10 クラスメイト
2章10話です!よろしくお願いします!
大講堂の席につき、式の開始を待つ。
待ちつつキョロキョロと辺りを見回し、ある人物を探す。
その人物はそう、試験の際に仲良くなった銀髪緑眼の彼である。
俺としたことが名前を聞き忘れてしまい、合格者の確認の時も見つけるとか不可能になってしまったため、今日直接会うしか合否が分からないのだ。
そこそこ人も多い。
席を立つのは注目を集めそうでヤダ。
やっぱり合格できなかったのだろうか。
だとしたら非常に残念だが。
「皆さん、お静かにお願いします。」
いつの間にかステージの脇に立っていた青い制服をまとった女性が声を出す。先輩だろうか。
真面目な人が多いこの世界、大きくもない声量だったが、近くで聞いていたものが静かになり、その隣も黙り、空気が伝染していく。
全体がしんと静まりかえったところで、再び話を始める先輩(仮)。
「ありがとうございます。ただいまより、第114回ランブル騎士学園入学式を執り行います。まずは校長の話です。」
ステージに上がる渋めのおっさん。
体格もなかなか良い。戦えるおっさんのようである。
「えー、新入生の皆さん。まずは入学おめでとう。」
声も渋めだな。
聡明そうな顔に恵まれた体格。
総じてイケおじ。
「この学校では騎士だけでなく、魔法士、学術員のことも学んでもらえる。君達がこの国の優秀な人材になれるかどうかは君たち次第だが、私たちも当然サポートをさせてもらう。自身の未来のために全力で励んで欲しい。手短だが、私の挨拶は以上だ。」
パラパラと拍手。
「次に生徒会長の挨拶です。」
また挨拶かい。
ステージに上がってきた男子生徒は
生真面目そうな感じはなく、しかし不真面目な感じもしない。なんというか、誰にでもしたわれる超陽の者みたいなヤツである。
「ご紹介に預かりました。ランブル騎士学園生徒会長のルイス・ファマスです。生徒の長として、皆さんの入学を祝福するとともに、新たな仲間の誕生を歓迎します。─────」
その後はまたお偉いさんのお話があった。
国王の側近らしい。
キリムと名乗ったなんだか胡散臭い雰囲気をもつ上にはねた髭が特徴のその男は国王の代わりに祝福を簡単に述べ、ステージをおりる。
「キリム宰相、ありがとうございます。次に新入生の紹介です。最初に魔術科です。アラン・ライベルト。」
「はいっ!」
名前を呼ばれ、席を立ち、元気な声で。
120人続くのかこれ...。なんて苦行だそれ?
「─────シーナ・ヴォルフフォード。」
「ぁ、はい!」
出席番号順に呼ばれてるのかな。
大抵五十音順になってるよな。
それに当てはめると俺は14番だろうか。
その後も生徒紹介は続き、
魔術科の生徒の紹介が終わる。
「次、騎士科の生徒紹介です。」
魔術科にはいなかったな銀髪くん。
当たり前ですね。
「アーク・マラリク。」
「はい。」
なんだか眠そうな男子生徒。
騎士科の生徒紹介は続く。
「カノン・セルニダス。」
「はい!!」
一際元気な声が響く。
そして聞いた瞬間既に危なかった俺の意識は覚醒する。
絶対に聞いた事のある声。
立った生徒の方に視線を向けると、
銀髪に緑眼のなんとも嬉しそうな顔が映る。
どうやら合格はできていたらしい。
何よりだ。
カノン・セルニダス...
おそらく学術初めての友人。
後で絶対に挨拶に行こう。
そういう細かい接点が大事。
怠ると仲はいいけど別に友達では...みたいな1番悲しくなる関係になりかねない。
騎士科の生徒紹介も終わり、最後に学術科。
わかりやすいほど頭のいいような奴らばっかりだった。
その後来賓紹介や保護者に向けての挨拶もすみ、
入学式は閉幕となった。
「では、各クラス、教室への移動をお願いします。担任の先生は牽引を。」
「はーい魔術科皆さん、こちらに集合してくださーい。」
ふわふわした雰囲気の優しそうな先生の元へ集まり、
指示された通りに整列する。
やっぱり五十音がそのまま出席番号になってるみたいだな。
「はい、では教室に移動しまーす。ついてきてねー。」
担任の先生についていき、校舎の中へ。
試験の時に1度見た廊下を歩き、ひとつの扉の前で止まる先生。
「はい。それでは、今から皆が1年間使う教室のお披露目でーす。場所とかちゃんと覚えてねぇ〜。」
ガラガラと引き戸を開き、中に入る俺たち。
その目に映る景色は...
「なんというか...」
それは、一昨日見た光景とほぼ同じ。
逆に違いとかあるのかと言いたくなるほ一緒である。
「あれ?なんで皆反応薄いの...?」
「先生、2日前に見た景色に何か反応しろと言う方が無理です。」
「...あ、ああ!あ、あはは。先生、何か勘違いしてたみたい…!うっかりうっかり♪」
何か面白い人が担任になったらしい。
全員順に席につき、次の言葉を待つ。
壇上に立った先生はパンと手を叩き、みんなの注目を集める。
「皆、席に着いたかな〜?今日からお世話になる場所なんだから、ちゃんと場所も覚えてあげてね〜。」
入学直後、別クラスの教室に入っちゃう。
あるある。なんなら俺は試験の日に間違えている。
考え事をしていたらまた眠く...。まだだ、まだ耐えろ!
「あ、ちなみに私の名前はリーン・コルマージ。気軽に読んでくれて構わないからねぇ〜。」
眠い目をこすりながら話を聞く。
「よし、じゃあまず自己紹介から始めよう。」
40人か...これは寝るかな多分。
読んで頂きありがとうございます!
やっぱり日常描写の方が無ずくねぇ?と思ってます!