あの日の後
「もういいかい?」
始まりの言葉はありふれた遊びの合図だったと思う。
私たちの遊びの合図。
普通のかくれんぼと何も変わらない物の……はずだった。
私たち、姉妹は一度行方不明になってしまった。
見つかったのは私だけ。
おねえちゃんは未だに見つからない。
でも大丈夫。
今は沢山の人や動物が一緒に『探して』くれているから。
それに……。
もうすぐ会えるはずだから……ね。
「くっそ!! そこ!! 気を抜くな!! 死にてえのか!?」
私達が住んでいた世界は変わってしまった。
「があああああああ!!!」
悲鳴と鉄砲の音が鳴り引く狂気の世界へと。
「止まるな!! 止まるなあああああああ!!!!」
私一人だけが生き残った『あの日』の記憶がずっと叫んでいる。
妹を残して隠れ続けてしまったあの叫びが耳から離れない。
あの音が……。
あの声が……。
あの姿が……。
あの日の全てがずっと私の心を隠してしまった。
「くそ!!! もう持ちこたえ……!? 後っ!?」
だから……。
これは……。
きっと神様からの罰なんだと思う。
「お゛ね゛え゛ち゛ゃ゛ん゛、み゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛つ゛け゛た゛」
最後に見た妹は……。
---体の全てが崩れ落ちていた---