13 隠し通路の隠し通路/アリアの胸騒ぎ
5章13話です!
よろしくお願いいたします!
「だ、大丈夫かい?2人とも...」
へたりこんだ俺たちを心配して駆け寄って来たカノン。距離が近かったのでまず俺に手を差し伸べてくれていた。
「あ、ありがとう。大丈夫、少し安心しただk」
「うおぉぉぉぉ!!!ありがとぉ!お前のおかげで助かったぜぇぇ...!」
ものすごい勢いでカノンに飛びついたソルケットくん。
「え、えーと...とりあえず無事で良かったよ。ソクネーロくん?」
「ソルケットだバカヤロー...!」
2人して困惑しつつもとりあえず差し出された手をとって立ち上がる。
「それにしても、何年も前に攻略されたダンジョンにこんな場所があったなんてね。」
「ハァ...ええ、そうね。でも、この道もここで行き止まりの様だし、鉱石や宝がある訳でもなかったから、早く戻りましょうか...。」
俺たちは踵を返して縦穴の下まで戻ろうとした時、ガラガラと後ろから壁が崩壊する音が聞こえてきた。振り返ると、カノンの光弾が当たった壁に穴があき、その後ろにも通路が見えていた。
「......あー、どうする?」
「どうするも何も、行くわけないでしょ。」
俺とカノンは見なかったことにして引き返す。だが、1人の男は開いた穴を目を輝かせて見ていた。
「オイオイ!隠し通路にある隠し通路とか、ぜってぇになんかあんだろ!」
「まさか行く気ですか?」
「当然!こんなチャンスは逃せねぇぜ!」
「あれだけ面倒な目に遭っておいてよくそんなすぐに切り替えれますわね...ハァ...」
「あ、あはは...どうする?」
「あれは多分何言っても聞かないでしょうね。...仕方がないわね...。」
俺とカノンは1人で行かせる訳にもいかず、しぶしぶついていくことにした。
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カノンと別れたネリトと他生徒は全力でダンジョンを引き返していた。そしてようやく出口が見え、ダンジョンを抜ける。ネリトはすぐさま教師陣のパラソルの下へ向かう。
「ネ、ネリトさん...どうしたんです?」
相当顔色が悪くなっているネリトが全力疾走でパラソルに駆け寄って来たため、明らかに何かあったのだろうと察した教師陣。シーナたちの担任であるリーンがネリトに言葉をかけた。
「ダンジョン奥地の...壁の一部が崩壊しました!」
「「!!!」」
「魔術科のソルケット・マーズ君とシーナ・ヴォルフフォードさんがそれに巻き込まれ、壁が崩れた先にある縦穴に...騎士科のカノン・セルニダス君も2人を追って穴の中に...」
「なんてことだ...!」
「一先ず、救助隊を編成して、彼らの救出に向かおう!ネリトさん、案内を頼めるかい?」
「...はい!」
教師たちはすぐさま行動を開始。異常とも言える速度で段取りをたてていった。
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「クソッ!」
浜辺に戻ってきたテレス・ノブレイカは悪態をつく。その言葉は誰あろう自分自身に向けられていた。
「私にも飛び込む勇気があれば...!」
飛び込んだところで何か出来るかと言われれば分からない。だが、先も見えないような穴に落ちたシーナたち、それを追って迷いなく飛び込んだカノン。彼らを思うと何も出来ずにここへ走り戻って来た自分を心底不甲斐なく思う。
「ねぇ、そこのあなた。」
突然背後から話しかけられ振り向く。
「貴殿は...」
「話すのは初めてね?私はアリア。アリア・リブルイス。魔術科よ。」
「魔術科...そうか...。私はテレス・ノブレイカだ。」
「テレスね。早速質問なのだけれどいいかしら?」
「ああ。」
この状況で自分に近づいてきた魔術科の生徒がする質問など1つだろう。
「先程から妙に教師陣が騒がしいわね。それにあなたたちの班も3人ほど人数が足りない。何があったの?」
「......」
テレスは少し迷ったが、ありのままをアリアに聞かせた。アリアは顔を顰めたりはしたが、何も言わないで最後まで聞いた。
「────という事があったんだ。」
「そう。」
「すまないっ!君の友が危機的な状況に陥っているのに、私は何も出来なかった!騎士失格だ...!」
「何を言ってるんですか?何があるかも分からない閉所、暗所に飛び込むなんて自殺行為。あなたの反応は普通です。カノンが異常なんですよ。」
「アリア嬢...」
「それにシーナはそれくらいで死ぬような子じゃありません。あなたが思うほどの惨事には、なっていませんよ。」
「...ありがとう。」
テレスは深く頭を下げた。全てを許してくれる聖母に自分の軽い頭を下げ、自分に出来る精一杯の感謝を伝えた。
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アリアは考える。まぁ不安がない訳では無いが、シーナたちは多分生きているだろう。救助隊もすぐに編成される。心配なのはそこではない。シーナたちがダンジョンに入って少ししたくらいからだろうか...海がやけに荒れ始めたのだ。
波が高く、強くなり、小魚などは姿を消した。そしてどこからか生臭い匂いが漂って来ている。
「何も無ければいいけれど...」
アリアが海から視線を逸らす。その後ろでは遠くの沖に1本、鞭のようなものが挙げられていた。
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