2 観光(31年ぶり)
2章2話です!
よろしくお願いします!
ミリアを連れ出し街に出てきた俺。
こうやって知らない街をゆっくり見て回るのは実に久しぶりだ。
前は確か校2の時の修学旅行だったか。
クラス替えはなかったのにあんまり馴染めてなくて
唯一癒された時間が自由行動。
しかしそれも居なくなったことに気づかれず、
合流後
「あれ?どこ行ってたの?」
と言われ悲しくなった思い出。
まぁ今回は、最初から自由行動だし、ミリアは俺を慕ってくれてるし。
あの時のような悲しみを背負うことはないだろう。
「さて、最初はどこに入ろうかしらね〜。」
「じゃあ、なにか食べれるところに行きましょう!お腹すいちゃいました。」
確かに割と長いこと食べてないな。
意識するとお腹減ってくるのなんなんだろう。
とにかく、最初の目的は決まった。
「...! あそこに行きましょう。」
ミリアを連れ、見つけた店へ。
近づいていくといい匂いがどんどん強くなる。
証明に照らされ、茶色に輝くそれはパンだ。
日本でも見た事あるようなものも多くある。
「いらっしゃい、ゆっくり見ていってね。」
店員のお姉さんと挨拶をかわし、並べられたパンを見る。さて、俺の好きなやつはあるかな。
横でミリアが様々なパンに目移りしているのをよそに目当てのものがあるか見ていく。
そして、端から見ていき反対側。
ひっそりとあったそれを見つけ、
俺の周りに花がさく。久しぶりに目を輝かせ、
凝視していると、お姉さんから声をかけられる。
「クロワッサンが好き?」
「はい...。」
「ふふ、そう。私の妹も好きなの。小さい頃からずっと。あなたはいつ好きになったの?」
「仕事帰りに食べたのがはじめてでした。」
「もうお仕事してるの。どんなお仕事?」
「書類の作成や営業。あとはバカどもの尻拭いでしょうか。」
「ん?え?ちょっと待って...」
「どちらかと言うと後者が中心ですね。大したことも出来ないくせに口だけは達者で。ええそれはもう酷いなんてものでは無かったです、地獄と例えるのは地獄に失礼だとそう思えるほどに─────」
「わ、分かったわ!なにか変なこと聞いたみたいね!汗」
「......いえ、私も少し熱くなりました。すみません...。」
完全に無意識だった。
疲れて帰路についている途中、香ばしい匂いにつられ入った店。小さい頃、母によく買ってもらったクロワッサンを食べ、涙を流した。
今となってはいい思い出だ。
それと同時に嫌なことも思い出してしまったが。
それはそれとして、
「すみません、これ2つ下さい。」
「はい、ありがとうございます。」
いい色のものを選んでもらい、お金を払ってそれを受け取る。まだ目を輝かせているミリアを引っ張り店を出た。
「お嬢様ぁ!!まだ選んでなかったのにぃ!!」
「あなたの分も買ってあげたから我慢なさい。ほら。」
「っ!!わーい!!!」
クロワッサンを手渡し、もうひとつを口に入れる。
サクサクとした食感とバターの風味、表面の蜜が甘さを足しこれ一つでも満足感がある。
「はひめてたふぇまひた!おいひいでふね!」
「なんでそんなに詰め込んだのよ。もったいない。あと飲み込んでから喋りなさい。」
「ふぁい...、ふみません。」
10秒ほど噛んでようやく喉を通したミリアは改めて言葉を口にする。
「はぁ〜美味しかった。はじめて食べました!」
「そうでしょ?私の推しだから。」
「推し...?そういえばシーナ様はいつ知ったんです?私がお屋敷に来てからは食べられてませんよね?」
「ああ、うん...。まぁずいぶん昔にね...。」
「へぇ〜、私ももっとはやくこの味を知っておきたかったです!」
しばしパンについてミリアと談議した後、再び街の散策を開始する。
「次はどこに行きましょう?」
「そうねえ...おっ!」
「なにか見つけられました?」
「ふふふん。ミリア、ついてきなさい。」
「?...はい。」
見つけた店に入ると、庶民的なものからきらびやかなものまで、様々な服がお出迎え。
「ミリア、あなたは今の自分の格好を見てどう思う?」
「え?別に普通ですよ?」
「確かに、あなたのメイド服は私も見慣れたし、違和感はないわ。でも!」
ビクッと震えた肩をガシッとつかみ顔を近づける。
「せっかくの女の子2人での観光で、その格好が許されると思って?」
「全然意味が分からないです!」
「考えてはいけないわ、感じなさい!」
「やっぱり分かりませんー!!!」
少し抵抗するミリアを引っ張り、服を見ていく。
ファッションショーの開催である。
1着目。
肩にフリルがついたノースリーブのトップス、
下はデニム生地のショートパンツ。
...なんだか妙に現代風な服あるな。
でも似合ってるんでOKです。
ミリアは少し困惑したような顔をしている。
「いいわね。元気な雰囲気がミリアにピッタリだわ。」
2着目。
白い長袖のシャツに黒いスカート。
全体的にふわふわとした雰囲気の服だ。
色合い的にいつものメイド服に近いが、
私服と制服ではやっぱり見え方がまるで違う。
「清楚感がプラスされて有りね。」
ミリアの顔がなんだか赤くなった気がする。
3着目。
俺の服と同じ、貴族然とした豪華な装飾の服。
ミリアのイメージじゃないが、素材がいいのでなんでも合うね。
「いいじゃない。素敵よミリア。」
ミリアは着慣れない服を不思議そうに見つめている。
「よし、じゃあ次は─────」
「も、もういいですからぁ!!」
疲れた様子のミリア。
もう少し楽しみたかったがしょうがない。
近くでニコニコしていた店員に声をかける。
「今着た服全て買うわ。」
「ありがとうございます!」
「大丈夫なんですか?高いんじゃ...。」
「ふっ...安心なさいミリア。これでもお金持ちよ私。」
ドヤ顔でお札を見せびらかす。
ミリアはさすがです!シーナ様とか言ってくれてるが
割と危なかったのは秘密。
着せたかったのでしょうがない。
読んで頂きありがとうございます!
自分に絵心があればシーナちゃんとかミリアちゃんとか描きたいんだけどなぁ(´・ω・`)