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元社畜令嬢 〜今世こそは良い人生を!〜  作者: 神代レイ
第1章 初めての異世界
16/93

16 黒鎧と呼ばれた者-1

16話です!

よろしくお願いします!

ヴォルフフォード軍本隊。

その最奥にて、半分ほど燃え黒くなった森を見つめ

終戦の時を待つ。


どうやら娘が考えた作戦自体は上手くいっているらしい。

ヴァリスはただ目をつぶりこのまま相手が降伏するのを座して待つしかできない自分の弱さを嘆く。


今の時代、平和主義の考えは異端などでは無い。

だが、それだけでは足りなかったのだろう。

事実自分は今何も出来ていない。


それどころか作戦立案も実行も、自分の娘頼りという始末だ。


「全く....情けない...。」


弱々しく吐いた小さな独り言は周りの兵にも聞こえない。


ふと、目の前の茂みがガサガサと音を立てて揺れる。

一瞬警戒した本陣の前に現れたのは1人の味方兵だ。


彼はヴァリスの前に跪き、戦況を語る。


「報告!炎による敵の分断に成功!次の作戦に移行したシーナ様は敵本陣にて、黒鎧『こくがい』と交戦を開始しました!」


「な...なんだと?」


その名を聞き否応無しに体が震える。


黒鎧。それはかつて、鬼とまで呼ばれ恐れられたもの。


それは、相対したもの全てに恐怖を植え付ける、

戦場の悪鬼。


━━━━━━━━━━━━━━━


今更だが、よく140人も連れてゴルドリッチを脱出できたもんだと思う。


こいつさてはわざと見逃しやがったな?

確かにあの時は魔法で割と遠くに吹っ飛ばしてやったし、全速力で走っていた。

とはいえ、みんながみんな同じ速度で走れるわけもないし、走っていたのは森だ。

多くの人を連れ歩けば、木が邪魔をする。


あの時魔法は受けていたはず。

だが、痛みを見せるような様子もないし、

顔周りにやけどくらい負っていてもおかしくは無い。


なんで見逃した?

なんで追ってこなかった?


いや、考えるのはよそう。

集中しろ。俺の目の前にいるのは

今まで超えてきた壁よりもはるかに高い。


大丈夫。俺ならできる。

切られた痛みなど気にするな。

根性で我慢しろ。


「お前でも、俺を満たすことは出来んらしいな。」


「...は?」


「今、お前が考えていることを当ててやろう。なぜあの時おってこなかったのか。」


「......」


「俺の人生は戦うことそのものなのさ。だからあの時、不意打ちとはいえ、俺に軽い手傷を負わせたお前とは、戦場で、堂々と、一騎討ちで殺り合いたかった。」


やっぱり見逃されていたか。

それに、こいつ、


「だが、ここまでだな。娘、お前は強いかもしれんが、俺の前に経つ資格はなかったらしい。」


こいつ...

自分の勝ちを確信している。

ふざけやがってコノヤロウ。


「勝利を宣言するのはまだ早いのではなくて?」


「何を言う。頼みの魔法も俺とは相性が悪い。そしてお前は脇腹に傷を負い、満足に動けん。速さも失ったお前に俺に勝つ方法はない。」


「まだ、残っていますわ。」


「なに?」


お前に手傷を負わせた方法が、まだ残っている。


「はぁっ!」


ザクッと剣を地に突き刺し、魔力を込める。


「何をするつもりか知らんが、それを許すとでも?」


そういい走り出す黒鎧。

いいぞ。そっちまで伸ばす手間が省ける。

俺と奴の距離が奴の間合いの1歩外まで迫る。


ここだ!


瞬間、ドウッ!と黒鎧の足先の地面が爆発し、奴は急停止する。


剣を上にぶん投げ、視界の塞がった奴に体勢を低くして接近し、拳を握る。


たとえお前みたいなガチムチでもそこは鍛えられないだろ。


さっきはギリ側頭部への攻撃になったが、

今度こそそこに入れてやる。


「昇○拳ッ!!!」


奴の真下から勢いよく飛び上がり、顎目掛けてアッパーを食らわせる。

そのまま先程上に投げた剣をつかみ、


「さらに!」


今度は奴の脳天目掛けて、

真っ直ぐに振り下ろす。


「龍○閃ッ!!!」


直撃を食らった黒鎧は白目をむきうつ伏せに倒れた。


「ハァ...ハァ...、奇襲で私に興味を持たれたとの事でしたので、」


倒れた奴を見下ろし言ってやる。


「それで勝負を決めさせて頂きました。お好きなのでしょう?」


ようやく終わった。

さて、あとは─────。

ギロリと俺の後ろでまだ腰を抜かしているセルゲイを見据える。


「ひっ」


と怯えるセルゲイに1歩2歩と歩を進める。


ふと背中に違和感を感じた。

それと同時にドスンと何かが地を踏みしめる音が聞こえる。


考えたくない光景が頭に思い浮かび、

ゆっくりと後ろを見やる。


おいおい嘘だろ...。


そこには先程地に伏せていた黒鎧が二本足で立っている。ゆらりと上半身が揺れ、倒れそうになった大きな身体をたたらを踏んで再び倒れるのを防ぐ。


確かに良くは確認できなかった。

だが、確実に意識を奪った確信はあった。


それでも黒鎧はそこに立っている。


「おぉ...!オーエン!さぁ早く!その小娘を殺れぃ!!!」


オーエン...。

それが奴の名か。


オーエンはギギギと首を動かし、声のした方、

俺のいる方を見る。


......どうも様子がおかしい。

声は聞こえているようだが、正気なようには見えない。

眼は真っ赤に染まり、口からはヨダレが垂れている。


「......ガ...ァ......」


「この短い間に随分...様変わりなされましたね。」


「ガア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」


剣も持たずに無造作に突っ込んできたオーエン。


速ぇ。力任せの突撃は今までより威圧感が強い。

しかしまぁ、ある意味チャンスかもな。


真っ直ぐ向かってくる猛獣をギリギリまで引き付け、

横に体を逸らし避ける。


「待っ...ぐぼぁ!」


見事にぶっ飛ばされたセルゲイは宙を舞い、

血を噴き出しながらドサリと落ちる。


これでゴルドリッチとの戦争には勝った。

残る問題は目の前で「フゥ...フゥ...」とエンジンあっためてる暴走車だ。


さてと、コイツどうやって止めるかな。



読んで頂きありがとうございます!

まだ黒鎧戦は続きます!

だが、1章ボスでh...

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