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2022年3月15日

 俺ら夫婦恒例の生竜温泉七福。小倉に帰り着いたのは15時。自宅近くのファミマでコーヒータイムして帰宅。だんごが居た。俺が出したカリカリ餌を食っていた。


 息子、オートバックスにミラージュのタイヤを交換するつもりで行ったが、槙本(俺が現役のとき糞MBで働いていた後輩)に車検まで持つと太鼓判。オートバックスに注文していたハスラーのオレンジのタッチペン、ちゃんに金払わせた代わりに車、拭き上げてやる。

16時過ぎ、まず、きよのちゃんがやって来た。

「猫じい、だんご居たぁ?」

「おう、30分前そこでカリカリ食いよったけん居るって思うけどな」

 ステファニーは居たっていうか、さっきまで俺の膝の上で寛いでいたから。

「あいちゃんとかなえちゃんは?」と俺。

「かなえちゃんは来ないと思う」と、気乗りしない返事。

「また何かあったんか?」

 きよのちゃん、敵愾心剥き出しに、「あいつぅ!」


 あいちゃん、ランドセルのままやってきた、「何あいちゃんまだ家帰ってないんか?」

「家の鍵がな~い」と言っていたあいちゃん、兄ちゃんのしぶが俺の家の横を通る。すかさず寄って行って、「マリア(きよのちゃんのこと)しぶに開けて貰う」

 俺は、「何、あいちゃんは家の鍵持たんの?」

「うん」とあいちゃん。


 戻って来たあいちゃん、車の中からお菓子を取り出そうとして、「あれっ猫じいマリアの袋ともう一つ袋があるよ」

「おう、それ昨日急遽かなえとゃんの分を揃えに行って作ったんじゃ。ばってこんな状況じょどうしようもねぁな。もう一日待って買いに行けば良かったわ」と俺。

 きよのちゃん、「もう猫じいって人が良いんだから。あんな奴なんだからあいつのことなんて放って置けば良かったのに」

 あいちゃん袋を開けて、嬉々として、「じゃぁこれうちとマリアと猫じいで山分けね」

「うわっちゃ〜めっちゃ高そうやな」と漏らした俺に、きよのちゃん、「えっ、どういうこと?」

「ほら俺病気食ろうとるやないか、そいでカロリー高そうやなって。あいちゃん俺、エリーゼの北海道練乳二本でいいわ」


 あいちゃん、暫く後部座席でごそごそしていたが、「♪左のぽっけはうちのお菓子♪右のぽっけはマリアのお菓子♪」と、覗いて見ると、あっちゃぁ、二人にドリンクホルダー占領されてしまっている。今まで右リヤのドリンクホルダーには別府弁天池の名水を入れた500ミリペットボトルを差していたが、変更せざるを得ない。


 ステファニー、きよのちゃんの膝の上で気持ち良さそうだったが、いつもの如く、飽きたらぷいとどこかへ行ってしまった。野良猫だから気紛れだ。仕方ない。


 天気、めっちゃ良い。間違いなく春だ。あと10日もしたら桜が咲き出すのではないか。暖かい陽射しを浴びて、コンクリート地の駐車場の突端に、北側からきよのちゃん、あいちゃん、俺と座っている。あいちゃん、かわいくおならの二連発。

 きよのちゃん、「あいちゃんが屁ぇこいたぁ」

 あいちゃん、悪びれもせず、「あっすっきり!」

「猫じいはうちとマリアの屁ぇ、どっちを嗅きたい」とか問うてくるあいちゃん。かわいい二人のこと、別に屁ぇくらいいくらでも嗅いでやるわ、と言ってやりたいところだが、ここはウィットを効かせて、「ステの屁ぇなら嗅いでもいいな」

 あいちゃん、「ステって屁ぇこくの?」

 きよのちゃんと俺、「知らん!」


「ねぇ猫じいこっちに来てみてぇ」と、あいちゃん俺を風呂小屋の前に呼ぶ。

「どうしたん?」と俺。

「このサッシいつも開いてるよね。うち、ここ通るときいつも思ってたんだぁ。泥棒が入り易くて危ないって。ほら」と、風呂釜を囲むコンクリートフロックに足を掛けて実践してみせる。

「まぁそうなや。ばってもし泥棒に入ったとして何を盗っていくかやな。預金通帳とか現金は嫁が肌身離さず持っとるし、金目のもので持ち出し易いっていうたらパソコンくらいのものやな」

「ばって俺と知り合う前あいちゃんそう頻繁にここ通っとったかいな?」

 あいちゃん、「通ってたよ」

「そうか…う〜ん、俺昼間ずっと車の中に居ったばって…確かに小学生の女の子、ここ通っとった気もせんではないなぁ」


 あいちゃん、「暇ぁ。ねぇマリアぁ、古着屋に行かない?」と投げ掛けながら、コンクリート地の駐車場に仰向けで寝そべる。きよのちゃんはその提案には答えず、空き家の廃棄された犬小屋の中にいるシロに餌をやろうとする。

 俺の家の北東側に、つい最近建ったタマホームの住宅があって、若夫婦が三世帯住んでいる。そこの真ん中の住人、子供が三人居るらしい。その小学校就学前の小さい子どもたち、歩いて俺の家の駐車場まで出て来た。さすがに大人である母親はここまで出てくるのは憚れるのだろう、後ろから子供たちに声を掛ける、「そっちは知らない人が居るから駄目よぉ」

『ちょっと失礼やな』とか頭を過ったが、今はあいちゃんときよのちゃんが俺の傍に居る。ただの怪しいジジイではないこと、証明されている。ざまぁ見さらせ。

 親がいけ好かない奴でもちっちゃい子供はかわいい。兄だろう男の子の後を妹だろう女の子が追って来る。俺ら、手を振ってやる。

 俺は笑いながら、「お前らのほんの十年前やな」


 二人、寛ぎの俺の車の後部座席でお菓子を物色する。

ちょっと大きな声できよのちゃん、「ねぇ猫じい」

「何か?」

「やっぱり聞いてなかった」

「あのおばさん、確か真ん中の家の人だよ。うちが猫を追い掛けて敷地に入ったら窓ガラスをどんどん叩いて早く出て行けっていう風にしたんだよ。真面ムカつく」

「何かそげなこときよのちゃんにあのブタ(初めて近くて見たが太っていた)やったんか!高が昨日今日この町内に住み始めた奴らのくせによ。俺を怒らせたら怖いぜ。追い出したる」を語気を強める。きよのちゃん、溜飲が下がったようだ。


 あいちゃん、俯せで上半身を上げて、「マリアぁ、猫じい現金百万円持ってるらしいよ。来年、うちらの卒業祝い頂戴」

 俺は、「えっあいちゃん、来年?」

「あっ間違った。卒業は今年だ」

 俺は、「そりゃぁお前らの小学校卒業っていう大イベントや。祝ってやってお金包みたいのはやまやまやが、お前らの本当の爺ちゃんでもねぇ俺が金とかやったらお前らの親御さん俺に良い印象は持たんのやないか?」

 きよのちゃん、「猫じいの言い分一理ある、けどお金欲しい」

「なんじゃそれ。ちゃっかりしとるな」と俺は呆れるゼスチャー。


 まだ、17時半過ぎたくらいだが、きよのちゃん、「今日は早く帰る」

 あいちゃんも、「ならうちも帰るね、猫じい」

「ああまたなぁ」

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