この世はやっぱりボーイズラブアンドピース
はじめに、この物語は『つまり養ってくれるってことですか?』および『つまり末永く養ってくれるってことですか?』の続編になります。一応、それらを読んでいない初見の方にも配慮した内容になっておりますが、途中で訳の分からないことが書いてあったなら、それは過去にいろいろあったんだなと察してください。
前作、前々作のネタバレも含まれますが、この作品からの人でも歓迎してます。でも、前作、前々作を読んだ方が分かりやすいです。
初見の人のための人物紹介
塩入凪沙 腐った女子高生。とある事情により、Mr.XというペンネームでBLエロ同人を描いて町に散布している。
ニート 凪沙の部屋に寄生するニート。一応、前作、前々作では主役だった。本名は萩山レンジ(覚えなくていいです)
月宮カグヤ 凪沙の友人であり、ニートの彼女。最近まで健全な女子高生であったが、凪沙の手によって腐り果てた。今では全身腐った腐女子。
私の部屋にはニートが住まう。
やつは私の同い年の異性の男で、そいつは私の部屋に居ついている。
これはそんな彼とのラブラブ同棲物語…などではない。断じてない。
事の発端は数ヶ月ほど前、この私、塩入凪沙がやつを拾って来たのが始まりだ。
最初は少し泊めてあげるだけのはずだったが…そのまま居座られて今の状況に陥ってる。
本当は他にも色々な経緯があったのだが…それはさておき、このニートは居候のくせに図々しい。
凪沙「ニート、たまには私もベッドで寝たいんだが?」
ニート「それはお客様であるこの俺に床で寝ろって言ってるのか?礼儀がなってないな」
凪沙「誰がお客様だ!?この穀潰しが!!」
私のベッドは完全に占領されてるし、部屋の物は我が物顔で使うし、あとデリカシーにもかけてるし…こんなやつを無償で泊めてあげてる私ってマジで寛大だと思う。
そういうわけで、これは決してラブラブ同棲物語などではない。
この物語は私に住まう寄生虫との戦いの物語である。
やつの名はニートこと萩山レンジ。
若干16歳にしてニートの真髄を極めた真の穀潰し。
町を丸ごと一つ他人に養わせるほどの寄生力の持ち主だ。
初見の人には何を言ってるか訳が分からないと思うが、とにかくものすごくニートであることを理解しておいて欲しい。
性格は先ほど言った通り、図々しくてズボラでデリカシーのかけらもない。おまけにワガママだ。
昼間からベッドの上で私の漫画を読み漁って気が向いたら寝る生活を繰り返す寄生虫だ。
そんな特に取り柄もないニートのくせにこいつには彼女がいる。
しかも彼女が可愛いのでムカつく、ニートだけ爆発すればいいのに。
本当のことを言うと、ニートはニートなりに良いところもあるのだが…癪なので紹介してやらん。
そうそう、初見の人のために私のことも説明しておこう。
私の名は塩入凪沙、腐女子、以上。私を語るのにそれ以上の言葉は必要ない。
一応、補足として述べておくと、自分でBLエロ同人を描くほどには腐っている。
実はこれは趣味と実益を兼ねた大事な活動なのだが…これにも深い訳がある。
話すと長くなるので、初見の人は私がMr.Xというペンネームでこの町の治安維持のためにBLエロ同人を描いてる正義のヒーローとだけ理解しておいて欲しい。
…いや、何を言ってるのか分からないとは思うが、それが事実なので仕方がないのだ。詳しくは前作を読め。
そういうわけで、今日も私は平和のためにBLエロ同人を描いている。断っておくが、平和のためだ。決して私欲のためなどではない。そう、平和のために仕方なく描いてるだけなのだ。ちょっと口からよだれ垂れてるけど、これも平和のためなのだ。
凪沙「ふへ、ふへへへへ…」
思わず変な声が漏れてしまったが、これも平和のためなのだ。
凪沙「ふへへへへ…いやぁ、心が痛いなぁ…平和のためとはいえ、知り合いをネタにBLエロ同人を描くのは…ふへへへへ」
ニート「口から私欲がダダ漏れだぞ、偽善者が」
凪沙「いやぁ、我ながら素晴らしいことだよね。だってBLエロ同人を描くだけでこの町が平和になるんだからさ。BLエロ同人は世界を平和にするって証明されたんだよ?」
ニート「世界平和は言い過ぎだろ」
凪沙「もう兵器なんてバカらしいもの作るのはやめて、そのお金でBLエロ同人を作った方が世の中平和になると思うんだよね」
ニート「嫌な世界平和だなぁ…」
凪沙「やっぱり世の中はBOYS LOVE AND PEACEだよね」
ニート「それは子孫繁栄できなくなって死滅するだろ」
凪沙「そのためのクローン技術だろ。もう女はオスを産むための機会で十分だ」
ニート「その発言は物議をかもすのでNG」
凪沙「平和のためなら私は喜んで人を生む糧となろう」
そう、あくまで平和のためなのだ。決して趣味などではない。…いや、だから平和のためなんだって、ふへへへへへ…。
そうそう、初見の人のために私達の住んでいる町のことも話しておこう。
この町の名は兎歩町、つい先日までは普通の住宅街であったが、数ヶ月前に人から人に感染する非常に危険な感染病の感染者がこの町に逃げ込んだ。
そのせいでこの町は政府によってこの町の通行は封鎖され、情報は遮断されることになった。
そして…
カグヤ「Mr.Xの新作BLエロ同人見たよ、あの二人の絶妙な仕草や距離間に思わず妊娠しました。二人の子は私が産みます。サインください」
彼女がその病気の感染者の一人である月宮カグヤ、私の友人だ。
彼女を巡って一度はこの町も悲惨なことになりかけたが、BLエロ同人のおかげで平和が維持されてる。
やっぱりBLエロ同人は偉大、Q.E.D。
…いや、ほんとに初見の人は何を言ってるのか分からないと思うが、そういうことなので理解して欲しい。
そんな彼女も今ではすっかり腐に腰まで浸かってしまっている。…いや、もう全身腐ってるか。
というか、この町の女性はMr.Xのせいでだいたい腐ってる。…素晴らしい町だ。
ちなみにだが、カグヤがニートの彼女である。…ふっ、悪いな、ニート。お前の彼女は私が腐らせた。
それと私がMr.Xであることは一部の人を除き、秘密事項となっている。…一応、バレると命に関わるのでこれは死活問題である。詳しくは前作で。
話を町のことに戻すが、この町は感染者および、住人を逃さないようにするために政府が建築した巨大な壁に覆われてる。
この壁が明確に町の外と中を区切り、外からは中の様子が、中からは外の様子が分からないようになっている。まさに陸の孤島だ。
時折、政府から物資がヘリで送られてくるのだが…町の中と外を繋ぐものはそれだけしかない。
そんな封鎖された町だが、別にこの物語はそれをどうこうするという話ではない。
もう一度言うが、この物語は私に住まうニートとの壮絶な戦いの物語なのである。
そんな私の小さな奮闘記にどうぞお付き合いください。