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エピローグ

引っ越しは完了し、森の中に隠された研究所の近くに、これまた森の中に隠された彰達の新居ができた。

研究所からは徒歩5分で、彰はもっぱら歩いて通勤している。

4月の初めに入所してからというもの、彰は研究所員達にめざましい結果を出させ続けた。

あの頃はしなかったが、一々細かいことまで指示をして間違った道へ行かないようにと導いた結果、その時研究所でやっていたレベルの研究ならさっさと結論を導き出させることができたのだ。

新たな目標を与え、またそれに向けてやるようにと的確に指示する彰は、すぐに研究所員達に受け入れられた。

それどころか、その噂を聞き付けた他の研究所の研究者達からも、多くの手紙を受け取って、面倒が増えていた。

そっちは放置していて問題ないと、彰はホッと一息ついていた。

そこへ、クリスがやって来た。

「ジョン。治験の準備は整いました。」と、書類を手渡した。「今回は山で。山の洋館です。」

彰は、頷いた。

「また熊にやられたら面倒なので、もう窓はアクリルに代えさせたよ。間に合ったか。」

クリスは、頷く。

「あの頃よりは、山道も崩れていないので幅があってトラックも難なく入れたようですね。あの時はヘリで運ぶよりなかったですから。何しろ山ですから。」

彰は、息をついた。

「全く…祖父もあんな所に洋館など買って放置しているとはと最初は思ったが、前世も今生も役に立つので良かったと思っているのだ。どうやら、金に困って売るに売れなかった友の持ち物だったようで。」

クリスは、頷く。

「あそこが一番治験には良いですからね。この一月、防音処理からカメラの設置から、準備に忙しかったですが、何とか間に合ってホッとしています。博正は?」

彰は、頷く。

「あいつならウキウキと走って帰って行ったよ。今回は君と私の治験の場だし、博正までとなると管理が大変だから先に土日で人狼化させたが、もうデータは取らなくて良いだろうとか言って。あまりにも適応が早いので所員達が驚いていたがね。」

クリスは、ため息をついた。

「まあ、博正は待ち望んでいましたしね。どうせ卒業したらここへ来るのでしょう。所員達は、真司のことも半信半疑でしたから、あれで一気に真司に興味を持って大騒ぎです。博正がダメなら、真司だとサンプルを取るのに忙しくしていました。ちなみにステファンのことはまだ話していません。」

彰は、息をついた。

「ステファンは、また後で良いかと。少なからず若返っているし、またそれで大騒ぎになるだろうから、ある程度経ってからで良いだろう。また不老不死だと言い出す奴が出て来るかもしれない。なので、これで良いのだよ。」

クリスは、神妙な顔で頷く。

「はい。それより先にやらねばならないことがありますから。」

彰は、頷いた。

「そうだな。先に健康寿命を伸ばす事を我々はやらねばならない。いくら不老でも、病には勝てない。まずは、理不尽に体の不調と戦う人類を助けることが先決だ。そのためには、できた薬を使ってやる、治験。」と、書類に目を落とした。「賞金1000万か。面白いな。どんなゲームを見せてくれるのか、見物だよ。私も久しぶりに、参加しても良いぐらいだがなあ。」


賞金1000万円。

人狼ゲームをして勝ち残れば与えられる。

負ければ、罰金100万円か、無理ならそれ相応の対価。

人を集めた真司によると、皆金に困っているようだ。

負けた時に100万を支払う者は、先に支払っておき勝てば返すシステムだが、誰一人として振り込んでは来なかった。

つまりは、勝つつもりで保険など要らないのだろう。

…対価が命であったらどうするつもりなのだろうな?

彰は、暗い笑みを浮かべた。

誰一人として殺すつもりはないが、それでも目の前で人が死ぬとどう考えが変わるのか見物だった。

あの、24時間の薬はできている。

彰もクリスも試してみたが、良好だった。

次は、一般人への治験だ。

「…本当に楽しみだ。」

彰は、呟くように言った。




この後、本当は死なない人狼シリーズ3が開始されます。

明日から始まりますので、よろしくお願いします。23.6/28

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