6 入学試験開始!
2章6話です!
よろしくお願いします!
とりあえず指定された教室?の前に来た。
外はかなりの喧騒が漂っているが、
中はしんと静まりかえっている。
もう中に何人かはいるだろう。
やだなぁ〜、こういう時に扉開くと思いのほかデカイガラガラ音がなって視線が集まるんだよ。
学生の頃は本当にそれが嫌いで、朝は一番に登校してたっけ。
よし!覚悟は決めた。
ここでうだうだやっててもらちがあかないしな。
いざ、戦場へ─────!
「入らないんですか?」
「うひゃあ!?」
真後ろに人がいた!
全く気配感じなかったんだけど!?
いや、考え事してたのもあるんだけど。
俺に声をかけてきたのは
銀の髪にエメラルドのような緑の瞳の男子だった。
彼は驚いた俺を見て申し訳なさそうな表情をしている。
「すみません。驚かせるつもりはなかったんですけど...」
「...オホン。いえ、こちらこそすみません。考え事を...。」
「試験が不安ですか?勉強出来てない、とか...。」
何故か少し嬉しそうに聞く彼。
「いえ、試験については何も心配はしていません。昔の思い出を思い出していただけです。」
「あ....そう、でしたか...。」
途端に肩を落とし、少し顔色が悪くなる彼。
ははーん、さては勉強出来てないな。
あるある。テスト勉強ってなんか身に入らなくてテスト前に教科書とかガン見して無理やり頭に詰め込もうとするよね。
仕方ない。ここであったのも何かの縁だ。ここは俺が、面倒を見てあげようじゃありませんか。
「でしたら私の隣に座っては?試験開始まで、少しありますから、できるだけ対策をお教えします。」
「いいんですか!?ぜひよろしくお願いします!」
眼を輝かせて喜ぶ彼。
犬みたいでなんだか可愛らしい。
希望と不安の入り交じる目で入社してきた後輩を思い出す。
とりあえず扉を開け教室内の空いている席に腰を下ろす。銀髪の彼は俺の右隣に。
試験は教室、というか講堂?で40名程で行われる。
他の講堂でも同じだろう。
席は自由。指定の教室、講堂にいれば問題は無いようだ。
友達とかと隣同士になればカンニングし合えるんじゃね?
と思ってしまうが、試験開始とともに1列を両側から見張る監視がつくらしい。
当然バレれば一発アウト。
さらに、巡回する監視員も2人来るようだ。
不正対策はバッチリみたいだな。
対策ノートを開き、銀髪の彼に説明をしながら周りを見回す。
俺のような貴族らしい女子や庶民の出なのだろうなという真面目そうな清楚系女子。
ラーマン兄さんのような武闘派かと思われる男子や
メガネをかけたザ・天才青年みたいな男子。
自信満々な表情を浮かべ、腕と足を組み、試験開始を待っているヤツなんかもいる。
俺の同級生になるヤツがこの中にもいるかも、いや、1人くらいいるだろう絶対。
意識を戻し、復習に戻る。
隣の彼は頭を悩まし、ウンウンとうなりながら俺のノートを見つめている。
そんなこんなで10分後。
多数の大人が入ってきた。
ひとりが教壇に立ち、説明を始める。
「えー、受験者の皆さん。私物を片付けてください。これより、筆記試験を開始します。ペンや用紙はこちらで用意しているので、机の上は受験票のみにしてください。」
ちょこちょこあった話し声も消え失せ、講堂内には緊張感が漂う。
言われた通りにして、次の説明を待つ。
「問題の紙は2枚。全て裏返しで一番前の席の者に配りますので、そのまま後ろへ回してください。ペンは近くの教員が配りに行きます。」
前から回ってきたプリントを裏返しの状態で後ろへ回す。開始と言われたら見てもいいんだろうな。
「私の開始の合図で試験を開始してください。用紙はその時に見てください。」
うん、やっぱり。
あの時と一緒だな。懐かしい。
持っていた懐中時計を見つめ、数秒後、教壇の男から開始が告げられる。
「......では、始めてください。」
いっせいに裏返し、問題を見る。
とりあえず全問の確認だ。
出されていた問題は、王歴の問題や、魔法・魔力について、騎士の仕事や心得などがある。
まぁ、腕のいい家庭教師がいたので、悩むことも無くスラスラと解いていく。
隣の彼をチラリと横目で確認すると、
ペンが止まり、額を抑えていた。
...頑張ってくれ。それしか言えない。
試験時間は45分。それまでに全問解けていなければ、その時点でアウト。
結構厳しい。こういうところで落としていかないと倍率はさらにヤバイことになるんだろうな。
35分程度で解き終わった俺は、回答の見直しを行う。
隣の彼は常に額を抑え、冷や汗をかきながら、ゆっくりと進めていた。
頑張れ!それを解き終わったらあとは最後の自分の考えを書く問題だけだ!
彼の健闘を祈りながら自分の回答を見つめる。
多分大丈夫。全問正解のハズ...。
「そこまで。問題用紙を裏返して、置いておき、室内から出てください。」
辺りからはぁ...。とかふぅ...。とか息をつく声が聞こえる。俺も講堂の扉へ向かうため、席を立つ。
隣の銀髪の彼を見ると、天を見上げて脱力していた。
「...あの、大丈夫ですか?」
「どうでしょう...。大丈夫なんでしょうか...。」
それは君にしかわからんよ。
「とりあえず、言われた通りここを出ましょう。ペナルティがあるかも分かりません。」
「そうですね...。」
重そうに腰を上げ、2人で講堂をでる。
「この後は何があるんでしたっけ。」
顔色悪くそう聞く彼。なんだか見てるだけで不安になってくる。
「しっかりしてください。この後は実技試験です。ここで挽回すればもしかしたら受かる可能性が高くなるかも知れませんよ。」
「うぅ...、頑張ります...。」
本当に大丈夫かな、この子。
面倒も見てやったんだし、出来れば受かっていて欲しいものだが。果たして。
読んで頂きありがとうございます!
テストだの勉強だのは頭痛くなりますねぇ!!