表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
268/280

秘策、敗北。


 宮園唯華の眠りは、彼女にとっての救いであるはずだ。

 自殺まがいを幇助し、あまつさえその罪悪感で死にたくさえなっている俺には、そうで合ってほしいという願望が多分にあった。

 眠りは救いで、こんなところでこうしていることが彼女にとっての安寧だと、そうであれと。

 俺がなぜ川上や他の連中に手を貸す形で宮園を起こそうとしなかったのかといえば、それはそこ、自殺未遂を犯すに至る事由が理由の大部分を占めるのだが、それに関してはこの際、この先も話すことはない。

 他人のプライバシーを守るのは、ひととして当然の責任だ。

 あれこれといろいろ考えさせられた今回だったけれど、こんなご大層なところに連れてこられても、俺にはできることなんて何もないことは明白だった。

 不老不死、タイムマシーン、次元移動、人体拡張。

 どれもこれもSFだ。

 どいつもこいつも言ってることがめちゃくちゃな、ともすれば異常者に見えなくもなかった。

 夢のまた夢。絵に描いた餅を、必死につかもうとしているようにしか、俺には見えなかった。

 そうとも。

 俺にはここの人たちの言ってること、やってることは1ピコメートルも理解の範疇になかった。

 だからもう帰る。

 ここにいたって何にもならないんだから、さっさと帰って現実を送ろう。

 ここでのことはさっさと忘れて日常を取り戻すのだ。

 やることやって、さっさと帰宅だ。

 悩んだ結果を実践に移して、俺は結末を見ずに先に進む。

 今までと同じ、その場しのぎ。逃げの一手というやつだ。そのためには俺は結果を待っていられない。俺にできることをやって、やったらさっさととんずらだ。

 先輩あたりも流石に察してくれるだろう。

 

 つまり。


「あの、すいません……。ここ、どこですか?」


 宮園唯華についてのラボは、これにて解体ということになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ