俺だって無敵じゃないんだぞ?!


おじさんに罵声浴びせられるのとJKに浴びせられるのでは、その口撃力には天と地ほどのさがあるんだ!!


彼女の口撃に耐えていると、何やら隣からビキビキという音と不穏な気配。


まずい、ラーマン兄さんのヘイトゲージが決壊寸前だ。


何とか抑えないと。


「ラーマン兄さん、落ち着いて下さい。皆の目もありますし。あなたも、他に用がないなら...」


「そういえばアンタ、そのお兄さんといること多いわよね。」


「え、ええ...。」


「フッ、友達いないから、人気者のお兄さんについて回って自分をアピールしてるわけだ。それしかアンタのポイントないもんね。」


ブチンッ!


あ、なんかまずい音なった。


隣で俯き、ブルブルと震えていたラーマン兄さんがスっと立ち上がり、前の女子を凄い形相で睨みつける。


「なんだぁ...?てめぇ...。」


ラーマン、切れた...!


じゃなくて!ここで問題を起こすのはまずいって!


「ちょっ!ラーマン兄さん落ち着いて!私は別に大丈夫ですから!」


ラーマン兄さんが発する魔力とは違うオーラが周囲に広がる。気づいた生徒が何事かとこちらを見てくる。


さっきまで空気だったのに今は学食の中心である。

皆が見てる!人気者だよ、やったね!


「ラーマン、何をしているのかな?」

泣きそうになってた俺の耳に救世主の声が届く。

後ろにたっていたのはアイン兄さんだ。

ナイスタイミング!アイン兄さんなら、ラーマン兄さんを鎮められるはず...!


「今度はそっちのお兄さんに頼るってわけ?ほんとそれしかできないのね。みじめな女。」


「なんだぁ...?てめぇ...。」


アイン、切れた...!(泣)





読んで頂きありがとうございます!

少し投稿ペース落とそうかなとか思ってる自分と何甘えてんだと言う自分に板挟みになってる自分。

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