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2話 Hello異世界……

「――――――っ……はっ!」


 意識が戻った。

 俺は平らに整えられた石畳の上に立っていた。

 そして、周りを見渡して驚いた。

 窓淵が木でできているレンガ造りの家、左右に並ぶいろいろな店、そして、長い耳や猫の耳がはえている異種族!

 何でだろう、見えるものすべてがなんか変な感じがする。空気も口では表せないが何かが違う。

 あー、でもこれが異世界。俺本当に異世界に来たんだ……。

 ここから俺の第二の人生、しかも違う新しい世界――なんだかとてもわくわくしてきた。

 わくわく……この感じ、最後に感じたのはいつだっただろうか? とても久しぶりな感じだ。

 小5の運動会のリレーで前の人が転び、ビリでバトンが回ってきたとき以来だろうか?そういや、確かそのときも結局みんなごぼう抜きして一位になったんだっけ……。

 でも今回はそんなのとは違う気がする。そんな簡単にはいかないそんな気がする。言葉では上手く表せないが、直感がそう言っている気がする。これはそんなわくわくだ。

 喜び、興奮、いろんなものがこみ上げてくる。


 (あー、この世界に来てよかった……)


「うおぉぉぉぉぉぉぉっ! ハロー、異世界!」

「おい、うるせぇぞ兄ちゃん! 昼間っから道のど真ん中に突っ立って、酒でも入ってんのか?」

「あ、す…すいません! でも未成年なんで酒なんか入ってませんよ?」

「ミセイネン……? なんかよく分からんが、そんなところに突っ立ってたら通行の邪魔だ! ほら、いったいった!」


 俺は急いで道の端によけた。

 異世界に来て早々に怒られてしまった。

 それにしても、少し心配していたんだが、どうやら言語は日本語とそう変わらないみたいだな。

 でも、さっきのおっさん俺を見て酒飲み扱いしたし、未成年って言葉も知らないみたいだし、もしかしてこの世界ではこの歳でも酒が飲めるのか? まぁ、そんなことは追々分かるだろうし今はそんなことどうでもいい。それより言語が日本語だということは、これは文字も日本語ということか?

 そう思い少し期待を込めて、さっきよりもより念入りに周りを見渡した。そして、いくつかそれらしものは見つけたのだが――――。


「まぁ、そんなにいきなりうまくいきすぎてもつまらんか……」


 初めて見る文字で全く読むことができなかった。話せるだけましなのだが、読めないのはかなり痛い。

 俺は転送中の光に包まれている中、こちらの世界でまずやらなければいけないことをいくつか考えていた。それが武器の購入、宿の確保、そして情報収集だった。

 文字が読めないで困るのは情報収集だ。

 なんせ本が読めない!

 俺は図書館にでも行って本を読んでこの世界について知ろうと考えていた。まぁ、この世界に図書館みたいなところがあるかどうかも定かではないが、本ぐらいはあるだろう。 

 だがその本が読めないのならどうにもできない。

 よって情報収集は人に聞くか、どうにかしてここの文字を覚えるしかないということになるのだが……。

 何の情報もなく文字を覚えるなんてさすがに不可能だ。猿に本を与えて読めと言ってるようなものだ。

 それに誰かに聞くにしても、前の世界でいう日本語で日本語を教えてくださいとか、ここはどこですかとか聞いているようなものだ。親切な人はおしえてくれるかもしれないが、大半の人には気味悪がられるだけだろう……。

 異世界に来てからいきなり変人扱いだなんて嫌だ。おそらくこれは時間のかけて少しずつ知っていくしかないということなんだろう。

 この件はおいといてやれることからやることにしよう。そうすると次にやれることは武器の購入なので、早速この村で一番安いという剣を買いに行くとするか。

 でも、村で一番安い剣ってどんな剣なんだろうか? なんだか錆だらけの剣とかめちゃくちゃ切れ味の悪い剣とか出てきそうで怖いな……。

 そんなことを思いながら武器屋を探しに行こうと周りを見たときにまた一つあることに気がついた。


 (俺を見てる……?)


 なぜか横を通る人たちが俺をちらちら見ている気がするんだが。

 試しに少し歩いてみた。視線も俺を追ってきた。やはり見られているのは俺だ。しかもあの顔はあまりいいように思っていない顔だ。

 俺がなんかしたのか? それとも俺の顔がそんなに変なのか? いいや、そんなはずはないはずだ!

 そのときあの堕天使の嫌な笑いを思い出した。


「そんなことないよな!?」


 俺は近くの店のショーウィンドーにすかさず駆け寄った。


「ふぅ〜、いつもの顔だ」


 顔でもいじられているのかと思ったのだが、どうやら大丈夫みたいだ。

さすがにあいつでもそんな酷いことはしないか。

 そう安心しつつ、そのまま視線を下にしていき、気づいた。


「黄色いTシャツに黒文字…………」


 俺は黄色いTシャツを着ていた。そして、その上にこちらの言葉であろう黒い文字。

 このTシャツを誰にもらったかを考えるとここにどんなことが書いてあるかは予想ができた。

 いや、まてよ?確か、このTシャツをあいつが俺にくれたときあいつは「マジ天使Tシャツ」ではなく「マジTシャツ」で語り合った仲だの何だの言っていた。

 ということは、もしかしたらこれはマジTシャツはマジTシャツでも天使かどうかは分からないってことか!?

 マジ天使よりひどい言葉が書かれている可能性もあるということか……。

 じゃあ、さっきから見られてるのはここに書かれている文字のせいか?

 初めて人の視線が怖いと感じた。

 自分の分からないことで何かを言われている、思われていると知る、なるほどこういう感じなのか……。

 いじめとかでよくあった本人には言わず、陰で本人に分かるように何か言うというあれか。他人との関わりが少なく、もちろんいじめられたことなど無いが、いじめのたちの悪さというものが身をもって分かった気がする。

 確かにこんなことをやられたときにはその場から逃げたくなる。たかが悪口言われてるくらいで――――なんてことを思っていたが、確かにこれはつらいな。

 最悪だ。これをやって楽しんでるやつらの脳みそをのぞいてみたいな。

 この世界にはそんなことが起こっていないことを願いたい。

 そして、これをやらかしてくれた堕天使、これはあいつなりのサービスなのか、それともただの嫌がらせなのだろうか?

 どちらにせよ迷惑には変わりないな……。

 そんな異世界に来て早々の問題の多発で困り果てていたときに、後ろから可愛らしい声が聞こえた。


「わー! マジTシャツだ!」


 イヌのぬいぐるみらしきものを抱えた少女は言った。

 やはりそうか。

 このTシャツは思った通りマジTシャツらしい。ついでにこのTシャツのことについて、この少女にもう少し聞いてみよう。

 この子からは大人たちから感じる嫌な感じはなく、何というか純粋さを感じる。小さな子供を利用しているようで少し気が引けるが、きれい事ばかりを言ってられるような状況でもない。


「君はこのTシャツを知ってるの?」

「うん! マジTシャツはね、にまいしかないの!」

「え? そうなの!?」

「うん! タコス王がもってるの!」


 あのダサいTシャツがこの世界に二枚、しかも王がそれを持っているとは――驚きだな……。

 それも驚きなのだがもっと驚きなのは王の名だ。

 タコス王――――なんだそれは? ここはタコス王国だとかそんな名前だったりすんのか? 俺、嫌だよ? 転生先の異世界の国がそんなダサい名前なんて!

 せっかく来た異世界だ。なんかもっと、こう、異世界!!! って感じの名前がいい。

 一人でそんなことと葛藤していると表情に出ていたのかもしれない。それに気づいた少女がこちらを不思議そうに見ている。

 俺としたことが、あまりに衝撃的だったために少し取り乱してしまった。


「よく知ってるね! それに文字も読めるんだね!」

「すごいでしょー! おかあさんがおしえてくれたの!」


 読めるのだったらついでに聞いてしまおうか。ついついそんなことを思ってしまう。

 情けないな……。


「じゃあ、このTシャツには何と書いてあるでしょう!」

「マジいいこってかいてある! えへへ、すごいでしょう!!」

「わー、すごいすごい…………」


 よし、あのクソ堕天使殺す!

 ここに来てまでおちょくるのか? あいつの大事にしてたものみたいだったから、もしかしてあいつなりの優しさなのかと少し見直していたのだが、やはり俺が馬鹿だったみたいだ。

 あんなやつよりも目の前でにこにこしているこの子の方が何倍も天使に見えるぞ。

 ほんとこれぐらいの子が素直で一番かわいいな。つい、笑みがこぼれてしまう。

 でも、これ以上ここでこの子を引き留めていたら、俺が変なTシャツを着たロリコンみたいになってしまいそうだな。

 さっきから周りの目も少し殺気めいてきた気がする。どうにか早くここから離れなければ――――。

 そして最後にまた欲が出てしまった。


「お兄ちゃん、武器屋に用事があるの思い出したんだけど――武器屋の場所知ってるかな?」


 うわっ、かっこわる。自分より十歳ぐらい年下の女の子に道を尋ねる日が来るなんて……。今まで道を聞くことすらほとんどなかったというのに。未知の恐怖というのはここまで人を弱くするのか。

 あー、恥ずかしい。

 でもこのなれない感覚を少し嬉しいと思っちゃっている自分がいる。なんか自分がMみたいで嫌だな。

 そんなことを考えている俺とは裏腹に、少女はにこやかに道の反対側の店を指して言った。


「あそこだよー!」

「おー、すごいすごい! いろいろ教えてくれてありがとうね。お兄ちゃん助かったよ!」

「うん! おにいちゃんバイバイ!」

「バイバーイ」


 俺は少女に手を振りながら、少女の指さした店に向かって歩いた。

 こんな感じでよかったのだろうか? 少女もにこにこしながら手を振っているし問題はないだろう。

 それにしてもとても物知りな子がいて助かった。時々殺気めいた目まで向けてくる大人たちに道など聞けそうもない。そんなことしたときには腰にさしている剣や背中に背負っている大きな斧で体を真っ二つにされそうだ。

 来て早々死亡だなんて絶対に嫌だ。ゲームでいうところのまだチュートリアルも終わっていないような状態だ。チュートリアルで死ぬなんてクソゲーにならなくてよかった。

 そして周りの視線が気になる中、少女に教えてもらった武器屋に来た。中は薄暗く、ぱっと見た感じおいてある物もあまり高そうでなく安い剣もありそうだ。

 入って正面にはカウンターがあり、その向こうに背の低いひげを生やしたごついおっさんがいた。知ってる、これはゲームとかアニメでよく出てきたドワーフっていう種族だ。

 ほんとにいるんだな……。

 さっき獣人らしき人やエルフらしき人とも何人かすれ違ったから少し期待していたんだが、なんかやっぱ異世界だな。

 そんなことを考えていてついついそのドワーフであろう武器屋のおっさんをガン見してしまった。


「おい、小僧! 俺の顔になんかついてんのか?」


 このおっさんも他の人と同様に嫌そうにしている。

 へんなTシャツってだけでこんなに嫌そうにされるか普通?


「あ、すいません! 遠くから来たものであなたのような人に会ったことなくて」

「それは俺にけんか売ってんのか!」

「え? いや、俺はそんなこと全く思ってないですよ!?」


 今にも襲いかかってきそうな目の前のおっさんを必死になだめた。

 なんかまずいことを言ってしまっただろうか? 普通に受け答えしたつもりだったのだが、次からはもっと気をつけてしゃべろう。


「ちっ、まぁいい。で、何の用だ?」

「えーっと、このお金で買える剣をください!」


 そう言って俺はあの堕天使から受け取ったお金が入った小さな袋を手渡した。

 そしてまた怒鳴られた。


「こんなはした金で剣が買えるわけねーだろうが!」

「ご、ごめんなさい! でもこれで一番安い剣が買えるって言われてきたんです!」

「あー? どうせただの嫌がらせだろ? ふざけんじゃねーよ! 1000コスなんて宿で一泊できるかどうかもわかんねーよ!」

「えええ!? そうなんですか!?」


 くそ、またあの堕天使にやられた! 剣なしでどうやって魔物倒すんだよ! あいつほんとろくなことしないな。

 嘘までつきやがったのか?


「てめぇー、金がねーなら出て行け!」

「えー、いや、ちょっ、待って!」


 俺は無理矢理に店の外に押し出されそうになった。

 俺が出口の前でおっさんと格闘していると、一人の男が店内に入ってきた。


「どーしたんだよおっちゃん、随分ヒートアップしてんじゃん」


 背が高くイケメンで、耳の先がツンとしていて長い。

 おそらくエルフだろう。歳は俺より四つか五つ上ってところだろう。

 装備は軽装だが、腰の裏にさしている二つの剣はなかなか良さそうな物だ。


「おー、オテアライ! 聞いてくれよ、こいつがよ――――――」


 オテアライ!? 名前なのか!?

 この世界には未成年という言葉と同様、お手洗いという言葉も存在しないのかもしれないが、俺からしたらこの人はトイレさんということになる。この人、この名前で俺の世界に転生させられたらいじめられるな。

 でも、かなり信用されているようだ。

 さっきまできれていたドワーフのおっさんが、落ち着きを取り戻して今までの状況をまるで学生が友達に愚痴をこぼしているように話している。

 この青年は何者なんだろうか。


「――――――ってことなんだよ。どう思うよ!」

「うーん、まずおっちゃん、それだけであんなにきれるのはさすがに大人げない。」

「お、おう、すまなかった」

「それと、このお金でも剣が買えないわけじゃない」

「は? なに言ってんだよ、ここに置いてある剣じゃ安いのでも50000コスはするぞ?」

「いやいや、あるじゃないかこれが」


 そういってトイレさんが手に持ったのは木でできた剣だった。


「あのー……それは?」

「おー、これか?これは木剣(ウッドソード)だ。ちょうどおまえの持ってた額と同じ1000コスだぞ」

「――――。ちなみに使い道は? 魔物は倒せます?」

「魔物……あ、モンスターね。いやいや、倒せるわけないよ! 使えて子供の剣の練習だね」


 まだ、切れ味の悪い錆びた剣の方がよかった…………。

 あのクソ堕天使め――あきれすぎて何も言えない。

 でも、さすがにひどすぎるだろ。嘘はついていなかった、確かに剣だ、剣だけれども!

 さっきの言い方だと、今持っている金では子供のおもちゃしか買えないということだ。

 あーあ、俺これからどうすれば良いのかな?いきなり人生詰まりました。

 ついでにモンスターのこと魔物なんて言ってました。なんかちょっと恥ずかしいですね。

 あはははは…………。

 ほんとどうしよう。

 そう思ってると俺を見てトイレさんが口を開いた。


「それ、マジTシャツだよな? しかも新しいやつだろ? 王からもらったのか?」

「え? 王様から!? いやいやいや、そんなのあるわけないじゃないですか! お金の単位だって今初めて聞いたようなやつですよ? 王様に会ったことなんてあるわけないですよ!」

「お金の単位を初めて――――おまえどっから来たんだ?」

「異世界です」

「なかなか面白いやつだ。気に入った! おまえはつまり、なにも知らないんだろ? なら、俺がいろいろ教えてやるよ!」


 こいつ、俺が異世界から来たってこと絶対本気にしてないな。 まぁ、いきなりそんなこと言われて信じるやつもいないか。

 でも、良い機会だ、これにのっからない手はない。


「でもその代わり、そのTシャツをもらう。ダメか?」

「え? こんなのでいいんですか? 着る服がこれしかないので、服さえあればこんなTシャツ喜んであげますよ?」

「よし、交渉成立だな!」


 トイレさんはとても機嫌がよさそうにしていた。

 そんなにこのださいTシャツが欲しかったのだろうか? トイレさんの後ろで豆鉄砲でも食らったように驚いているおっさんも気になる。

 でも、情報収集とマジTシャツの恐怖という二つの問題が一気に解決するのはとてもおいしい。このTシャツもいざ手放すとなると嫌な思い出しかないが、周りの目といい謎の知名度といい、少し気になる。


「このTシャツってなんかあるんですか? なんか道歩いてるときも周りの人からすごい目で見られたんですけど」

「おまえ、そんなことも知らずに着てたのか?」

「え?」

「簡単に説明するぞ。この世界にマジTシャツは二枚あり、ウエストリバーチェル十世がそれを持っている」

「ん? タコス王が持ってるって聞いたんですが?」

「おまえ、そんなことは知ってるのに何で買い物できないんだよ……。ウエストリバーチェル十世、本名ウエストリバーチェル・ドンタコス。名前がドンタコスだから自分でタコス王とか言ってるってだけだよ。まぁ、王にはかわりないんだが」

「なるほど」

「話戻すぞ。それでそのTシャツは王が国王軍の最強の騎士と最強の魔法使いに送るんだよ」


 は?最強になってしまったらこんなださいTシャツ着なきゃいけないの!?

 国王軍には絶対入りたくないな……。目指す先が地獄とか誰が好んで選ぶかよ。

 でも、なるほどこれでやっと周りから見られていた理由が分かったな。


「それで同じ種類のTシャツを着てた俺は王様のイヌだとでも思われたと?」

「御名答。話の分かるやつで助かるな」

「でも、一つまだ疑問がある。いくらこのTシャツを着てて王様のイヌと思われても、あそこまで周りから嫌な目をされるか?」

「なるほど。おまえはよっぽど遠くから来たんだな。ここの王は国民から嫌われてんだよ」

「いや、だから俺は異世界からっ……まぁいい。嫌われてるって王様は国民から大量の税でも巻き上げてんのか?」

「おまえ、いい勘してるな。クエストの収入の40%が国にとられてんだよ」

「40!? よく分からないけど、消費税みたいに考えると国民が怒る理由も分かるな。それはいくら何でも取りすぎだ。で、王様はそれをなにに使ってんだ?」

「新たな国、タコス王国の建国」

「うん、怒っていい。というかクーデター起こそう」


 タコス王国が作られようとしているとは――そんなダサい国の建国だけは阻止しなければ。王様がこんなだと国民も苦労するよな。下手したら本当にそこら辺を歩いてる人から殺されてた可能性あったな……。

 ここの国王は頭の中がどうかしてる。マジTシャツ好きといい、頭のレベルはあのクソ堕天使といい勝負だな。


「やっぱりおまえもそう思うよな!」

「うん、俺が殺気のあふれた目で見られていた理由もよく分かった。でもおまえ、そんなTシャツを欲しいってなにに使うんだよ?」

「ちょっと、仕事の時に役に立つかなと……」

「どんな仕事してんだよ……」

「企業秘密でーす!」

「ふーん。まぁいい。それでいろいろ教えてくれるとは何を教えてくれるんだ?」

「話し方がずいぶん変わってきたな……。まぁ、その方が話しやすくて良いんだが――」

「あ、すまん。で?」

「で?って――そう言われてもなにが知りたいんだ」

「あー、そっか。えーと、この国の文字だろ? あとはこの国についての知ってないと生きていけないようなことだろ? あー、あとここでの金の稼ぎ方とかかな!」

「え……その歳で文字読めないの? というか今言ってたのって、つまりここで生きるにはどうすれば良いかってことだよね?」

「御名答。話の分かるやつで助かる」

「――何でそんなになにも知らないんだ?」

「いや、だから異世界から来たんだって!」

「あー、はいはい。まぁ、ここじゃなにもできないしとりあえず外出ようか」

「俺の言ってること信じてないよね! ねぇ! ねぇ!」

「おい、おっちゃん起きろー! よし、それじゃあとりあえず噴水広場まで行くか!」

「くっ……」


 俺とトイレさんは、俺がTシャツをあげると言ったのを聞いてから思考停止していた武器屋のおっさんを起こして、噴水広場というところに向かうことにした。



◇◆◇◆TO BE CONTINUED◇◆◇◆

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