1 王都
2章、1話です!
よろしくお願いします!
穏やかな春の日差しに照らされた
緑の大地はどこか輝いて見える。
遠くを見渡しても1面の緑。見るのも少々飽きてきた。
豪奢な馬車に揺られ、窓台に肩肘をつきながらつまらなそうに景色を眺めている、
金髪蒼眼の少女、シーナ・ヴォルフフォード。
つまり俺は、
一日半に及ぶ馬車の旅で腰を痛めるわ、
景色も見飽きたわで若干気持ちがブルーである。
ゴルドリッチとの戦いに勝利し、
ランブル王国でもかなりの財と権力を持ったヴォルフフォード。
心配事が片付いた俺はランブル王国王都に存在する
ランブル騎士学園に専属メイドミリアと共に向かっていた。
「あっ!シーナ様!見えてきましたよ!!」
窓に顔をへばりつけキャッキャと興奮した様子で声を上げるミリア。
ようやくこの時が来た。
見慣れない景色や街並み。
まだ見ぬ同級生たち。
そして!
2年、1年ぶりの再開!
我が自慢の兄たち!!!
2人とも元気にしているだろうか。
アイン兄さんはさらに理知的になっているのか?
ラーマン兄さんはさらに雄々しく、強くなっているのか?
2人の変化を見るのが非常に楽しみである。
ついでに随分と立派に成長した俺の姿を見せ、反応をみたい。
そういえば2人とも王都に購入した別邸に移住したらしい。
騎士学園在学中は寮か自宅からか選べるそうだが、
まぁせっかく別邸とはいえ近くに自分の家ができたんだし、そっちへ行きたくなるのも分かる。
そうこうしているうちに馬車が門の前で停車する。
2人の門兵に通行許可証を見せ、
えらく大きな門を抜けると、
見えてきたのは、
ヴォルフフォードとは比べ物にならないほど活気づいた街。
老若男女問わず様々な人が通りを歩き、
大通りの道端には出店があったり、
端が見えないほど立ち並ぶ建物はどれも故郷のものよりデカい。
当然だが、現代日本の方が活気づいていたし、建物もデカかった。
でもそういうんじゃない。
15年ぶりの賑わい。
そして別世界に来たような感覚を覚える(実際そう)中世の街並み。
ミリア程じゃないにしても俺もテンションが上がる。
色々済ませたら観光だな。
何から見て回ろうか。
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大通りを馬車で数分。
見るからに金持ちの家みたいな邸宅の前に停る。
馬車からおりて門の前に立ち、目の前の家を見上げる。
「「はえ〜」」
とミリアと揃ってあほ面で感嘆を漏らす。
ほんとにこれ別邸なの?
もちろん限度はあるが、
日本にあったどの家よりも立派な気がする。
「お嬢様、長旅でお疲れでしょう。中でお休み下さい。お荷物は我々がお運びしますので。」
「へ?ああ、うん。」
門を開くと、庭などはなく、すぐに玄関。
扉を開き、中を覗いてみる。
目の前に広がるは超広い廊下?だ。
正面には途中で反転した階段。両サイドから行けるやつ。
その前には分岐とは思えないほど長く広い廊下。
左右に伸びており、片側には部屋が4つ程あるようだ。
誰が使うの。
「これ、部屋覚えるのも大変ね。」
「はい。お屋敷のお仕事にもようやくなれて来てたんですけど...。ちょっと不安になってきました。お掃除とかちゃんとできるかな。」
ミリアと雑談しながら見て回る。
正面から左右に伸びた廊下も家を1周して繋がっているようだ。
玄関真反対には何やら大きな扉。
開いてみるとそこは
大理石のタイルが一面にはられた床に、
手前にはソファや暖炉などが置かれたスペース、
その次に何人座れるのか分からないような長いテーブル、
奥にはミシュランのお店にしかないみたいな
プロ仕様の厨房。
リビング・ダイニング・キッチンの機能がこの部屋に集中しているようだな。広。
「...これ...私一人でお仕事するわけじゃないですよね...?」
なんかすごい不安そうなミリア。
「どうして?さすがに他にも使用人はいるんじゃないの?」
「はい...。お荷物を運んでた方たちはいましたが、メイドさんがさっきから見当たらなくって...。」
なるほど。ていうか屋敷に入ってそもそも人を見ていない。
ホントに使用人いない可能性出てきたな。
さっきの人たちもこの為だけに来た可能性も十分あるし。
「......まぁ、もしもの時は私を呼びなさい。その時は手伝うから。」
「お嬢様ってメイドさんのお仕事出来ましたっけ。」
「あなたにメイドのいろはを教えたのはどこの誰だったかしら?」
「ひっ、すみません!冗談です!」
笑顔で圧をかけてやると泣きそうになりながら謝ってきた。今回はお許し致しましょう。
その後も自分の家の探索は続き、2階、3階と順に見てら正面玄関に戻ってきた。
荷物運びも終わったのか、ちょっと一息ついてる男たち。
「ご苦労さま。」
「いえ、これくらいは。」
「そういえばこの家、使用人はいるの?」
「ええ。まぁ私達もそうですし、買い出しに向かっている女性陣もいます。」
良かった。
ミリアが可哀想なことにならずに済みそうだな。
「ごめんなさい、もうひとついいかしら?」
「なんでしょう?」
「お兄様たちは今どこに?」
「ああ、アイン様とラーマン様は今学園におられますね。」
「この時期に休みとかないのね。」
「?ええ、騎士学園は土日と夏季、冬季に1ヶ月程度の長期休暇ですね。入学したら説明があると思われますが。」
春休みはないんだ。
ちょっと残念。
まぁいいや。
「私の荷物はどこに?」
「1階の右奥の部屋です。そこがシーナ様の部屋になります。」
1階が俺たちの部屋。
2階が客間中心。
3階が使用人の部屋と。
改めてすごい広いなこの家。
「それから地下に物置、保管庫があります。」
「地下もあるんだ...。」
「はい。見ていかれますか?」
「後ででいいわ。」
それより今は。
「ミリア!」
「うやあぁああ!?」
自室でくつろいでいたミリアを引っ張り、街へくり出す。
さぁ、観光と行くぞ!!!
読んで頂きありがとうございます!
2章も頑張ります!
何卒よろしくお願いします!!!