7 サメは(この世界の)人を食べれない
5章7話です!
よろしくお願いいたします!
ジョーズって知っているか?そう、あの有名なサメ映画だな。あれを見て自分だったらこう対応するんだけどなぁとか考えてしまう人は一定数いると思う。少なくとも俺はその1人だった。今、目の前からぐんぐんと向かってくる巨大鮫を見て、俺はこう思った。
「どうしよう...」
対処はしなきゃいけない。だが、いざパニック映画の登場人物になってみると案外何も考えられない。その上本調子じゃないときている。いや、正確には考えは浮かんで来るが、正解が分からない。悩んでいる暇はない。だが、実行に移せない。
俺がまともに動かない頭で考えていると後ろからずいぶんと水しぶきを上げながらサメへと向かっていく男子がいた。
「ひゃっほーーーい!!!海!サメ!とくれば...漁だろぉぉおお!!!」
ソルケットくんは綺麗とは言えないフォームのクロールでどうすればそんなスピードが出るんだという速度のままサメと接敵した。
「ハンッ!そんな遅せぇスピードじゃあ、俺は食えないぜ?」
噛み付こうとしたサメの攻撃を避け、真上に飛び上がる。彼は手に魔力を集中させ、武器を形成した。
「氷のモリだぜ!これで殺してすぐに冷凍保存してやるよ!今夜は...フカヒレパーティだぁぁぁぁ!!!」
慣れてるな。昨日から思っていたが、やっぱり彼は海に来るのが初めてじゃないらしい。俺から200メートル程の沖でサメと格闘しているソルケットくんを眺めているとまた後ろから、今度は女子が現れる。
「フッフッフッ...サメ狩りとは興味深い。私も参加させてもらおうか!」
ポニーテールの似合う騎士科のテレスさんだ。
「シーナ嬢、君も参加するかい?」
「遠慮しておきますわ...」
「そうか...では、行ってくる!」
テレスさんは先程のソルケットくんの泳ぎを見て覚えたようで同じようなきたねぇクロールでサメへと向かっていった。
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「加勢に来たぞ!」
振り返ると同じ班の女子が一人で向かってきている。
「へぇ〜、お前中々根性のある奴だな。気に入ったぜ、彼女候補だ!」
ソルケットは氷のモリをたくみに使いこなし、サメの攻撃をさばく。テレスは魔力を纏わせた拳を幾度も叩き込んでいく。テレスの属性は風。拳で触れた瞬間にサメの体内へと魔力を流し込み、集中的な風魔法を発動させる。直径5センチ程度の球の範囲で巻き起こる暴風は、サメの体組織を破壊していく。
「しかし、これだけデカいと効いているのか分からんな…」
サメの全長は25メートル程度あるだろうか。この口を開き、生徒たちの方へ突っ込めば、それだけで数人は食われるだろう。
ソルケット、テレスの2人は沖側に引き付けながらサメにダメージを与えていく。
身体中にキズがつき、そろそろ逃げるだろうと思った時だった。
「っ!」
「しまった!」
サメはその場でのたうち回り、丘の生徒たちがいる方へ向かってしまった。ソルケットはすぐさま追おうと魔力を放出する。
「氷の足場作っちまえば...!」
「バカもの!私を殺す気か!」
「んな事言ってもよ!!」
2人が言い争っている間もサメは浅瀬へと向かっていく。
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あーれ...?サメこっち来てね?どうやら2人は失敗してしまったらしい。しまったなぁ...カノンこっちに置いとくんだった。心配して来てくれた彼に大丈夫だから、避難誘導を手伝っておいてと言ったばっかりにこの場には俺1人である。
相手の大サメはキズだらけ。相手取るのは簡単なように思える。だが、今の俺は本調子ではない上、非常にやる気がない。おきない。なのでトドメは今も急いでサメを追っている2人に任せるとする。
俺は今出せる魔力を右手に集中させ、サメへと構える。そしてサメとの距離が3メートルを切ったタイミングで全力で圧縮した炎弾をサメに向けて放つ。
どれだけ圧縮しようと火は火だ。水の中で使ってもすぐにかき消されるだろう。だが、俺の全力の魔力、それを極限まで圧縮したあの炎弾なら、サメに当たるぐらいなら耐えられる。
口付近に当たった炎は弾け、一瞬その場を灼熱の空間にする。炎をくらったサメは怯み、その場に急停止した。俺との距離は50センチ程。俺は水の抵抗をくらいながらも全力で拳をサメの鼻頭に叩き込んだ。勢いでサメは反転する。
混乱したサメはそのまま死神たちの元へ一直線。
「「これで...終わりだァァァァ!!!」」
氷槍と風拳のつきを顔面の両側からくらったサメはそのまま動かなくなった。
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