敗北の少年
18話
「困ったことをおっしゃいますね」
「そこをどうにか頼むよ」
ピットがギルドの受付の女性と少しばかり揉めている。
受付の女性は困惑と驚きの表情を隠せない。
「そんな愛らしいお団子さん二つ見せられても困ります」
ギルドの受付のカウンターの高さは当然、大人用であり、なんならがたいの良い人が多くを占めるので一般と比べても高い。
故に己とメヌは背伸びをしてひょっこり、カウンターに生首だけを乗せる。
ゆっくりしていってね。
「Aランク冒険者には実力が確かな連れを飛ばしでランク申請できる権限がある。そうでしょ?」
「限度がありますよね。ここは家族連れで冷やかしに来る場所ではないです。だいたいその子たち何歳ですか?」
「「10っちゃい」」
己とメヌは息を合わせていった。メヌの方を見やると、にやりと笑って見せた。これでいいんでしょと。流石メヌ、伊達に長い付き合いをしていない。
「おとといどうぞ~」
己とメヌのちょけで本格的にあしらうモードに入った受付嬢はしっしと帰れのジェスチャー。
「僕、暴龍討伐の出涸らしの方二人の息子で~す」
「嘘……というわけでは無さそうですね。澄んだ青い髪に瞳。ウェイト家の色濃い特徴と合致している」
あえて出涸らしと誇張してみせてもピットは反応なしか。
「それならそうと最初から言ってくれればよいものを、感じ悪いですね」
この受付嬢なかなか好みだぞ。冒険者の聖地で受付嬢やっているからか、貴族に対してもラフで、肝が据わっている。
「いいでしょう。本来はこういうことはあまりしないのですが、軽く誰かと模擬戦でもして、その実力が確かならば、彼の提案を受けましょう。お三方、それでいいですか?」
お願いしますと頷いた。
それにしても模擬戦の相手か、ずらりとギルド内を見渡しても見ても一目で強そうだと感じる奴はいない。実力を測る試験である以上、ある程度相手もしっかりしている者がよい。相手の理想としては接近戦のできるがたいの良いやつ。近接戦も出来ることを示して、一番の懸念の脆そうという評価を壊しに行くのが良いだろう。
そう考え、がたいのいいやつ、いいやつとあたりを見渡してみると、右肩に手を置かれ、声をかけられる。
「ノアは適当なやつぶっ倒して恥かかせるのと、ボクにぶっ倒されて恥かかされるのどっちがいい?」
「ああ?」
彼の挑発にピクリと眉が動く。奴の目的は分かっている。己とやりあいたいのだ。見え見えの挑発、ちょうど良い機会だ。
「債権者相手に生意気な口を利くな、ルンペン野郎。テメー、しちょーせい確定だぜ」
「絶対言われると思った!」
ピットはしゅんと肩を下す。
思わぬ形で試合が決定した。
知力
知力とは知恵と知識、二つを指す。
最高峰評価のSは単に頭が切れるというだけでは得られない。
誰も理解できない、または知らない特別な知識を持ち得なければならない。
例えばこの世全ての一般魔法の理論体得、または天性の魔道具作成能力。




