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002 なぜ異世界に?

今をさかのぼる数週間前こと。

リュージは自営のバイク便の倉庫にいた。

バイク便の、荷物は基本的には会社で受け取り、別の会社に運ぶだけなので、倉庫はあまり必要ない。

しかし、倉庫としてスケルトン状態で借りる方が安いのと、事務所としてもその倉庫の一角を使うことができるたため、ここを借りることになった。

事務所以外の倉庫の空間はもっぱらバイク置き場としている。


もともと、古い建物の地下を利用した倉庫のため、非常に不気味だ。

その為、本来の相場よりかなり安く借りることができている。


取り壊しや改築の話が出るたびに、事故が起こったり、極たまにだが、行方不明になる人もいるらしく、訳あり物件として扱われていたものだから、借りるものもおらず、余計に安く借りれている。


「辛気臭いな。広くて便利だけど、薄暗いし奥の方はなんかぼやっとしててよく見えないな」

そう言いつつ、リュージは自前のバイクを修理し終わると、バイクのエンジンをかける。


「いい音だ。排気量が1000CCもあるのに嫌味がない。調整すればきちんと応えてくれる。名車だ。」


リュージはうっとりとして愛車を眺める。

その時だ、バイクのタラップが、地面にめり込みバイクがこけそうになった。

慌てて支えようとする。

思わず勢い余って、バイクのアクセル部分を握ってしまい、暴走させてしまった。

倉庫の奥の方に突っ込んでしまった。


「イッテェ…、やっちまったよ。バイク無事かな?」


バイクを見ると、横倒しにはなっているが、どうやら、無事そうだ。


「バイクは無事か、良かった良かった。」


そして、リュージは辺りを見回す。


「ん?なんだ、あれは?」


倉庫の壁の奥に、今まで気にもしなかったところに 人ひとりぐらい入れそうな穴がある。


「バイクで突っ込んだ時に穴が開いちまったか。マジーな。保障金から引かれるかな。今までこの奥はなぜか、行く気にならなかったから、来なかったけど、マジやべーな。」


「リュージさん、どうしたんすか?、何かあったスカ?」


「ジロー、いいところにきたな。ちょっとこっちきてくれ。倉庫の壁に穴開けちまったようだ。一緒に見てくんねーか?」


ジローは今、土木関係の仕事に付いていて、ビルの基礎を作ったり、人がいない時は監督したりと、叩き上げの作業員だ。


「任してください。リュージさんのためなら、何でもやらせてもらいます。穴が開いたのなら、現場捨ててでも、最優先で、なおさせていただきます。」


ジローは、昔、敵対していた奴らに袋にあっていた時に、俺がたまたま、居合わせて助けたことがあり、以来、俺のことを兄貴として慕ってくれている。


「ありがてぇ、頼むわ。」


ジローが穴のあり辺りを探る。

俺も一緒に見に行く。

覗き込むと、中は奥深そうで、薄っすらと明かりがあるようで、単なる壁の穴ではないようだ。


「なんじゃこら? 穴じゃなくて、洞窟? なんかの遺跡か?」


「リュージさん、取り敢えず中の様子を見てみましょう。」


ジローは恐れげもなく、ドンドン中に入って行く。

俺も一緒に入って行く。

まぁ、2人とも、そこそこ 体力があり、喧嘩も強く、腕には自信があったので、何かあっても切り抜けられると思っていた。

奥にドンドン進んでいくと、何か薄らぼんやりと光る部屋にたどり着いた。

そして、部屋の中には、棚のようなものがあり、無数の薄っすら光る玉が置いてあった。


「何スカね。これ? なんか、薄く光っていて、こんなたくさんあるなんて。」


「わからんな。見たこともないわ。」


ふと、リュージは沢山ある玉の中に、白くはっきりと輝く玉を見つける。


「アァ、なんか、これだけ、めっちゃ光っているな。」


俺は思わず、めっちゃ光っている玉を手に取ってみた。

すると、不思議なことに、光はうすくなり、驚いたことに、手の中にスッーと入っていった。


「なんじゃこら〜〜?」


「リュージさん、自分、ヤバイっす。なんか玉が、体ん中に入ってしまいました。」


2人して、同じようなことをしていたらしい。


「おぉ〜、むぅ〜、えっ?何も無いな。何だったんだ?」


「リュージさん、大丈夫スカ? 体に異常ありませんか。」


「今んところ、特に何も無いな。ジロー、お前は?」


「大丈夫っす。御心配頂きありがとうございます。」


「何だったんだろうな。」


「あっ、リュージさん、ヤバイっす。入り口が無くなっています。」


ジローが言った通り、先程入ってきた入り口が、最初からなかった様に、壁になっている。


「やべーな。なんか、盗ったと思われて、セキュリティか何か起動したのかもしれないな。」


「リュージさん、あっちに別の入り口らしき穴があります。」


辺りを見回して見たが、そこ以外で出入りできるところはなさそうだ。


「仕方ない。そこしかないなら、いくしかないな。」


「先に見てきやすね。」


「いや、おめえに何かあってもいけないから、2人で行こう。」


「わかりやした。」


そう言って、ジローとともに穴をくぐる。

くぐった先は、入ってきた時と同じ様な薄暗い廊下の様な通路。

しばらく歩く。


「あっリュージさん、奥にまた、少し明るい光が見えやす。出口かもしれません。」


言われた方を見ると、たしかに少し明るい。


「あそこに向かうか」


2人は明るい方向に向かう。


「ん?んん?おかしいな?」


リュージは違和感を覚えた。

歩いていると、体に何か変化を感じた。

ジローはあまり感じていないようだが、何か変だとは思っている様子だ。


「リュージさん、入り口見えてきました。えぇー、リュージさん、何か背伸びてませんか? って、全体的に細くなってますよ。」


言われたリュージの方もジローを見る。


「ジロー、おめえ、背が縮んでいるぞ。ちょっと筋肉質になったな。どうしたんだ?」


2人して、お互いの体の変化に驚き合う。


「明るい方にいって確認するか…。」


そういってジローとともに、出口?と思われる明るい方向に行く。

また、何か違和感を覚える。

出口に向かいながら、まるで別世界に行くために、適応できる体を作るために、肉体改造をされているような感覚を覚える。


「まさかな、ありえないだろ」


やがて、明るい出口をくぐると、そこは元いた倉庫に出た。

いや、違った。

そこは倉庫は倉庫だが、別の倉庫だった。

同じ倉庫なら、まず、バイクがなければならない。

そして、元の倉庫ならもっと薄暗くて、広い。

ここは、明るくて、狭い。

明らかに違う。

そして、2人がくぐってきた穴はいつのまにか消えている。

一方通行だったようだ。

そして、くぐってきた穴の反対側に、また別の穴が開いていた。


「ジロー、嫌な予感がするんだけど、おめえはどうだ?」


「リュージさん、自分はリュージさんがいれば、どこであろうと大丈夫と思っていますので、今、ワクワクしています。 最近、真面目に仕事していたので、喧嘩していませんし、バイクも転がしていないので、退屈でした。」


何となく、ジローの答えを予測していたので、やっぱりか。と思ってしまった。


「まぁ、一方通行で、あっちしか、行けないなら、あっちの穴をくぐるしかないか。行くぞ、ジロー。」


「ヘイ。わかりやした。」


いちいち、時代がかった言い方をするジローに一瞥をくれて歩き出す。

穴をくぐる。

瞬間、目がくらむほど、眩い光に包まる。

思わず、目を瞑ってしまった。



高次元の存在:

「ん?今なんか反応があった気かする。気のせいかな。まぁ、今は100年に1回のスキル小屋の換気をしているだけだし、生命体避けの結界も張っているから、気のせいだな」

高次元の存在は再び、他ごとに没頭する。

転スラ面白いねぇ。

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