12 準備は念入りに-1
12話です!
よろしくお願いします!
「裏切り者...」
当たり前だが衝撃的だったのだろう。
父さんはその言葉をもう一度口にする。
「ええ、ここにいるベリルですが、元々はセルゲイ・ゴルドリッチの手先。その上私たちがゴルドリッチ領に向かっている時に通る道もわかった上で私を攫いに来ていた。」
「な、なんだって!?」
「ご安心を。彼らはもう私が買収しましたので。」
「買収ってお前なぁ...。」
間違ってないんだからいいだろうよ。
「そ、それで本当に屋敷の者が裏切り者なのか?」
「おそらく。情報の規制はキチンとされていましたし。」
「盗み聞きされた可能性は?」
「なくはないかもしれませんが...」
はっきり言って可能性は薄いだろう。ゴルドリッチ領と違ってヴォルフフォードの警備は結構厳重だ。
屋敷に怪しいヤツがいて気づきませんでしたは考えにくい。警備もそうならどうしようもないが、そう多く紛れ込ませたりとかできないだろう。
「────わかった。その件は私の方からも調べてみよう。報告は以上か?」
「はい。私からは以上です。」
「ふぅ...。それにしても、戦争か。」
父さんが気にするのはやはりそこだろうな。
かなりの平和主義者だし。
というか、今の時代に戦争を仕掛けようとしているセルゲイが異常とも言えるか。
俺は強行手段も考え方のひとつとしてはありだと思うけど、日本とかも昔は戦争をしていたし。
この世界も今は違うだけで昔はよく行っていたらしいし。
「旦那様、そう悲観することもありません。」
頭を抱える父さんを見てカリーナが発言する。
「ゴルドリッチの内部情勢を調べましたが、”兵士”としてのセルゲイの手駒は多くありません。1人1人の能力も高いものではありませんでした。」
「ああ、俺もそう思う。俺たちゴルドリッチの人間も戦いになったら割と戦場に駆り出されるって話だ。そうだろ?母さん。」
「ああ。お父さんはそうやって死んだからね。」
あの黒鎧はそれなりに強そうだったけどな。
相手は俺たちを捉えることが目的だったし
数時間貯めた魔力で逃げることに重きを置いた力押しだったから何とかなったが、いざ尋常に!となると話は別だ。
相手の手札がまるで分からない以上、殺り合うことが目的となると何してくるのか分からないし。
気になる点もあるが、父さんはベリルとリンネの意見もあり、腹を括ったらしい。
「よし!ゴルドリッチとの戦いに向けて準備だ!ヤツの噂が本当なら、兵を雇うための時間がいる。その間に領の間に柵や罠を張る!兵士長は駐屯地に連絡を、その他は街を周り医療道具や保存食をかき集めてきてくれ!」
「了解!」「承知しました。」
「ベリルとやら、君たちを信用してもいいんだね?」
「もちろんだ。と、言いてぇとこだが...」
「なんだね?」
「俺たちはアンタの娘に雇われた傭兵田だ。俺たちに命令下せんのは嬢ちゃんだけだぜ。」
「ベリル...。」
ベリルはニヤッと笑い続ける。
「戦場でも一緒さ。嬢ちゃんに言われなきゃ動くつもりはねぇ。」
「シーナを戦いに出せと言うのか?いくらなんでもそれは...」
「じゃあ、嬢ちゃん本人に聞いてみな。どうしたいかを。」
俺の答え。そんなもの決まっている。
「お父様、私も行きます!」
「シーナ...」
「アインお兄様、ラーマンお兄様に魔法や剣を教わったのはまさにこのような事態に対処するためです。」
「いや、しかし...」
「シーナ。」
父さんの言葉を遮り、母さんが言葉を発する。
「あなたは基本いい子ですが、昔からやんちゃで強引なところがあります。私たちの言葉で止まるような子ではないでしょう。」
少し言葉を貯める母さん。
分かっているよ、ちゃんと生きて戻t ────
「無傷で戻りなさい。でなければ王都にも行かせませんよ。」
えぇ、厳し。
「シータがそういうなら、私ももう、何も言わん。必ず戻ってくるんだぞ、シーナ。」
「はい。もちろんです。」
「さぁ!時はあまり多くはないぞ!全員、勝利のために全力を尽くせ!」
「「了解!」」
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訓練所でおにぎりを振る舞われていた皆に戦争のことを話す。
「皆、私についてきてくれますか?」
戦場で戦えば命を落とすのは当たり前だ。
頷いてくれるか、不安であったが...
「何言ってんだ、アンタがついてこいって言うなら地獄だってついて行ってやるよ!」
「おうよ!セルゲイじゃなく、アンタのためにこの命使えるってんなら本望だぜ!」
「あそこから救ってくれたんだ。嬢ちゃんの頼みなら喜んで引き受けるさ。」
皆口々に「そうだ!」とか「任せろ!」とか。
街から出してあげただけなんだけどなぁ。
でも、やっぱり悪い気はしない。
「ありがとう。武勲をあげたものには追加報酬を出します!!!しっかり働いて貰いますよ!!!」
「「応っ!!!」」
さて、兵士長や、他の兵士も交えて、作戦会議をしなきゃあな。
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その日の夕方、駐屯地の会議室に
俺、ベリル、兵士長、部隊長12名の計15名が集められていた。
「ではまずベリル殿とやら、相手の戦力はどれほどになると考えられる?」
「そうだな。まず、街の男共を集めて、自領の兵は6000。そこに方方からの傭兵が集まって8000てとこだな。」
「我々はかき集めて何とか3000。これはキツイな。」
「しかし、相手方は寄せ集め、自領の兵もセルゲイに従い、戦いにやる気のあるものは少ないと思われます。そこに付け入る隙は十分にあるかと。」
俺の発言に視線が集まる。
哀れみの視線とかは慣れてるけどたくさんの視線は慣れていないのでやめてください。
「嬢ちゃんの言う通りだ。それに、戦う前からそんなんじゃ、勝てるモンも勝てなくなっちまうぞ。」
「そうだな。よし、ではなにか、戦場での動きについて、提案のあるものは。」
「では、私から1つ。」
「シーナ様、お聞かせください。」
「はい。まずは簡潔に。」
俺は自身の考えを皆に話す。
「分けて燃やしましょう。」
読んで頂きありがとうございます!
1章毎に10万文字とか7万文字とか
無理じゃねと思ってます!
誰か助けて!!!(切実)