表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BASS☆MASTERZ  作者: 江戸川維新07
第1話
6/21

芦ナ湖

 日曜日、AM5:30



「ここが芦ナ湖か......」


 タカシの目の前には広大な湖が広がっていた。

 既に周りは明るく、うっすらと霧が立ち込める芦ナ湖のボート乗り場。既に会場は多くの人やボートで溢れかえっていた。


「あいつ遅すぎる! 何やってんだか......あ! 来た!」


 ぼーっと立っているタカシを見つけたレイは、急いでタカシの元へ向かう。


「何してたのよ! 全く! もう開会式始まっちゃうわよ! これが公式戦だったら、ペナルティなんだから!」


「ご、ごめん!」


 会場の雰囲気を察し、さすがに悪いと感じたのか、タカシは素直に謝った。


「まあ、いいわ。さっさと受付して、開会式に参加しなさい!」


 そう言うと、レイはタカシの手を引っ張って受付所へと向かう。


「すいませ〜ん! 遅れてきちゃって! まだ、参加受付って間に合いますか?」


「大丈夫だよ! あれ? 君は青井君の妹さんじゃないかい? 兄妹で参加とは、さすがJBエリート5だねえ」


 受付のおじさんは感心したように言った。


「いいえ、違います! 参加するのはコイツ!」


 レイはタカシの背中を叩き、おじさんの前に突き出した。


「君? 見ない顔だね〜。NBC戦績はどのくらいだい?」


 すると、タカシより先にレイが喋り始める。


「おじさん! コイツ、今日が初めてなんです! エキシビションだから、別に素人が参加しても大丈夫ですよね?」


「おい、その参加って何だよ! 俺は別に大会に出るとは言ってねえぞ!」


 タカシは不満そうにそう言った。しかし、


「はあ? 何バカなこと言ってんのよ! ここに来た時点で、大会に参加しますって言ってるようなもんでしょ! わかったら、黙って受付する!」


 レイの気迫に押されて、タカシは渋々受付用紙に名前を書く。


「初めてかあ。いいねえ、若いってのは。プロとペアになるなんていい思い出だ!」


「違げえんだよ! おっちゃん! 俺はな......」


「はいはい、変なこと言ってないで受付が済んだらすぐに開会式よ!」


 なんとか受付を済ませたタカシは、レイに引っ張られて開会式の行われるステージへと向かった。既にステージの周りには多くの人だかりができていて、みんなまだかまだかと待ちわびていた。

 そんな人だかりから少し離れたところで、二人は開会式を見る事にしたのだが......


「おい! なんだよ参加って! 俺は何にも持ってきてねえぞ!」


「いいのよ! お兄ちゃんのお下がりをあんたに貸すから」


「はあ? なんだよそれ! 俺はまだ釣りを始めるとは言ってねえんだぞ!」


「うるさいわねぇ! とにかく、一度だけでもプロの試合を見てみないことには、あんたも決断できないでしょ?」


「それは......そうだけどよ......」


 レイに反論できなくなったタカシは、そのまま黙ってしまった。しかし、そのおかげかタカシの耳に開会式のアナウンスが聞こえ始める。



『さあ、遂にこの日がやって参りました! 芦ナ湖、スペシャルエキシビションタッグトーナメント! 各NBCチャプターで活躍するアマチュアトーナメンターの方から、普段は陸っぱり一筋のチャリンコバサーまで! たくさんの方にお集まりいただき、誠に光栄です! 本日はスペシャルゲストとして、日本のバストーナメント最高峰で活躍するこの3人にお集まりいただきましたああああ!』


「「「「待ってたぞおおおおおおお! うおおおおおお!」」」



「なんだ? すげえ盛り上がり方だな。有名人でも来るのか?」


 タカシは会場の気迫に押されて小声でレイに聞く。


「今の日本のバストーナメントの第一線で活躍する人達よ。もしもあんたがアメリカに行きたいなら、あの人達を倒していかないとね」


「......ゴクリ」


 タカシは、緊張した眼差しでステージを見上げた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ