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BASS☆MASTERZ  作者: 江戸川維新07
第2話
8/21

作戦会議

 AM6:00


『お待たせしました! それでは芦ナ湖エキシビションタッグマッチトーナメント、スタートです!』


 アナウンスの掛け声と共に、40艇はあろうかというボートが一斉に湖上へと繰り出した。ボートにはそれぞれ二人組の選手が乗っており、一人が運転、一人はポイント(釣りをする場所)の指示をだしている。各チームお目当てのポイントへ着くと、早速竿を振りルアーを投げ始めた。

 一方その頃、スタート地点では体を震わせて怒りを表現するタカシと、ボートの運転席でコーヒーを飲む大介の姿があった。


「おい! シスコン兄貴! もうみんな行っちまったぞ! 俺らも早く出ねえと、先越されんぞ! いいのかよ!」


「少し黙れ、生意気なガキ! 俺らみたいなプロがペアリングしてるチームは、一般参加者より30分遅れてからスタートだ。ほれ、オレンジジュースでもやるから、飲んで待っとけ」


 大介はタカシに向かって缶のオレンジジュースを投げた。

 そのジュースを体制を崩しながらもなんとかキャッチしたタカシだったが。


「いらねえよ! なんだよそのルール! あんたはプロだとしても、俺は釣りなんてやった事ねえんだぞ! このままじゃ負けちまうじゃねえか!」


「ほう。釣りをバカにしてたらしいが、割とやる気はあるみたいだな」


 タカシは、はっと我に返る。


「そ、そんなんじゃねえよ。ただ、負けるのが嫌なだけだ......」


「ははは。素直になれよ、少年! まあ、この間にちょっとしたレクチャーでもするか」


 そう言うと、大介はボートの荷物入れから一本の竿を取り出し、タカシに手渡した。


「なんだこれ? 竿か?」


「そうだ。今日はそのタックルをお前に貸してやる」


「はあ? タックル? ってなんだ?」


「おいおい、そんな事もわかんねえのか! タックルってのはな、バス釣りをする為の道具をひとまとめにした言い方だ。ちなみに全部名前がついてて、その竿の事をロッド、糸が巻いてあるのがリール。糸の事をライン、そしてその先についてるのがルアーだ」


「へえ、このフサフサな針金がルアーなのか」


 タカシは竿先についている、針金の様な物を手に取った。


「それはスピナーベイトと言って、ハードルアーに分類される。ハードルアーってのは、硬いプラスチックなんかで作られたルアーの総称だ。逆にソフトルアーってのもあって、ワームって言うブニャブニャした柔らかい素材でできたルアーもある」


 大介はルアーボックス(ルアーを入れる箱)を取り出すと、ワームをとってタカシに見せた。


「へえー、色々あるんだな」


「ちなみに、今日のトーナメントではそのソフトルアーは使用禁止だ」


「そ、そうなのか。ソフトルアーが使えないと何が困るんだ?」


「バスってのはな、生き物なんだ。それぞれの個体にそれぞれの個性があり、好き嫌いも分かれる。そこに気温や水温、季節なんかの自然の要素が加わると、当然魚の狙い方も変えていかなければならない」


「へえ。難しいんだな」


「当たり前だ! ハードルアーには見向きもしない奴が、ソフトルアーに変わった途端入れ食いになる事もある。まあ、逆も考えられるがな。まとめると、ソフトルアーが使えないって事は、魚を釣る為の方法が限定されて、その分釣りにくくなるっていう事だ」


「なんだよそれ! 初めての大会にしてはすげえハードルが高い気が......」


『それでは、トッププロチームもそろそろスタートのお時間です!』


 スタート地点に大きなアナウンスが流れる。


「おっと、そろそろスタートだな。続きはポイントについてからだ」


「え? おい! ちょっと待......」


『スタートです!』


 タカシの話を遮るようにスタートの合図が切られる。


「掴まっとけ! 飛ばすぞ!」


 タカシの返答を聞く前に、大介はすごいスピードでボートを発進させる。


「うわああああ! 待てってえええ!」

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