ワープしまくった話 中国
1章 ワープ
朝、目が覚めた。まどから光がさし、あたたかい。
「早くおきないと学校ちこくするわよ」
下から母さんの大きい声が聞こえる。まだ眠く、ふらつきながら小さな、ほそいかいだんをおりていく。まん中らへんまできたときだ。
「うわっ」
足がすべった。そして何か大きな音がした。しかいがせまくなっていく。頭をぶつけたようだ。
「大じょうぶ?」
また大きな声がきこえる。同時にドタバタという足音がきこえる。だが、音がどんどん小さくなり何もみえなくなった、と、思ったらしかいも広がって青空が見えた。同時に音も聞こえるようになった。
「何だここ?」
そう言ってから頭をおさえたが、いたくもない。
「死んだのかな?」
「いや、たぶんちがう」
そういって自問自答する。それから、ハッとなってまわりをみわたす。ザワザワしている。地図がある。中国。しんよう?
「は?」
「どうなってるの?」
大きな声で叫んだ。すると周りのしせんが自分に集中する。
「すすすみすみますみません」
メチャクチャかみまくってやっとはずかしながらも声が出た。しせんは、もどっていく。何で言葉が通じてるのかな?
いつも以上に頭が働いてるのが分かる。考えていた時ポケットから何かがおちた。八十一もととかいたコインだ。げんかな?
千二百九十六円がない。何か買おうとしていれといたやつだ。千二百九十六が八十一になった。
へった……のかな?
とにかく何も理解できてないことが多すぎる。パジャマも私服になった。
「ブッブー」
「何?」
バスが急ブレーキしながら止まった。
何で? ……そうか、ここ路上だ。
気付いたときは、もうおそい。次のバスがきた。
「ドガッ」
はげしい音とともに何も見えなくなりきこえなくなった、と思ったらまた見えるようになった。まただ、次は路上じゃない。
二章 またかよ!
「またかよ」
次は人の多い所へきた。さっきよく分からない字がよめたから言葉も通じるかな?
「すみません、ここってどこですか?」
通りかかった人にたずねてみる。意外にも通じたらしい。
「ここ? へんなことをきくもんだな。 ここは中国の北京の万里の長城だよ」
そう言いながら自分のうしろをさす。
ふりかえると、大きなかべがたっている。本ものだ。ここには書いてないが、ずいぶんまえに本か何かで見た所だ。
「いちど見てみたかったんだよなぁ。ゆめみたいだ」
そう言いながら、二歩のぼると、
「ツルッ」
「足がすべった」
「ドガッ」
また何も見えなくなった。そして何もきこえなくなった。
三章 西安
また目が覚めた。そして、いたくない。
「次はどこだ?」
あたりを見る。何だろう。博物館みたいだ。何か変な物がある。石みたいな人の形?
「うわっ」
分かったぞ。これは、兵馬俑だ。つまり、西安にいるってことだ。
「何だろう。観光してるみたいだ。なんだか楽しい」
そして、博物館を見てまわろうと立ち上がったとき、足元がふらついて、
「ガタン」
はげしい音とともにたおれた。上を見上げると、兵馬俑がふらついている。たおれるときにあたったんだろう。まだふらついている。最後に、
「ガタン」と音がなり、ふらつきがおさまった。
「よかった」
そう言った矢先んひこしの部分にヒビが入った。そしてついに、
「ガコッ」
われて、たおれてきた。
「バコンッ」
頭に直げきしたようだ。一瞬でしかいがくらくなり、何もきこえなくなってしまった。
四章 上海
どんどんしかいがあかるくなり、音もきこえるようになった。そして、周りを見まわす。パンダだ。クマもいる。ここテレビで見た所だ。たしか、上海動物園だ。
「スゴイ」
パンダの本物なんて生まれてはじめてだ。とってもこうふんしている。
「え? ここしいく室なんじゃ」
横をパンダが通る。木の下にいる。見上げたしゅんかん、パンダがおちてきた。やわらかい毛につつまれて、いつもと同じことがおこった。
五章 天津
ここは? とても大きく、屋外だ。かんらんしゃに……川? 天津之眼? そして暗い夜だ。ライトアップされてる。動いてもいいのか? 人は少ない。よし、決めた。動こう。
「一歩……二歩……三歩……四歩……五歩……」
と声を合わせて進んでいる。五歩まできても何もおこらない。
「だいじょうぶだ。多分」
とりあえずかんらんしゃにのってみる。どんどん上がっていく。そして下りてきた。お金は、81元でおつりが出た。多分たりたんだろう。そのつぎは、足こぎボートにのった。ユラユラゆれてとても気持ちわるい。なんとか陸にたどりついた。同じく今のお金でおつりがでた。
「どうやってかえろう?」
そう口にだし考えた。やっぱり、失神しないとダメかな? そう、今まで失神して、ワープしてるのだ。
「どうしよう?」
六章 帰る
こまったものだ。考えても考えても分からない。それでもう一度かんらんしゃにのろうとしてはしをわたろうとした時だった。
「ツルッ」
「バコン」
すべったようだ。いつもと同じことがおこった気ずいたら自分のベッドの上でねていた。そして横でお母さんが泣いている。
「どうしたの?」
声をかけると自分の方を向いて、おどろいたような顔をした。
「かえってきたの?」
そう言うなり自分をだきしめて、こう言った。
「心配したんだよ。どこにいってたの?」
どうやらゆめじゃないみたいだ。
終わり