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元社畜令嬢 〜今世こそは良い人生を!〜  作者: 神代レイ
第1章 初めての異世界
18/91

18 黒鎧と呼ばれた者-3

18話です!

よろしくお願いします!

クソッ!

心の中で悪態をつきオーエンの殴打を避ける。

頬にカスリ少しキズができた。


起き上がってからのコイツは戦い方に理性が感じない。先程までは俺の攻撃を見てから対処に移す後出しの戦い方だった。


今は目の前の敵を屠るために全力以上の力でただ攻め続けている。

一発一発の速さ、重みが段違いになってる。


もらったら即アウトだろう。


避け、防御に徹してはいるが、

精神力や集中力が段々と削がれている。

訓練用の剣もそれなりの耐久はあるはずだが、

一発受ける事に剣身が欠け、ヒビも入りはじめた。


このまま受け続けるのはマズイ!


「ガアアアアアアアア!!!」


「くっ...!」


ドゴッと地面を抉る程の拳を何とか避け

距離を取りつつ火球を撃つ。

大した威力もない牽制球は奴を止めるには至らない。


赤く染まった眼をギラつかせこちらに突進してくる。


「っぶな!」


紙一重で右に避けるも

オーエンは避けられた傍からドリフト旋回し、すぐさま突っ込んで来る。


これ...やばい...。

このタイミングは避けられねぇ。


何とか、威力だけでも軽減しないと...!


俺は傍にあったセルゲイの身体を引っ掴み縦のようにして構える。


その瞬間、

味わったことの無い衝撃が体に走る。

気がつくと俺は半壊したセルゲイの血を浴びながら宙を舞っていた。

そのまま受け身の体勢も取れず地に落ちる。


「ガハッ...!」


クソッ...動けない。

どうやっても身体を動かせない。


オーエンは...、

キレイなドリフトをかけ再度こちらに向かってきている。

ダメだ...これ。 死んだ...。


ここまでだなと目を瞑る。

14年、短かったけど、楽しかったな。


とてつもない衝撃とともにドッゴーン!!!とけたたましい音が響く。


まだ意識があることに困惑しつつ目を開く。


「シーナ!大丈夫...ではないな!生きているか!?私がわかるか!?」


「...お父...様...。」


「間に合って、良かった...」

安堵の表情でそうつぶやく父さんは前を見る。

俺もその視線を追うと、


沢山の人が盾となりオーエンを止めている。

土魔法を使い薄くとも盾を作り1番前の者の即死を致命傷まで下げている。


「無事か、嬢ちゃん?」


「ここで死んでもらっちゃ困るぜ?」


「まだ、返しきれてない恩がありますから!」


元ゴルドリッチ領の住人たち。

彼らが命懸けで俺の盾となってくれていた。


「みんな...。」


「遅くなって申し訳ありません。」


今度はオーエン側から声が聞こえた。

敵兵の死体の足をつかみぶん回しながらゴンッとオーエンの頭にクリーンヒットさせ、転ばせる。


「カリーナ...。」


「持ち場の殲滅に少し手間取りまして。遅くなりました。」


「いえ、よく来てくれました。」


少し回復した俺は何とか立ち上がり、みんなに並び立つ。


「そろそろ終わりにしましょう。あれを落として、我々の勝利で。」


「おうよ!」「ええ。」「「応!!!」」


━━━━━━━━━━━━━━━


「はぁっ!」


こちらに一切の関心を示さなくなったオーエンを後ろから剣でぶっ叩く。


よろけも怯みもしない。

ダメージ通ってるのかこれ。


「私が囮となって奴を引き付けます。そのすきに皆様で攻撃を。」


戦闘開始直後、カリーナが囮を引き受けオーエンの前に飛び出した。それを見たオーエンはカリーナを追い集中的に狙っている。


魔法攻撃や剣での攻撃は全員がやってはいるが、

鎧にダメージはあれど本体に効いている感がまるでない。


カリーナの体力もいつまでもつか分からない。

1人1人もそれなりに消耗している。

出来れば早めに決着をつけたいが...


ドウ!と何度目か分からない火球を奴にぶつける。

それでもやつは怯まない。


...しょうがない。

やりたくはなかったが、このまま負けるよりはずっとマシだろう。


「ベリル、みんなに伝えて。魔法攻撃を腹と背中に集中させます。私の合図で一斉掃射しなさい。」


「あン?なんでまた一段と分厚い箇所に...」


「1番狙いやすいでしょ?」


「....よー分からんがまぁわかった。指示を回す。」


理解するだけの自我があるかは分からないが、

言葉を聞くだけの意識はある。


土魔法なんかで防がれると厄介だ。


ベリルが回した指示を他の者が隣へ前へ後ろへ。

オーエンを取り囲む兵士たちにどんどんと伝わる。


そして左の兵士から俺へ。

「シーナ様!指示、全員に伝わりました!」


「よし。お父様、剣をお貸しして頂けますか?」


「む?ああ、いいぞ。」


持っていた殺意無き剣を投げ捨て、

父さんから受け取った真剣に魔力を流し始める。


あまり魔力は残ってないし、時間的にもそう長くは貯められない。


だから、今残っている全ての魔力を、

ありったけをこの一撃に。


「カリーナ!こっちに走りなさい!!!」


指示を飛ばし、剣から貯めた魔力を放出する。


指示を聞いたカリーナは即座にこちらへ。

何故か他に目もくれずカリーナを狙っているのは好都合だ。


オーエンがカリーナを追い、スピードをつける。

これなら急な方向転換はできないだろ。


「全員!魔法攻撃開始!」


俺の合図で一斉に魔法を放つ。


同時に俺もオーエンへ飛び出し、刺突の構えをとる。


カリーナは瞬時に察し、後ろへ宙返りしつつ、

持っていたナイフでオーエンの両目を潰した。


「ウガアアアアアアアァァァッ!!!」


両目を抑え悶えるオーエンにドゴン、ドカーン!

と次々に魔法攻撃が炸裂し、

それを浴びた黒き鎧にかなりのキズがつき、ヒビが広がる。


あれだけもろくなれば...いける!!


「はああぁぁぁぁぁぁッ!!!」


ドスッとみぞおち辺りに剣を突き刺し、動きを止めたオーエンを見据える。


「光栄に思いなさい。殺すために使うのはあなたが初めてです。」


剣から溢れる魔力を使い、炎を放出し、内側から焼き尽くす。


「ガッ...ガアアア!!!」


炎に包まれのたうち回るオーエンから身を離す。


その直後、ボンッという音と同時に火の手が強まり

オーエンは動きを止め、二度と立ち上がることはなかった。


「はァ...疲れた...。」


俺が腰を下ろし、そう言ったことで、周りは自分たちの勝利を確信し、雄叫びをあげた。


本当に疲れた。戦いが始まり数時間すら経っていないと思うが、ここまで身体を動かしたことは昔もなかった。


安堵と同時に意識が遠ざかる。


でもいいだろう。少しくらい休んでも。


俺はそのまま仰向けに倒れ、少し眠りにつく。

移動とかするなら誰か運んでくれ。


読んで頂きありがとうございます!

実は全然読まれていないと分かり

ちょっとブルーです!

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