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3話 明かされる自分の能力

 俺はトイレさんの後ろについて歩きながら、改めて周りをよく見渡した。周りを歩いている人はみんな剣などの何かしらの武器を持っていた。

 人――というか獣人らしき人やエルフらしき人もいるから人という言い方はすこし違うのかな?

 そしてもう一つとても不思議なことに気がついた。自分の視界の左上で何かが視界とともに動いている。

 いや、これは動いているわけではなく俺の視界の中に固定されている……?

 どうやらそのようだ。

 それにこれはなんだ? 文字か……?

 ここに来てはじめに思った違和感はこれか。

 聞いてみるか。


「あのー。トイ……オテアライさん! この視界の左上に書いてあるこれは何?」

「あ、オテアライでいいよ。というかそれに今まで生きてきて疑問持たなかったのか?」

「いや、だから異世界から来たから……っても信じてくれないんだったな。まぁ、とりあえず教えてくれ」

「そこに書かれてるのは自分の名前だよ」

「何のためにだ?」

「知らねー」


 そういえば名前! あのクソ堕天使最後の決めぜりふっぽい時に俺の名前をあさりって言ったよな?

 なんだかとても嫌な予感がするんだが……。


「あ、そういえば名前とか自分の情報を人に見せる的なことできたな。 そのために書かれてるのかな?」

「え? そんなこと出来るのか!? どうやるんだ!」

「どうした? そんなに食いついて。見せるのは簡単だけどレベルとかステイタスとかそんなことまでばれるんだぞ? パーティー内で見せるのはよくある話だけど、俺みたいに今日会ったばかりのやつに見せると危ないぞ?」

「大丈夫だ! おまえには俺の情報を共有するような仲間なんていない。さぁ、早く教えろ!」

「確かに俺はソロだよ? でもそんな言い方されると仲間のいないかわいそうなやつみたいじゃないか! だいたいそこまで言うなら自分で読めよ!」

「だから字が読めないんだよ!!!」

「あ、なんかすいません……」

「哀れむな! 虚しくなるだろ! 早く教えろ!」

「はいはい――――ほんとに良いのか?」

「くどい!」

「うっ……教えるって言ってもなー。ただ教えたい相手に自分の情報を見せるってイメージするだけなんだがな」

「イメージする……」


 イメージなんて言われてもどうすれば良いんだ? 自分の情報といってもこの世界の自分がどんなだか分からないからな……。

 しょうがない、元の世界と自分が変わってないと願おう。

 相手に自分の情報を、相手に自分の情報を――――――こんな感じか?


「おっ! きたきた!」

「うまくいったか」

「じゃあ読ませてもらうぞ?」

「どうぞ」

「えー、名前は……カイハラ アサリ…………変わった名前だな」

「やっぱそうなってたか! 本当の名前は貝原有沙かいはらありさだ!」

「アリサ……女みたいな名前だな! で、なんて呼べば良いんだ?」

「おまえぶっ殺すぞ! あー、もう! 好きなように呼べ!」

「じゃあ、アリサで」

「好きにしろ。それより続きを読め!」

「レベルは1……!? え? その歳で1レベ!? 低すぎだろ!」

「うるせぇーよ! レベルがあるなんて初めて知ったんだよ!」

「もしかしてモンスター倒したことない?」

「だから異世界から来た……あー、もうこの下りはいい! 早く続き読め!」

「はいはい。ステイタスは……………!?」

「おい、どうした?」

「力156……耐久121……敏捷238……!? 知能389!? 魔力5…………おまえ人間か?」

「え? その数値異常なのか?」

「当たり前だろ! 何だよこのチートステイタス! 力も耐久も敏捷も俺が10レベの時とあんまり変わらないぞ! 知能に関しては今の俺より高いぞ! モンスター倒してないからレベルは上がってないにしても、レベルアップのボーナスもなしにどうやってこんなに上げたんだよ! だいたいモンスターと戦わないでどうやって耐久あげるんだよ?」


 そんなことを言われてもな。自分のステイタスがそんなに高いとは知らなかった。

 モンスターと戦ってる世界で驚かれるほどだ、前の世界で敵がいないわけだ……。

 でも、力・敏捷・知能が高いのは理解できるとして、耐久は確かに何でだろう? ここで言う耐久が、自分の受けた物理的ダメージの量・大きさによって変わる物だとすると……うーん、でも分からんな。

 格闘技をやってたといっても攻撃をまともに食らったことなんてないし……物理的ダメージ、物理的ダメージ――――あ、そういえば一つあったな死んじゃうほどのダメージ受けたこと。

 そのせいでこの世界に来たというのに忘れてしまっていた。

 トラックにひかれる――確かにこれはものすごいダメージだったであろう。まぁ、実際それで死んでんですから? それはそうなんでしょうけど? 確かにそれを入れれば耐久の数値にも少し納得がいく。

 でも、それまでもがステイタスに反映されたとは驚いたな。

 そういえば、あまりにしょぼい数値で気がつかなかったけど「魔力5」ってこれだけ極端に低いよな。前にいた世界では魔力的要素がなかったからこれが初期ステイタスってことかな?

 まぁ、何でもいいんだがこの数値でなにが変わってくるのだろうか?


「いろいろあったんだよ。そんなことよりこの数値について説明してくれないか?」

「いろいろって……まぁいい。えーっと、まずは力だな。力はその名の通りその人のもつ筋力的な力の大きさを表している。その大きさ次第で身につける防具や武器が決まってくる。おまえの数値だと片手剣ソードくらいはもてるな。防具は鎧とかはまだ少しきつそうだけど軽装ならだいたい何でもいけるぞ!」


 持てる装備とかいわれてもどうせ何も買えないんだよなー。

 こいつからもらえたり出来ないかな……?


「ほう、じゃあ後でおまえの使ってないのもらうな」

「え? なんでそうなったの?」

「だって俺、金がないんだもん。どうせ一個や二個ぐらい予備持ってんだろ?」

「確かにたくさんあるけどさ……」

「それにこのTシャツ欲しいんだろ?」

「うっ……しょうがないか。分かった噴水広場のあと一度うちによろう」


 おぉー! Tシャツがこんなことで使えるとはな。

 この人チョロそうだからまだまだ聞き出せるな!


「ありがとう。それじゃあ他のことについても教えてくれ」

「じゃあ、次は耐久だな。これは、物理的ダメージと魔法ダメージへの自分の耐久値のことだな。これが高ければ高いほどモンスターとかから攻撃されたときに受けるダメージが減る」

「耐久を上げるためには攻撃をくらわなければいけないけど、数値が低いと受けるダメージもでかいということか――――始めは大変そうだな」

「まぁ、そうなるな――――それで、次の敏捷は自分がどれだけ速く動けるかという数値だ。おまえの敏捷だと中級モンスタークラスの雑魚ぐらいまでならついて行けるだろ。そして、おまえが異常に高い知能。これは簡単に言えばその人の頭の良さを表してる数値だ。これはあげることが難しくて最も上がりにくいステータスと言われている。俺もレベルアップのボーナスぐらいでしかほとんどあげれていない。これが高いとより難しい魔法が覚えられるんだが、魔法をメインで戦えるほどの魔法が覚えられるまで知能を上げるのは大変だから魔法使いはほとんどいない。おまえは知能が高いから魔法使いを考えてみるのもいいんじゃないかと思ったんだが、魔力ひくすぎて今は無理だな」

「なるほどな。知能が高かろうが低かろうが魔法使いにはなる気はないけど、強い魔法が使えるに越したことはないよな。それと魔力ってなんだ? これがないと魔法使えないって、MP的な物か?」

「MP……? ちょっとよく分からんけど、魔力っていうのは魔法を撃つために必要な燃料的な物だよ。この数値が多ければ多いほど、多く、そして強力な魔法が撃てるってこと」

「そうかMPと言う方はしないんだな――――――つまり俺は強い魔法は覚えられても撃てないってことか」

「まぁ、正確には一発しか撃てないかな?」

「どういうことだ?」

「つまり、どんなに魔力が低くてもたくさん撃てないだけで一発なら撃てるってこと」

「おー、それは便利だな! じゃあ、今の俺でもモンスター一体相手になら一撃必殺的な使い方が出来るってことか。でも、一つ謎なんだが、魔法の威力はなにで決まるんだ?」

「単純にその魔法の使用回数というべきかな? 同じ魔法を使えば使うだけ魔法の威力は上がっていく、でもそれとともに使う魔力量も増えていく。あと、これは感覚的のところが大きいのだけれど、実は魔法は使うときに威力を調節することが出来て、その調節によって使う魔力量が変わる。だから、魔法をうまく使うにはそのときに応じて威力を考えてうまく調節できるかどうかが鍵になってくるんだよ。まぁ、なんにせよ魔法を戦闘でうまく使おうと思ったら実際に何回も使っていくしかないってことだねー。」

「魔力は魔法使ってたら上がるのか?」

「そうそう、撃ってたらだんだん上がってくるよ!」

「ふーん、でも魔法が使えなきゃ意味がないんだよな? というか、魔法ってどうやって覚えるんだ?」

「一つは、魔道書を読むこと。知能さえ高ければ誰でも読むだけで魔法を覚えることが出来る。しかも、普通のモンスターは倒せれるかなという魔法の魔道書は図書館とかにもおいてあるから、まずはこの方法で好きな魔法を覚えてみるのがいいと思う。」

「今は字が読めないから教えてもらってからだな。それと、今の言い方だと図書館には置いてないだけで強力な魔法の魔道書も存在するってことか?」

「あぁ、その通りなんだが……」


 なんかテンションが下がったぞ。何か言いたくないような理由でもあるのか? 国がらみのことか? だとしたら、独裁政治をする国王がしそうなこと……だったら――――


「あー、なるほど。国が持ってるんだな? 国民からあんなに嫌われてる王様だ、反乱の対策してないわけがない。どうせ強力な魔法で自分がやられてしまわないように自分で独り占めしてるんだろ? それで、モンスターの討伐用にモンスターが倒せる程度の魔法の魔道書は図書館に置いていって、知能の事情であまり強力な魔法を覚えるなんてことが頭に無い国民は、強力な魔法を覚えることをあきらめ、国も国民からの恐怖が去るということだな。ここからは俺が王だったらすることだけど、その独り占めしてるやつを国王軍の上の階級の奴らだけに見えるようにするんだよ。そしたら、知能の高く強力な魔法に興味があるやつがどんどん軍に入ってきて王のために働く。それに、国民の反乱があっても圧倒的な魔法でねじ伏せられる。これで国王にとってはいいことずくめだな! どうだ? こんな感じなんじゃないか?」

「その知能は伊達じゃないな。おまえのいったことすべてあってる。もうなにも言うことがない」


 当たったみたいだ。ただ刀狩りを自分なりにアレンジしてみただけだったんだが……。

 だが、今のでここの国王――ドンタコスだっけ? こいつがただの馬鹿ってわけでもないってことが分かったな。それと国民が王を嫌う理由がまた分かった気がする……。

 ほんと大変だなこの国。


「でもさ、さっき普通のモンスターなら倒せる魔法っていったけど、もし剣とその魔法ごときじゃ歯が立たないモンスターと対面したらどうすればいいんだ?」

「逃げる」

「了解」

「じゃあ、二つ目だな。これはさっきより難易度が上がるんだが、人から教えてもらうことが出来る」

「え? さっきより簡単そうに聞こえるけど?」

「うーん、正確に言うと見て覚えることが出来るってことなんだが……。これがそう簡単ではないんだよ。この方法には知能の問題はもちろんあるんだけど、ここに才能というどうしようもないものが入ってきちゃうんだよ。」

「才能!? 人によって覚えられる人と覚えられない人がいるってこと?」


 魔法の調節の仕方といいこの世界ちょくちょく雑なところあるな。


「まぁ、そうなるな。一回で覚えられる人もいれば何回も見てやっと覚えられる人も、もしくは何回見ても覚えられない人もいる。それに魔法によってもこれが変わってくる。そのせいで、あんまりこの覚え方にチャレンジする人がいないんだよ。どうしても時間の無駄になることがおおいからね」

「確かに難しそうだが、逆にこのやり方なら強力な魔法が魔道書なしで覚えられるってことだろ?」

「それは確かにそうなんだが、それも実際はほぼ不可能だ。そもそも強力な魔法を撃てる人と覚えられるほどの知能の人が少ないし、そんな魔法は一日に撃てる量が限られてくるからいつになったら覚えられるか分からない。だからやろうとする人もいなくて使える人もどんどん減っていく。悪循環だね」


 確かにそれもそうか。

 いつ覚えられるか、そもそも覚えられるどうかさえ分からないことに時間をかけている暇があったら、少しでもレベルを上げようと考えるのが普通だ。


「なるほどな-。確かに難しそうだな。でも試してみる価値はありそうだな!」

「あとで俺の好きな魔法見せてやるよ」

「ほんとか!? サンキュー! 他には覚え方はないのか?」

「無いこともないが不可能だと思う」

「え? 何で?」

「魔法を自分で作る」

「は?」

「だから自分で魔法を作るんだよ!」

「いや、どうやって?」

「そんなこと聞かれても知るか! 人間ではまだ作れないから不可能なんだよ!」

「人間では?」

「もともと魔法は魔族から伝わってきた、だから魔族なら作れるとされている」

「魔族? モンスターじゃなくて?」

「その辺のことを話しているとまた長くなりそうだからまた調べてくれ」


 しょうがない、文字を習ったら図書館でその辺のことあさるか。


「分かった。それで、もう終わりか?」

「ステイタスと魔法についてはだいたいこんなところだ……」

「ん? まだなんかあるのか?」

「おまえのスキルが二つあることとそのスキルがまた…………」

「スキル? なにそれ?」

「えー、スキルってのは、その人に生まれつきついている常時発動型の魔法みたいな物と考てくれればいい」

「魔力消費がないってことかな?」

「さすが、その通りだ。それでそのスキルなんだがまず約半分の人は持ってないんだ」


 うわ、理不尽だなそれ。

 生まれたときにスキル持ってなかった人どんな気持ちなんだろ……。


「スキル持ちは勝ち組ということか」

「言い方ひどいがそういうことにもなる。それで、おまえのようなスキル二個持ちはすごく珍しい。俺もあまり聞いたことがない。それだけで充分に驚けるんだがそのスキルがまた……」


 なんだ、俺そんなにすごいのか? 退屈な世界が嫌でこの世界来たのに強すぎて退屈するなんてことないよな……。

 それと、さっきからトイレさんの言い方がとても引っかかる。

 とても嫌な予感がしますね……。


「え? なんなの?」

「例えばね、俺のスキルは敵感知っていう自分に害のあるものの接近に気がつくってものなんだけど」


 なんだこいつもスキル持ちか。

 しかもなかなか使えそうじゃないか。


「便利そうだな」

「それでおまえのスキルなんだが、一つ目が“神眼ゴッドアイ”って書いてあるんだが……」


 うわ、めっちゃ中二臭い名前だな。

 こういうのはだいたい強いか変なのかの二択なんだよな……。

 どっちもあまり欲しいとも思わんけど変なのは嫌だな。変なのだけは来んなよ……!


「なんだよ? なんか強そうじゃないか!」

「――――説明に、“見える!”としか書いてないんだよ……」


 …………。


「え? 見えるってなにが? なんか怖いんですけど」

「幽霊とか見えちゃうのかな?」

「怖いこと言わないで!」


 周り幽霊だらけとか落ち着いて寝られもしない。


「女性の下着が! なんてスキルかもよ?」

「それはそれで嫌です」


 幽霊より困る。

 町歩いてたら下着が! なんて目のやり場に困る。


「試してみよう! じゃあの人!」


 と、トイレさんは十メートルほど前を歩いているエルフのお姉さんを指さした。

 こちらの意見は無視ですか……。俺はそんなことには興味がないんだが……。

 でも、自分のスキルの解明はしておきたいんだよな。

 下着を見るのはダメだが、物をすかして何か見えるかどうかを調べるというのは悪くない考え方だ。

 下着以外で何か隠れている物――――あ、靴下にしよう! 靴下なら誤って下着の方に目が行くことはないし、問題ないな。

 試してみるか。

 そして、俺はそのエルフのはいていたブーツの中に意識を向けた。

 ――――――見えた!


「――――赤――――――」


 しまった! つい、口に出してしまった。


「赤!? 赤だとぉぉ!!! 見た目はあんなにおしとやかで美しいというのに、中は情熱的!!! あぁ! 素晴らしい!」


 やっぱり聞こえてしまっていたか。

 でも、お姉さんには悪いが、こちらとしては少し好都合だ。実は下着じゃなくて靴下見ました、なんてことを言ったらまた面倒くさそうだ。

 どう勘違いしたかは知りたくないがこのまま放っておこう。

 でも、このスキルは使いようによってはすごい役に立ちそうだ。

 すると突然、赤という言葉だけで一人興奮している変態が輝く目でこちらを見て言った。


「なあアリサ! あの人の胸の大きさは分からないのか!」

「おまえ、目的を見失ってるぞ!」

「いや、もしかしたら目に見えてる物の情報的な物まで見えるかもしれない!」

「可能性はないでもないが――でも、それって見えるって言うのか?」

「いいか? これは実験だ! 気に病むことなどない!」


 実験って――人で勝手に実験とか問題だろ……。

 胸のサイズみるだけでも嫌なのに、そんな言われ方すると余計に嫌になる。なんか犯罪行為をしてるみたいだ。

 いや、してるのか……。

 この辺で手を引いておこう。まだ、ぎりぎりセーフだ。

 あいつの言ってることも試してみたいものだが、こんなやり方はやめておこう。


「嫌だ。俺はそんなことで試したくない! だいたいそんなこと、自分の目でだいたいの大きさ推測してればいいだろ!」

「そんなー、だってそこに美しい胸があるんだぜ? 正確な大きさ知りたいと思うだろ!」

「思わん」

「くっ…………じゃあこの胸見てみろよ! これを見てなんとも思わないのか!」


 そういってトイレさんは隣を歩いていた獣人の女の子を指さした。声が大きかったためその子も気がついてこちらを向いて照れている。

 そんな大声で隣にいた女の子を指さしたため、俺もそっちを向いてしまった。

 その獣人の女の子は背が150センチほどしかなく隣にいるその子を見るには、身長が160後半の俺は上から見下ろすような形になってしまった。

 そして、そのときに大きく胸元のあいた、露出度の高い軽装をしていた彼女の谷間に目がとまってしまった。

 見たかったわけではない、だが角度的に目に入ってしまったのだ。意識したつもりはない、でも俺も男だ、少し気にしてしまったのかもしれない。

 そのとき頭の中に一つのアルファベットが浮かんだ――――――


「――――A――――――」


 またやってしまった……。

 隣で獣人の女の子が羞恥に顔を染め手を振りあげていた。


「あっ――――ぐはっっ!」


 パチンと言う大きな音が鳴り響き、俺は地面に倒れ、彼女は走り去っていった。

 やってしまった……。今回のは俺にも非がある。

 謝りたいところだが、起き上がったときにはすでに彼女の姿は見えなくなっていた。

 新たな発見はあったが、生まれて初めてこんなことしたかもしれない……。

 そんな俺の隣で一連の流れを見ていたトイレさんはにこにこしながら言ってきた。


「災難だったねー!」

「おまえ殺すぞ」

「ごめんごめん。君が口に出しちゃうからさ」

「そこは俺が悪かった」

「まぁ、君のスキルがとても興味深い物だって分かったからよかったじゃないか!」

「それはそうだが――ほっぺが痛い…………。」

「それとやっぱり貧乳最高!」

「…………」


 やはりそうだったのか……。

 さっきのエルフといい、獣人の女の子といい、そんな人ばっかり気にしてると思ったら……。

 こいつ貧乳好きかロリコンだな。あまり深く関わるとまた同じような被害に遭うかもしれない。

 気をつけなければ……。

 そういえば、俺ってスキル二つ持ちだったよな? まだ二つ目が何か聞いてなかったな。


「やはりなー、あの膨らみかけたあれが」

「知るか!それより二つ目のスキルに書いてあること教えてくれ!」

「おまえは貧乳の素晴らしさを分かっていない! 貧乳はだな――」

「あー、もう! うるさい! 興味ねぇよ! さっさと教えろ!」

「そんな言い方ないだろー」

「悪かったな! いいから教えろ」

「はいはい分かったよ。えーっと、“超感覚ハイセンス”って書いてあるな」

超感覚ハイセンス? なんて説明書いてある?」

「えーと、“見るんじゃない!感じろ!”だって……」

「…………」


 どうしよう、また変なのきましたよ?

 さっきもそうだが説明が適当すぎるだろ……。感じろとか言われても、なにをだよ?

 だいたい、見るんじゃない! って神眼ゴッドアイと相性最悪じゃん!

 見えるのと見てはいけないのって――――どうやって使うんだろ……。


「なぁ、トイ……オテアライ、こんな変なスキルあるのか?」

「スキルは人それぞれ違うらしいけど――正直、こんな変なスキル初めて聞いたよ」

「うー、トイ……オテアライでも知らないか……」

「あの、一ついいか? さっきから俺の名前の時なんでかむんだ?」

「なぁ、気にしたら負けって言葉知ってるか?」

「それがどうした?」

「つまりそういうことだよ」

「いや、全然答えになってないから!」

「お、噴水広場とやらに着いたんじゃないのか?」

「ねぇ、ちょっと! 話聞いてます!?」


 ◇◆◇◆TO BE CONTINUED◇◆◇◆

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