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ノアの方舟  作者: 望月真昼
盗賊団編
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アルタ・ラグナロク その1

6話


「さあ! 始まりました。全覧試合3回戦第5試合! 今全覧試合初の二つ名持ち《グランド》同士の試合です!」

司会の演説に煽られ、会場千人以上の観客の注目が一身に集まる。

無様は見せられない。せめて拮抗した試合のように見せないと。吐き気を催してきた。緊張する。

「二つ名持ち第七位、万能の魔女マジックキャスターオズ・カンザス! 現存する第三位階以下の魔法をすべて扱うことが出来るという噂は本当か!?」

大体はね。

「お待たせしました。大花形、二つ名持ち第四位、我らの敬愛する最優の王(アーサー)、アーサー」

司会はこの場のノリを壊さないためアーサーと呼び捨てにした後、少しして様と小さく付け加えた。それにしても二つ名それ自体が自身の名前なんていつ聞いても恥ずかしい。

観客が大熱狂に包まれる。比喩抜きで温度が2,3度ほど上がった。私の時と随分テンションが違うじゃないかなんていじける気持ちも沸かない。ここまでアウェイだとね。その証拠に掲示板に表示される彼のオッズは1.02倍。私のはというと、辞めておこう。

私達は開戦の握手をし、三歩後ずさる。

「お互い思い人に格好悪い姿は見せられないね」

「?」

直後、地形が変化し、相手の姿も視認できなくなる。

「今回は市街地か。良かった。開けた場所なら勝ち目はなかった」

ただの闘技場が、市街地に化ける。市街地以外にも砂漠に、森といろいろなステージが存在する。結界術の心象を利用しているとか。私は特殊な結界術に関してはペーペーなのでよく知らない。

対戦相手の彼がこの闘技場の設計に大きく関わっているらしい。つまり、まだ地の利は彼にあるということだ。

同調(アクセス・リンク)

取り敢えず、長期戦に持ち込ませなければ。私に勝利はない。

私は魔術師であるので、見通しの良い建物から固定砲台に務めよう。

ただ、それは相手にも分かっていることだ。移動しながら、そして目につきやすい場所は避けよう。

ここでいいか。条件にあった場所を陣取る。すると、幸運にもアーサーの姿を視認できた。そもそもとして、隠れる気がないな。

なら遠慮なく、デカいのを決めてやろう。詠唱を開始して少しして、アーサーと目が合う。次の瞬間、眩いばかりの光の粒子が彼から私に放たれる。

「一撃で気取られるなよ! 下手くそ」

回避はできない。結界しかないな。

「受けきれたけど、見失った!」

加えて建物が粉々だ。粉塵であたりが良く見えない。

「旋風・つむじ風」

辺りの粉塵を払い、視界が開ける。位置がバレた。そして彼の位置は分からない。立場が逆転してしまった。

「早いとこ移動しないと。っ、またレーザー。芸がないな! 鎌鼬」

芸がないと悪態突きつつも相殺するのがやっと。

「そうでもない。№38厄災のレーヴァテイン

「もういっちょ!」

レーザーは後ろから曲射していたのか。して、炎系の攻撃。

私の体は頑丈には出来ていない。掠るだけでもジ・エンドだ。

咄嗟の判断で炎を相殺するのでなく、軌道を逸らし、炎の力も利用し、地面を陥没させる。土埃が舞う。入り組んだ下水に逃げ込んで仕切り直しだ。この距離ならギリ逃げ切れる。いったん仕切り直しだ。

それにしても38番でこの攻撃力。アーサーの先頭スタイルは自身で作成した100の魔法具(調整しただけのものも含む)を扱うというものだ。番号の若い方がよく手入れされていて強力。

「良く策を練り、会心の一撃を試みよ。そうでなければ、僕としても実力を示せず不都合だ」


二つ名持ち(グランド)は王都の学校で上位7名の実力者に与えられる冠位。それらの激突する試合はラグナロクとも呼称される。

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